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2004年10月11日(月) 旧暦 [n年日記]

[読書] パイド・パイパー 自由への越境/ネビル・シュート

 第二次世界大戦時、イギリスの老人ジョン・ハワードは空軍に参加していた息子が戦死し、また国の為に身を役立てることも出来ず、傷心し持て余した身体を慰めるべく、フランスのジュラ山の片田舎へ出かける。しかし折り悪く、しばらくしてドイツ軍のスイス侵攻が始まる。
 何も出来ないながらせめて生まれた国で戦争を憂いようと帰国を決意した矢先、村で知り合った、ジュネーブの国際連盟本部に勤めるイギリス人夫婦から頼みごとをされる。幼い息子と娘をイギリスまで送って欲しいというのだ。老齢の身に子供の世話はかちすぎるとしぶるが、結局夫婦の頼みを引き受け、二人の子供をイギリスまで送ることに。しかし、旅の途中足止めを食ってしまったことで事態は悪化。瞬く間にフランスに攻め込んできたドイツ軍の為に汽車は止まり、ハワード一行の旅路もままならなくなってしまう。おまけに、途中で頼まれたり孤児を拾ったりして、どんどん同行の子供たちが増えていく。ドイツの勢力下に入りつつあるフランスで、無力な老人と子供たちは無事イギリスまでたどりつけるのか──?
 「渚にて」の原作者として有名なネビル・シュートの作品だが、SFではない。筋立ても大きな事件などが起こるのではなく、老人と子供たちの辛苦の旅を地味に、丁寧に描いている。言ってみればロードムービーである。事件は起きないが、事態は段々と悪くなっていく。汽車は止まり、車での移動もままならず、ドイツ軍は進駐してくる。イギリスに帰るあてはない。しかし、子供たちを見捨てることなどできず、彼らをイギリスに送り届けるのは自分の義務、とひたすら歩き続ける。子供たちは、国の為になにかをしようにもそれを拒否され釣りで心をなぐさめるしか出来なかった老人の手の中に飛び込んできた、「守るべきもの」なのだ。
 そして、それぞれに不幸を背負う子供たちの描写も、必ずしもいい子ではなく、世界の大きな変化を認識しきれず、適度にわがままで適度に尊大でなおかつ弱々しく、それゆえハワード老人も守り抜こうとする。
 パイド・パイパーというのは、当然「ハーメルンの笛吹き男」の笛吹きを暗示している。ハワードは子供たちと手作りの笛を通じて親しくなり、そしてただそれだけの、ほとんど見ず知らずの子供たちを連れて危険な旅を続ける。それを助けるのは彼の老成と誠実さ、そしてこれまでの人生である。
 ありとあらゆる国籍の子供たちの過酷な出自、環境が、世界の悲惨を訴える。だからこそ、政治も国籍も無視で彼らを守り抜こうとするハワード老人たちの行動が美しい。
 最後、旅を終え、防空壕で「私」にすべての顛末を話し終えたハワード老人は酷く疲れていたという。それは、旅が老人の生命力を削ったのか、子供たちを保護しとおし、手元を離れたためなのか。

[その他] 無意味・有意義

 連休中はちょっと引きこもってろくでもないことをする。っつーか、「地球防衛軍」と「妖星ゴラス」を連続して見てたなんて言うと「他に連休にすることないんかい」とか言われそうだけど、でも、ストーリーとか特撮ははっきり言って「どーでもいい」のだけど、それ以外の部分で、正直目を見張る部分がかなりありました。特に連続して見ると、たった五年の違いなのだけど(1957年と1962年)、色々あからさまに社会背景の違いを感じる部分や、むしろ現代の方が退化していると感じる部分も多い。作品として無条件に薦められるものではないけど、映像作品の流れをつかむ上で、大変貴重な経験ではありました。
 その他、飛行機関連に行ったりとかゴニョゴニョゴニョ。
 連休中に溜まったビデオを消化するのがまた大変だ……
 まあ、連休中にネット上で阿呆を一匹退治できたことだし(事前に用意してた仕掛けを発動させただけだけど)、全体的に無意味ながら有意義な連休でした。お世話になった方々、ありがとうございました。m(O)m


2004年10月12日(火) 旧暦 [n年日記]

[その他] 『無法者の女王』の娘

 以前、ベル・スタア(マイラ・ベル・シャーリー)についてはちょこっと調べたことはあったのだけど、その娘パールについてはその後どうなったのかちゃんと調べてなかった。 ベル☆スタア強盗団 のエピローグに、1889年に殺された母ベルの埋葬をしたのはパールだという記述があるとおり、れっきとした実在の人物。ところが生年が1868年ということと上の事実以外、実は何も知らない(ベル☆スタア強盗団は73年が舞台なので当時すでに生まれてなければならないことになるが、そこはそれ)。で、ちょっと検索してみたところ、 彼女が生涯の大半を過ごしたというフォート・スミスのサイトに彼女の人生の概略が紹介されていた
 噂では父親はコール・ヤンガーだと言われていたが、ベルが最初の夫ジム・リードと出会った時期が非常に曖昧だし、資料に残されている限りでは良く言えば恋多き女性、悪く言えば男関係はわりとだらしなかったようなので、実際に誰が父親かは甚だ謎ではある。ちなみにこれは あくまで残されている資料によれば であり、歴史の真実はパールはサム・スタアの娘なのでそこんとこヨロシク(ベル☆スタア強盗団読んでない、洒落のわからない人が真に受けたらどうするんだ?)。
 パールの最初の父親(血縁があったかどうかは不明だが)のジム・リードは彼女が六歳の時に決闘で死んだ、とある。母ベルが何者かに殺されたのは1989年、彼女が21歳の時で、ベルの弔いをしたのが彼女と言うのは確からしい。彼女の手による詩が墓石に刻まれている。
"Shed not for her the bitter tear,
Nor give the heart to vain regret;
'Tis but the casket that lies here,
The gem that filled it sparkles yet."
 彼女がフォート・スミスに移ったのはこの翌々年のことで、売春宿の経営を始めた。この時はロサ・リードと名乗り、店先に赤い星の看板を飾っていたという。売春宿の経営は順調だったのか、生活は裕福だったそうだが、1916年に売春を禁止する法律が制定された。パールも1921年に逮捕をきっかけとして店を畳み、フォート・スミスを後にする。その四年後の1925年にこの世を去っている。
 問題はベルがこの世を去るまでのパールの経歴だが、どうもはっきりしない。 こちら にもう少し詳細な経歴があるが、20歳以前はやはり特に記されていない。弟のエディともどもベル・スタア殺しの容疑者の一人として疑われたそうで、おそらく一緒に暮らしていたと思われるのだが……
 少なくとも一時は子供と伴侶もいたらしい。 こちら によるとベル殺しの容疑者となったのは、結婚とパールの娘についてのやりとりによる遺恨を疑われたのだそうだ。(読むと、ベルはパールの娘を孤児院に放り込もうとしたのだと。まあ、なんちゅーか……当然、 本物の ベルはそんなことしませんけどネ!)
 ちなみに こちら の表紙のはめ込まれている写真がパールの肖像写真らしい。かなり後年のものだろうが、オデコの広い知的な眼鏡っ娘ではなく、やはり母親の血を受け継いだ女傑らしい外見である。

[その他] ネコミミドーモ君

 一時期「名古屋発変な店」として「喫茶マウンテン」と双璧をなして一世を風靡し、(ごく一部から)惜しまれつつも閉店した「月天」が九月末に復活したらしく、昼飯がてら、近くを通ったので写真を撮って来る。 1 2
 以前は「飲食夜神月天」だったのだが、現在は「やすらぎ居酒屋月天」となっている。やすらぎ居酒屋って、まさか本格的に巫女萌え居酒屋に変貌したのではなかろうな? 巫女服姿でネコミミつけて「ネコミミモード」とかやってるんじゃなかろうな? あの、実は宗教というものを根本的に勘違いしているだけの、本質的には萌えと相容れない硬派なお店であり続けているのだろうか? そこんところは心配だが、一人で覗く勇気はないなぁ。まあ、いずれ機会があったら。
 先週末からにかけて日記の更新も止まってなにやってたんじゃ、と言われそうですが、まあ、なんというか、 こういうもの とかを見に行っていたわけで……こちら界隈に詳しい知人に案内していただき、大変充実しておりました。その節はありがとうございました。
  江戸のクロねこさんのニュースサイトリンク集 経由で 雪花乱舞 さんのところに行き、9/25の「 「生木をさかれ生地獄」ってどんな話やねん。」というコメントを見る。いや、以前からこのコメント気にはなっていたんですが。「生木を裂く」というのは相思相愛の男女を引き裂く様を表す言い回し。「生き地獄」ってのはこの話で出てくる佐渡金山のことで、相思相愛の男女が引き裂かれ、男が冤罪で佐渡金山に送られる話なんですわな、コレが。必殺仕置人後半の中でも、仕置の方法や男女の結末を含めて、なかなか見ごたえのある話です。
 それはさておき、「美味い焼酎が見つからない」と言っていた深+のマスターに焼酎の土産があるから、近日中に顔出さないとなぁ……


2004年10月13日(水) 旧暦 [n年日記]

[その他] (出)ないものは(出)ない

 知人から「こういう話、知ってる?」と聞かされたのだが、私もそこそこ興味があることで、しかも非常に重要な事柄にも関わらず、初耳だった。特に報道管制が敷かれていることではなく、知ってる人は普通に知ってるということだが、ちと微妙なところもあるので、詳細は書かない。ちょっと簡単には真偽は確かめられないが、それが本当だとすると、つながりがわからずとっちらかっていたようなパーツがかなり整合性を持ってくる。
 その後、ざらっと調べたがやはりネット上ではマスコミ報道はおろか、噂話程度でも引っかからない。
 ネットでの話題の広がり方の特徴としてある時点から爆発的に広がりだすものだということは承知していたつもりだが、その逆、ある程度まではまったく話題に上らないというのがここまでとは、ちょっと驚いてしまった。マスコミがなぜ噂話程度にも取り上げずこの話をスルーし続けているかというのも気になるのだが、ここではむしろネット上であらゆる情報が入手できるという全能感の錯覚がちと恐ろしい。自分がちょっと陥りかけていたし。逆に言えば、これを利用して印象操作や世論誘導も可能ということで、実際すでにやられているかもしれない。ううむ、気をつけないと。くわばらくわばら。

[その他] 別のものが燃えた?

  抗議受け漫画休載/南京大虐殺めぐり集英社四国新聞 )。いや、しょーじき、どーかと思うのですけどねえ……抗議してる側も、安易に連載一時休止という対応を取る出版社も。あんまり頭のいい作品と思わないし好きでもないけど、結局のところフィクションなんだから、お詫び文を掲載するとか、そういったことで十分だろうし、ちょっと抗議されたら掲載を取りやめる出版社も、文化事業としても(そんなお題目信じちゃいないが)ダメダメだし、長期的に見れば商業的にもマイナスにしかならないと思うのだが。こっちとしては面白いマンガが読みたいだけなので、作り手側も最低限の気は遣い、読み手側も過剰反応しないのがいい関係じゃないのかなぁ。
  米副長官 常任理事国入り、日本だけを支持NHK )。他の三国と日本に対する牽制、という見方もあるようなのだけど、米国が日本の常任理事国入りを本当に支持してるのかどうか、いまいちわからんなぁ。しかし、インド、ブラジルはともかく、ドイツも不支持か……
  鯨の規制緩和 日本提案を否決NHK )。まあ、予想通りと言えばそうか。しかし思ったより僅差で、今後の展開はわからないかも。
  矢野徹さん死去 81歳Y!hl )。たしかに日本SF界黎明期からの人は、そろそろ年齢的にあぶないのですが……高齢にも関わらずウィザードリーにはまってSF大会でもマジシャンのコスプレで現れたりと、印象的な思い出は尽きません。話が聞けるうちに聞いておけば良かったと、世の常ながらそう思ってしまいます。ご冥福をお祈りします。


2004年10月14日(木) 旧暦 [n年日記]

[必殺] あんたあの娘をどう思う

 必殺仕業人第三話。 DVD上巻
 寺の門前で大道芸を披露していた剣之介とお歌。そこにならず者と捕り方が闖入してくる。ならず者を投げ飛ばし騒ぎを収めたのは、柔術家の花輪東十郎だった。剣を見世物にして糊口をしのぐ剣之介に侮蔑の視線を投げつけてその場を去る花輪。しかし剣之介たちが会ったのはそれだけではなく、騒ぎの際にお歌に犬を押し付けてきた娘もいた。
 ねぐらに戻った剣之介たちを、犬を引き取りに娘が再び訪れる。彼女の名は市といい、さるお妾さんのところでおさんどん(女中奉公)をしているという。さらに、彼らの人柄を見込んで犬をしばらく預かってくれと頼んでくる。
 剣之介たちは事情があると感じながらも彼女の素直さゆえに引き受けるが、実は犬は市の主人の飼い犬。主人に懐かず売られそうになったために逃げ出したことにし、その間に犬を買い取る金を稼ごうとしていたのだ。
 犬を買い取る四両という大金を稼ぐために彼女は自らの純潔を売る決意をするが、街角で意を決して声を掛けた相手は偶然にも中村主水だった。

 この回、実は犠牲者となるのは(少なくとも殺されるのは)人間ではない。粗筋で察しが付くと思うが、「犬」である。「犬一匹の為に人を殺すの!?」となってしまうところだが、そのためのドラマ作りには余念がない。
 まず、田舎から食い詰めて出てきた少女にとって犬は心を許せる初めての友達であり、そのため自分と同じ「イチ」と名前を付け、身体を売ってまで引き取ろうとする。その身体を売るという行為に対し、主水は女にとって大事な初めてで傷つけられはしないかと彼女を案じ、剣之介は娘の初めての自立への決意と一歩だと後押しする。正反対の立場だが、どちらも間違いではない。一応安定した立場である主水と、社会の最底辺に住む剣之介の、見方の違いにすぎない。
 しかしどちらの思いも踏みにじられる。実は市の女主人の旦那は柔術家の花輪で、その弟子が彼女の初めてを奪った挙句金を踏み倒し、さらにどうにか金を貯めた彼女の前で犬を殺して自らも彼女を陵辱する。
 泣きながら犬の墓を掘る少女に主水は声を掛けるが、返ってきたのは男に対する怨嗟の罵倒と、投げつけられた小判だった。最底辺の人間たちだからこそ、最後に残った人間の尊厳を踏みにじることを許さない。
 また、やいと屋のドライな性格も生かされていて、沈痛な顔をしている主水と剣之介の前で薄ら笑いを浮かべて仕置料を手にする。本当はまったくドライなわけでもないのだが、基本的には必殺シリーズ史上、レギュラーの中では一番殺し屋らしい殺し屋。
 穴底からねめつけるような視点は、やはり中村敦夫出演の「翔べ!必殺うらごろし」で(やりすぎの感があるまでに)更に推し進められる。
 ちなみに柔術家の花輪東十郎を演じるのはエースの錠こと宍戸錠。
補足:仕業人のサブタイトルフォーマットは「あんた この ××をどう思う」なのだが、この回が「あんた あの 娘を〜」になっているのは、多分OPナレーションを担当する宇崎竜童の有名すぎるフレーズ「あんた、あの娘(こ)のなんなのさ」にちなんだものだと思われる。

[その他] 矢野徹氏逝去補足

 個人的には、あの世でマリリン・モンロー相手にいちゃつきながら、BBの話をしてるものと信じています。まる。


2004年10月15日(金) 旧暦 [n年日記]

[その他][アニメ][特撮] 新作アニメまではまだ追いつかない

  イラク教師が埼玉の中学校を参観毎日 )。興味深いのは その後、3年生の女子が「自衛隊をどう思っているか」と質問すると、男性教諭は「彼らは友人。とても尊敬している」と笑顔で答えた。とある部分。「そら見ろ。自衛隊は現地民に慕われているんだ」と、いうことではない。先のサモワで自衛隊への敵意が高まっているというNYTの記事を踏まえて、同じ国といってもいろんな意見の人がいるのは当然で、恣意的に特定の意見だけを取り上げることでそれが世論だと見せかけることは容易ということ。さらに、相手を見て答えていることだって考えなければならない。上記のイラクの教師の方も含めて、相手の望む方向の回答をしてるかもしれない。(最悪答えを「作ってる」可能性もあるのだが、そこまで言及しだすときりがないのでそれは棚上げ。少なくともこちらの記事は「匿名の誰か」ではないので、実際そういうやりとりがあったのか、調べようと思えば調べられなくはない)
  元短距離選手の77歳主婦 39歳の男を猛追毎日 )。ううむ、戦争を経験してる世代はやはり違う(そういう問題か?)。犯人は 「食事代にも困り、お金を持っていそうだったから狙った。おばあさんに追いつかれるようではもうあかん」と話しているという。だそうですが、半分くらいは、多分、相手が悪かっただけなんじゃないかと……
  舞鶴の小学校から戦時中の日誌発見京都朝日 )。記事タイトルの「軍靴」は朝日らしくって笑ってしまったのだけど、戦時中の状況がわかる、貴重な資料だと思う。出版とかしてくれないのかな?
 連休中に溜まった録画をなんとか消化。NHK歌壇は高齢の視聴者も多いせいか戦争関連の歌が結構出てくるのだけど、ちょっとめずらしいところでサン・テグ・ジュペリのことを歌った歌が取り上げられた。が、解説をしたゲスト評者の方がややピントがずれていて、ジュペリが軍に志願し参加していたこととか、偵察中、ドイツ機に撃墜されたと言われていて今年になって機体の一部が海から発見されたとかいうことを知らなかった模様。思わず画面に突っ込んでしまったが、その後、レギュラーの評者がきちんとその辺のことをフォロー。女性の評者なのだけど、ううむ、こちらの方が良く知ってらっしゃる。
  仮面ライダー剣 は、ここしばらく會川昇脚本なのだけど、盛り上げ方が上手い。主人公のパワーアップがきちんと話にからんでいるし、會川さんってこんなに上手かったっけ? あと、自分の種族のためという使命感を持って戦う、誇り高い虎アンデッドの姐さんがカッコイイ。お嫁さんにしてください。(おいおい)
 種2も見たけど、開いた口がふさがらないってのはこのことかも……まあ、前作ファンが求めているものには応えているのかもしれないから、これはこれで間違ってはいないのかもしれない。どうひっくり返っても面白いとは言えないが。
 そいでもって心の癒し、 ウォーターシップダウン で締め。こっちの方が駆け引きとかやりとりのレベルが高い。

[必殺] あんたこの仕業をどう思う

 必殺仕業人第二話。 DVD上巻
 田島屋の開店十周年記念の宴会に、義父である大和屋の主人が乗り込んできて言い争いを始める。田島屋が大和屋の公儀御用達の座を狙っていると言うのだ。しかし田島屋の評判は良く、誰もそのことを信じない。
 一方、手裏剣の見世物で誤って相方を傷つけたことで入牢していた喜久三が解き放される。彼が家に帰ると女房が女郎屋に連れられようとしていた。受刑中生活苦と相手への治療費のため借りた金に利子が付き、十五両の借金のかたに取られたのだ。
 女房を取り返そうにもそんな大金の当てなどない喜久三に、声を掛けてきた男がいた。
 そして数日後、田島屋の女房が手裏剣で殺される。下手人は喜久三。茶屋での密談を酌婦のお竜が証言したこともあり、大和屋が喜久三を使って田島屋の命を狙ったとされてしまう。捕縛こそされなかったが婿の命を狙い娘を殺したとされた大和屋は、公儀御用達はおろか店を続けることすらできなくなってしまう。
 下手人の喜久三もろくな調べも裁きもなく、まるで口封じのようにすぐさま処刑されてしまう。与力大村の指図だと言うが、喜久三は処刑の直前まで「自分は絶対死刑にはならない。そういう約束なんだ」と不思議なことを言っていた。それが引っかかっていた主水は、裏を調べだす。

 第二話というと必殺ではアクの強い悪役を登場させてシリーズの印象を強めることが多いが、今回は豪華にシリーズ悪役常連の津川雅彦と今井健二が田島屋と与力大村を演じる。仕置人での鬼岩を始め印象の強い今井氏だが、今回ばかりはいつもユーモラスな演技を見せる津川氏に食われてしまっている。特に、スポーツジム張りの設備で(これ、時代劇だったよね?)「健全な精神は健全な肉体に宿る」と身体を鍛え、サンドバッグを抜き手で貫いたりする田島屋に(これ、時代劇だったはず……)、「肉体派かよ!」と画面に向かって思わず突っ込み。
 けどやっぱりそこは仕業人、仕置料が入ると狂喜して野菜や魚を買い漁る剣之介の姿は、乞食同然で悲惨。住まいもテント(これ、時代劇……)と本当にルンペン。
 仕業人メンバーではないのだが裏稼業のことを知っている剣之介の内縁の妻お歌も、「死ぬときは一緒」と剣之介の仕事にくっついていく。ただ現場を見守るだけなのだが、剣之介が死んだらその場で命を絶つつもりなのだ。このシリーズの世界観、本当に剣之介夫婦が作ってるんだなあ。
 やいと屋はやいと屋で大和屋を陥れる証言をしたお竜を色事師真っ青の手練手管でハメて、田島屋とのつながりを聞き出す。女を落として情報を引っ張り出す、というパターンはこれまでもあったけども、ここまで生々しいのは……殺すときも風呂に入ってるお竜の胸を揉みながら真っ赤に焼けた針で一刺し。
 主水も負けてはいない。
 隠れた肉体派田島屋相手にピンチに陥る剣之介。お歌は包丁で加勢しようとするが敵わず、あわや逆に手篭めに、という場面で大村を始末してきた主水登場。しかしただ見てるだけ。剣之介はどうにか田島屋を仕留めるが、手を貸そうともしなかった主水をお歌が責める。その言葉に、払った分の仕事はしてもらわないとな、と嘯く主水。返り討ちにあったらあったで剣之介を見限るつもりだったのだ。仲間を見捨てる、助けるという葛藤の話は多くあるが、ここまでドラスティックに仲間を見捨てる主水は仕業人だけ。


2004年10月16日() 旧暦 [n年日記]

[必殺] あんたこの親子をどう思う

 必殺仕業人第四話。 DVD上巻
 主水はつまらない美人局にひっかかり、金貸しの叶屋に脅される。牢内につながれている文次を一晩だけ外に出せというのだ。文次は約束どおり翌朝戻らされるが、きな臭いものを感じた主水は捨三にさぐらせると、どうやら紙問屋の藤屋になにかあるらしい。藤屋の女主人・遊に身辺を注意するようにそれとなく警告するが、身に覚えがないと笑ってやりすごされ、逆に彼女の息子の身辺を洗ってくれと金を渡された。
 実は主人を亡くし女手一つで店を切り盛りしている遊は、もう成人している丈太郎と一緒の布団で寝たりと、異常なほどの仲の良さ。しかし、近頃丈太郎は遊に対して反発的な態度を取るようになってきた。もしや、と思った通り、遊は街中で女連れで歩く丈太郎を見かけてしまう。
 一方、丈太郎と叶屋を調べ続けていた主水は丈太郎が女に入れ揚げ叶屋から金を借りていたこと、それも「死一倍」と呼ばれる方法で、遊の命を担保に金を借りていたことを知る。つまり、借金を返済させるために丈太郎をそそのかし、文次を使い遊を殺させようとしていたのだ。そのことを遊に告げる主水だが、あまりの事実に彼女は信じようとしない。しかしその晩、遊は番頭もろとも文次に殺される。

 親が子を殺す、というパターンだが、それを際立たせるためか、二人の恋人と見まごう仲睦まじさが目を引く。一旦亀裂が入った二人のやりとりもほとんど痴話喧嘩。嫉妬丸出しの遊に、うとましさを感じながらも未練を見せる丈太郎。しかし叶屋にそそのかされ、言われるがままに手引きをする。
 実際は丈太郎を女にはめたのも叶屋で、一から十までがその思惑通り。元侍という設定で主水との立ち回りも手に汗を握らせる。
 依頼主は自分のミスから遊を殺させてしまった主水で、丈太郎を調べてくれと渡された金を仕置料にする。第三話も、どうも主水が勝手に仕事にしてきたようであり、第五話もそうだが、依頼する人間が死んでたりテンパってて話にならならないのを勝手に仕事にするのが仕業人流か。しかし、明確な依頼主の意思がないのに勝手に殺すって、まっとうに考えると相当アレだよなぁ。
 また、この金の仲間への渡し方がかっこいい。主水の話を聞いて「ごめんだね。金のない仕事は一切お断りだ」とやいとやが戸口に手を掛けると、木戸に主水の投げた小判が突き刺さる。やいとやもニヤリ、とそれを抜き取り、淡々と仕事に向かう。仕業人の真骨頂。

[その他] 右や左のダンナ様

 ここ最近例の本宮ひろ志南京事件関連でいわゆる「リベラル系」の人たちの言動をネットで拾って見てるのだけど、なかなか面白い。なにが面白いかと言うと、 詭弁論理 の典型例みたいのが続出してるから。そしてブログとかの場合は、それをおかしいとも思わず賛同してる人が多いのも目を疑う。それらの人々は大抵反論されると最終的に相手をウヨク呼ばわりとかしだすのだが、おかしいのは主義主張じゃなくって論理の組み立て方だと言うことに、何故か気付かないらしい。で、ちょっとつつかれるとまた詭弁を吐き出したり幼児じみた罵倒を繰り返す。
 こういう悪趣味なことをしてるのって自分くらいかなぁ、とか思ってたけど、 spanglemakerさん もワッチされてるそうで、ちょっと安心。多分、幾つかは重なってるんじゃないかな? 面倒なのでどことか明記しないのは私も同じなのだけど、私の方が実はもうちょっとだけ悪趣味で、時折まぜっかえしを入れている。と言っても下品なあおりではなく、ちょっとした、でも基本的な部分への突っ込み。それへの反応がまた小児じみた罵倒の連続で、見ていて笑える。特に「お前らは何も愛してねえんだろう」はちょっとツボにはまった。
 でも逆切れの仕方が単純で、最近ちょっと飽きてきてるのも事実。


2004年10月17日() 旧暦 [n年日記]

[必殺] あんたこの身代りどう思う

 必殺仕業人第五話。 DVD上巻
 女郎の死体が上がり、町方の探索が江戸市中に回る。そのとばっちりをくらい、廃屋から追い出されたお尋ね者の剣之介・お歌夫婦は、主水の紹介で隠れ里へと住居を移す。
 町方の探索も及ばず、世間からはぐれた者が身を寄せ合う隠れ里は二人にとって格好の隠れ家だったが、そこで伸吉・おとせ夫婦と知り合う。大店の主人と女郎という間柄で駆け落ちし、心中をしながらも生き延びて隠れ里に身を寄せた二人に、剣之介夫婦は他人事ならざるものを感じる。
 しかし、伸吉はある日口入屋の益田屋の応募に出掛けたっきり、戻ってこなくなる。
 その身を案じるおとせだが、伸吉は女郎殺しの咎を被って死罪になっていた。
 実は女郎殺しの犯人は大店の和泉屋の若旦那・清太郎。それを知った益田屋が和泉屋に話を持ちかけ、伸吉を騙して身代わりに仕立てたのだ。その上、清太郎の異常性癖の捌け口におとせをあてがう。
 清太郎に心身をボロボロにされつつ主水の口から伸吉の最後を聞かされたおとせは、主水に伸吉から託された四両の金を投げつけ、役人への怨嗟の言葉を吐いて井戸へと身を投げる……

 多分粗筋だとわからないと思うけど、キツイ一話。隠れ里の描写も、子供が死体から金目の物をかっぱぎ、幼い女の子がキセルで煙草を平然と吹かしてる描写がのっけに来、本当に社会の最底辺だと思い知らされる。
 そんな場所で、多分死体から剥いだか盗んだかの着物を、安いからと平然と買おうとするお歌に、それに忌避感を示す剣之介の微妙な温度差もいい。
 伸吉も、多分結局騙されたのだろうけど、拷問の挙句に死罪に至るまでの描写はあからさまにはされず、拷問の声を耳にする主水とその同僚の聞いて聞かぬ振りをするやりとりの描写で表している。
 伸吉も繰言を言うでなく、諦めたようにただ金を妻のおとせに渡すように主水に頼むだけ。そしてそのおとせも主水の目の前で井戸に身を投げる。やいとやも殺された女郎の仲間から真犯人を聞かされつつも、女郎仲間は結局口をつぐんでおり、仕事に持ち込まれるまでそれを特に主水たちに言うでもない……正直、かなりキツイ。でも、これが仕業人なんだよなぁ。
 なお、この話は今シリーズのほぼ唯一のコメディリリーフ、「出戻りの銀次」がちょこっとだけ本筋に絡んできている。


2004年10月18日(月) 旧暦 [n年日記]

[必殺] あんたこの裏切りどう思う

 必殺仕業人第六話。 DVD上巻
 主水の同僚・島忠助は早上がりをして島から帰ってきた甚八を出迎える。甚八は十五年前に大恩ある益田屋の若旦那が芸者を殺したのを、上方に逃がした罪で島送りになったのだ。
 息子の勘太との再会を楽しみにする甚八だが、勘太は五年前に奉公先を飛び出し行方知れずになっていることを聞かされる。
 寺の門前で飴屋をやりながら勘太を探す甚八だが、益田屋が取り潰されたこと、さらに廻船問屋大黒屋によって上方に逃がされたはずの若旦那が、海に投げ出されて死んでいたことを知る。島はすべて知っていたが、あまりのことに甚八に真実を告げることができなかったのだ。大黒屋の裏切りを知り、甚八は大黒屋に乗り込むが、刃物を持った大黒屋の手下に取り囲まれ、そのうちの一人を刺してしまう。しかし、大黒屋はせせら笑うように今甚八が刺した相手こそが、捜し求めていた息子の勘太だと告げる……呆然としたまま奉行所に引き渡される甚八。大黒屋の非道を牢内から訴えるが誰も耳を貸さない。ただ、主水のみが処刑の朝、恨みを金で晴らしてやろうと持ちかけるのだった。

 逃がし屋と称しつつ金だけ取って依頼人を海へと投げ捨てていた悪辣な廻船問屋が悪人だが、わが身を犠牲にして庇った行為がすべて無駄にされたのみならず、息子まで自分の手に掛けて殺してしまった甚八の悲惨がじっくりと描かれる。その甚八を演じるのは大木実。実直で不器用な男の人生を表現する。
 仕置はまず捨三が大黒屋の船に乗り込み裏を取るが、「船に乗るのは初めてだ」とはしゃいでいたのが、船酔いで寝込んで「船はもうこりごりだ」とぼやくことに。
 仕置は船の中と陸の上の大黒屋たちの二箇所で行う。剣之介に仕置料の五両すべてを渡し、これを見せ金にカモのふりをして船に乗り込めと言う主水。剣之介に金を全部預けることを渋るやいとや。「じゃ、おめえが代わりに船に乗るか?」と言われ、しぶしぶ剣之介に金を渡す。剣之介の身ではなく金を心配して「絶対に死ぬんじゃねえぞ」と、信頼感のないやりとりはドライだがユーモラス。
 中村家の間借り人だった妾のお澄は、久々のダンナとの情事の声が激しく、せんに言われて主水が追い出すことに。結局やいとやに頼んで占いで引っ越させることに成功。人を乗せる分には上手いやいとやだが、出陣前に足袋の止め具が壊れたのをあわてて燃やしてしまい、新しい足袋を下ろすゲンの担ぎ方はやっぱり占いマニア。
 レギュラーである主水の同僚の老同心・島は、いつもは職場や家族に疎まれながらも飄々と主水に宮仕えの極意を講義したりするのだが、今回ばかりは良く知っていた男の無残な結末に肩を落とす。出戻り銀次もたいやきを手土産にまた牢に戻ってきたりもするが、まあ、本当はこの時代たいやきなんてないのだけどそこはご愛嬌。

[アニメ][特撮] 新番組幾つか

 と書きつつ実はのっけから新番組ではないけど。
  ウォーターシップダウン はあまりに厳しいピグウィグのやり方にネズミのハンナが反発、ウォーターシップダウンを出て行ってしまう。確かにピグウィグのやり方はスパルタで反感を買うけど、でも正しいところもあり、またウーンドウォート将軍とは異なり、口は悪いが仲間への思いやりがあってのこと。その証拠に、行方知れずになったハンナを身の危険を顧みず必死で探す。ハンナもふくろうに襲われそうになったピグウィグを命がけで救う。次回はいよいよ最終回。
  デカレンジャー は、ゲストキャラの老刑事もいい味を出していたけど、それよりなにより予告で次回、石野真子が変身……劇場版でも他の星のスペシャルポリスが変身していたけど、きちんとデザインも違うし、設定を上手く使ってるなぁ。
  ブレイド は、虎姐さんイカシまくりで、更にカリスがパワーアップ。でもデザイン的にはちと微妙かな。エクシードギルスみたいなトゲトゲ触手ってわけにはいかなかったんだろうか?
 で、新番組の方。
  舞-HiME 。マンガ版がいまいちぱっとしないのだけど、一話見て納得。登場人物多い、ギミック多い、新人さんではあれを上手くまとめるのは難しいだろう。むしろ頑張っている方か。じゃ、アニメの方はとっちらかってるかと言うと、そんなことはなく、むしろ単純で頭の悪い作品(誉め言葉)。きちんと突っ込めば突っ込みどころが多いが、あざとさもそんなに感じないし、キャラの表情が良く動きテンポがいいし、何より流し見するには悪くない。視聴継続。
  神無月の巫女 。要約すると、巫女+伝奇+百合+巨大ロボット。女が女に告白するのも当たり前の世界のようだけども、なんなんだかなぁ。主人公たちはロボに乗るわけじゃないみたいだし、ロボに乗る主人公の幼馴染は主人公のアウト・オブ・眼中みたいだし。ちと焦点がどこにあるのかわからない作品だが、作画はきれいだしひとまず様子見。
  砂ぼうず 。コミックビーム連載の同名原作のアニメ化。原作のちょっとおどろおどろしい線に対してライトな絵と動きになってしまってるものの、悪くはない。ただ、乳が過剰に揺れすぎってのと、BGMをどうせならマカロニウェスタン調にして欲しいってくらいか。あと、砂ぼうずのえげつなさとお調子者のところをどれだけ出せるかかな。しばらく様子見。
  双恋 。……ごめん、これだけはあたしゃダメですわ。他の新作アニメだって決して高尚でも頭が良くもないけど、ここまで頭が悪いと……ちょっとノリ的にもついていけないし。まっとうな人間が出てこない上、ローテンション。ううむ、ごめん。これは早々に切る。
 他の溜まってる作品も、消化したらおいおい感想を上げていきます。


2004年10月19日(火) 旧暦 [n年日記]

[必殺] あんたこの仇討どう思う

 必殺仕業人第七話。 DVD上巻
 いつもどおり門前で芸を披露していた剣之介夫婦は、盲目の浪人芦川と、その娘おさとと知り会う。地回りに仁義を通してなかった芦川は追い立てられるが、剣之介夫婦がそんな二人の世話を見る。浪人同士ということで胸襟を開きあう芦川と剣之介だが、芦川は何故浪々の身となったのか、その理由を決して明かそうとしない。
 その芦川はことあるごとに吉原に出かけ、清三郎という旅回りの役者の所在を聞いて回っていた。実は芦川が江戸勤めをしている間に妻のおはまが清三郎と出奔、家内不行き届きでお家はお取り潰しになり、女敵討ち(不貞を働いた妻と姦夫を手打ちにすること)の旅に出たのだ。その間に旅の苦労で失明、乞食同然に落ちぶれたが、二人を斬るための備前長船だけは手放さなかった。
 しかし、遊郭の店先で店の用心棒とすったもんだしているのを聞きつけ、奥からおさとの名を呼びつつ飛び出してきた女郎がいた。誰あろうか、それこそが芦川の妻おはまで、清三郎に騙されもてあそばれた挙句、女郎に売り飛ばされたのだ。一旦は彼女を斬り捨てようとする芦川だが、結局出来ず、せめて清三郎に一言詫びさせた上で、また親子三人やり直そうと決意をし、おはまを身請けする金を稼ぐために長船を売り払う。しかし、芦川が江戸に出てきているのを知った清三郎とその裏で糸を引いている聖天の政五郎は、手下に芦川を襲わせる。絶え入りそうな息の下で、たまたま通りかかったやいとや又右衛門におさとと金を剣之介に託して欲しいと頼み、息を引き取る……

 仇討ものだが女敵討ちで、しかも失明し娘に手を引かれながら敵を探している、という、身を寄せ合い生きる父娘が描かれる。
 乞食同然の風体だが、実際の敵討ちもこんなものだったらしい。長引けば長引くほど資金繰りも苦しくなり、また一生敵にめぐりあえないこともしばしばだった。
 愛のために身分を捨て、人殺しにまで堕ちた剣之介にとって、妻を許し、そのために姦夫のみを斬るわけにはいかないと清三郎への敵討ちも諦めた芦川に非常に近しいものを感じる。が、脅えた清三郎が聖天の政五郎を通じてやくざたちに芦川を襲わせてしまう。
 女敵討ちの話を聞いた主水が、「そんなことになりゃぁ、俺だったら喜んで新しい女と……」と言いかけ「いや、そうでもないか?」と、りつへの愛情を微妙に認めるようなセリフを吐くのも珍しい。この言い直す間にふっと灯りを吹き消し、その瞬間の表情は隠す演出は心憎い。
 中村家の新しい下宿人は、先週追い出したお澄に代わって鰯の頭を信仰する怪しい修験者の幻覚。主水を見るなり「狐がついておる!」とわめきたて主水をうんざりさせるのだが、後の話で主水をドキリとさせるようなことを言う。
 仕業人的な雰囲気はそれほど強くなく、冒頭に主水の同僚の島が道端に落ちてる棒っきれを焚き付けにと拾う、貧乏臭いところくらいか。
 あと、長船を鑑定する刀屋が、息がかからないようにちゃんとマスク(っていうのか?)をしているのは、きちんとしている。最近の時代劇じゃそういう描写すらおろそかにするからなぁ。

[その他] ご用心

 職場のLANにPCをつないでいると、必ずと言ってよいほど毎日トロイの木馬向けのアクセスがある。無論、アンチウィルスでスキャンしてるし、パーソナルファイアウォールで遮断もするので(多分)警告が出るだけで何事も起こってないのだけど、ここ最近の不正アクセス元の情報を調べたら、ちょっと気になったことがあったのでIPアドレスと共にネットワーク管理者に連絡を入れておいた。
 なにが気になったかと言うと、不正アクセスしてきた機器がことごとくネットワークHDDだったこと。ネットワークHDDは使ったことがなかったのでそういうことがあるのか良く知らないけど、OSはlinuxなりだろうから、変なセキュリティ対応をしているとウィルスやワームに感染することはあるのかもしれない。ちょっとぐぐっただけでは出ないけど。でも、1042ポートを中心に攻めてきたり、ポートスキャンかけてきたりして、まっとうな接続とは思えんよなぁ。
 「手軽な機器」ということで売り出してるネットワークHDDだけど、それだけに利用者はセキュリティをおろそかにしてるのかも。ううむ。

[アニメ] 再生産

 新作アニメの感想とかでもそうだし、別にアニメに限った話ではないけど、個人的には新しいことをやろうとしている要素があると、無条件に評価が甘い、もしくは加点したくなる傾向がある。実際に「本当に新しいこと」ってのはそんなにないので、「主流から斬り捨てられたもの」と言った方がいいか。別にそれだからと言ってそっちの方が面白いとは限らないし、主流だって面白いものを作るのが簡単だということでもない。でも、評価が甘くなる。
 ってのも理由らしきものがないわけではなく、主流のみに集中しすぎると似た傾向ばかり作られるのに加え、自己模倣するだけになり、縮小再生産をしてしまう懸念がある。それ以外のものを作る力が低下していく→だからやりやすい自己模倣、という悪循環に陥る可能性もある。
 え〜っと、ですね、こういうので一番嫌なのが、明らかに既存の作品に影響を受けている(というか既存の作品からの影響だけで構成されている)のに、ファンも製作者も無自覚っぽいものが散見されることなんすよ。なにとは言わないけど。
 まあ、組み合わせ方でオリジナリティが出るとか、既存の路線でも要所要所に新しいものを取り入れることで盛り上げるとかもあるので、単純に断定できないところもあり、難しい。


2004年10月20日(水) 旧暦 [n年日記]

[必殺] あんたこの五百両どう思う

 必殺仕業人第八話。 DVD上巻
 主水たちは剣之介の紹介で立石藩老中牧野に引き合わされる。主水もやいとやも隠れ家につれてくるなんてどういうつもりだと殺気立つが、五百両という破格の報酬に態度を一転、俄然やる気を出す。
 標的は立石藩江戸家老坂部と用人赤松。坂部は国の後継者問題に乗じて藩政をほしいままにし、藩内は塗炭の苦しみだという。最後の手段として、仕業人に頼ってきたのだ。が、主水たちはそんな事情などどこ吹く風、おのおの勝手に報酬の使い道を夢想する。
 しかし、この依頼には問題があって、坂部は三日後に国許に帰ってしまう。つまり、三日のうちに坂部を始末しなければならないのだ。厳重な守りに固められ、藩邸内でも警備の離れない相手をどうやって仕置するのか……?

 今回は、明るく楽しい仕業人。……って、そんなの仕業人じゃないやい!(笑)
 五百両という報酬に欲の皮をつっぱらかして、主水は油屋の株の購入を、やいとやは新居の普請、捨三は転職、お歌は剣之介との所帯を夢想する。金があると心に余裕が出てくるのか、なんだか微妙に皆和気藹々としてる。お歌もやいとやと家のことで意気投合。剣之介のみが浮かれる皆を尻目に、金を手にしても持て余すことを噛み締める。
 問題は藩邸に忍び込む方法。お歌が内偵のため女中として奉公に潜り込む。捨三のための通行手形は牢内に戻りたがってた出戻りの銀次に盗ませる。やいとやは女中をたぶらかして御用門の鍵を手に入れようとするが、お稚児さん趣味(って、女の場合もそう言うのか?)の女中に「中年」呼ばわりされ、百戦錬磨のやいとやが相手にされない。(笑) プライドをいたく傷つけられるやいとやが笑える。(結局治療の往診のためとしてどうにか潜り込むのだが)
 結局は結構大掛かりな仕掛けで坂部を仕留め、主水も刀の試し切り *1 と偽って藩邸にもぐりこみ赤松を始末するのだが(でも、状況的に主水が犯人と疑われるよなぁ)、大方の予想通り五百両は手に入らず、骨折り損のくたびれ儲けということに。
 五百両に舞い上がってしまい、藩の窮状を切々と訴える牧野の言葉を剣之介までが右から左に聞き流す様と、最後、五百両が払えず陰腹を切って詫びて事切れた牧野を目の前に、人が死んだことより五百両が夢と消えたことばかりを嘆く仕業人たちが、やっぱり仕業人。
 そういや、エンディングの映像が夕日から、照りつける太陽にいつの間にか変わってたけど、何話からだっけ? (追加:第八話からでした)
*1: 江戸時代、江戸での斬首の処刑は基本的に同心の持ち回り。刀の研ぎ代二分が渡される決まりだった。その際、すえもの斬りとして旗本大名から刀の試し斬りを請け負うこともあった。首切りで有名な山田朝衛門は役人ではなく、この斬首を同心に代わって請け負う、身分的には浪人だった。詳しくは 江戸の刑罰/石井良助 参照。

[その他] 颱風襲来

 颱風の当たり年のせいか、颱風23号が襲来。名前は「トカゲ」だそうで、トカゲのわりに足が遅くて規模がでかい。名古屋に直撃だそうで、職場も六時前にほとんど誰もいなくなる。こちらも区切りで適当に引き上げ。
 まあ、 颱風なのでコロッケ を買ってきても良かったのだけど、それはやめてこないだ買ってきた「 石垣島ラー油 」でチャーハンを作る。こないだ大須の沖縄物産店「沖縄宝島にらい」で一瓶120円くらいで売ってたので買ってきたのだけど、辛さもきつくなく、香りも悪くない。
 いまさらの話題だけども、こないだの週末 深+ に行って、ちょっとお土産を渡してくる。まあ、焼酎なのだけど。マスターは苦手って言ってたけど、あまり焼酎の癖が強くなく、なおかつ飲みやすいのを選んだつもりだけど、やはりどうもダメだった模様。マスターも焼酎のどこが苦手かははっきりわからないようで、ありがた迷惑を渡してしまったようで大変申し訳ない。ただ、焼酎が苦手でなければ30度弱というアルコール度数を感じさせない口当たりで結構いけると思うので、機会があればどうぞ。銘柄は麦の 月心(げっしん) って奴です。
 その際先客に家族連れがいたのだけど、そちらが帰られた後でお子様の前では中々しにくい話題を幾つか……ネタとして有用な話も多かったので、その内、心当たりの方々には幾つか披露するかもしれません。
 本日の買い物。 蒼のサンクトゥス(1)/やまむらはじめ