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2004年08月11日(水) 旧暦 [n年日記]

[読書] 蘭と狗−長英破牢/中村勝行

 岡引の瓢六は同心小林の言いつけで、町医者の捕縛に立ち会う。その町医者の名は高野長英。世に言う安政の大獄だった。それから六年、長英は牢に囚われ続け、瓢六も揺れ動く幕末の中で狗としての生き方のむなしさを覚える。そしてご赦免の見込みなしと見た高野長英は、ついに付け火による脱獄 *1 を決行する。折り悪く、牢内に囚われた知己の付け届けに行っていた瓢六の妻、お久がこの火事に巻き込まれ焼死する。妻を長英に殺されたも同然の幕府の狗・瓢六と、なぜ瓢六がここまで執拗に追ってくるのかわからぬまま逃亡する蘭学者・長英の因縁がここに始まる。
 と、粗筋を書いたものの、長英の破牢は中盤の山場としてようやく出て来、物語の前半は瓢六の日常生活と囚われた長英の牢内生活と半生が中心となる。これがなんというか、はっきり言って二人とも ロクでもない 人物である。
 知ってる人は知っての通り、当時の岡引下っ引きなんてのはゴロツキと大して変わりなく、要は蛇の道は蛇でそういう連中に十手を持たせて(と、言っても奉行所から支給されたわけではないのだが)取締りを行っていたのが実態。中にはまともなのもいるが、俸給は雀の涙なので強請タカリまがいのことをして稼いでいたのも多いし、お上の方もそういった事情から多少のことは目をつぶっていた。瓢六は、そのピンからキリの岡引のうち、キリ、つまりろくでなし方の代表である。そんな瓢六を少しは落ち着かせるために師匠筋の茂平次が持たせた女房がお久。基本的にろくでなしには違いはないのだが、しっかりとした生活基盤と家庭を持つことで、身寄りのないただの暴れ者だった瓢六も、はじめて人並みの生活の味を覚える。
 もう一人の主人公高野長英は、高い学識を持ち憂国の士でありながら幕府の弾圧により不遇の生涯を終えた人物、というのが一般的イメージだが、この本で描かれる長英はちょっと違う。学識が高く能力を持っているのはそうだが、それ以前にその学識に驕り昂ぶったエゴイストとして描かれている。そもそも稼業の田舎医者を継ぐため江戸に出てきたものの、都会の華やかさに慣れて退屈な田舎の暮らしに愛想を尽かし、許婚や母親を捨て、家を捨て、士分を捨てた。学識の高さや親分肌なところもあるのだが、基本的にこの本の長英の行動原理は欲望と「自分が日本随一の蘭学者である」という自負と驕りである。つまり、この本の主人公は人間味あふれるとはいえ、二人とも基本的にロクでなしなのだ。これが必殺シリーズだったら二人とも仕置の対象になっている。
 しかし、この二人にはもうひとつ、ロクでなし以外の共通点がある。それは女房、というか女の存在である。瓢六はお久の存在により人並みの人生を覚え、長英の付け火によりそれを奪われる。長英は妻、お雪とまだ見ぬ娘に会いたいがため、付け火をして破牢する。一方が女のためにしたことが、もう一方の女を奪う。実に対照的な構造だ。
 そしてその果てに、追うことにも追われることにも疲れ果てた二人の男の人生の終末が待つ。お久の鈴の使い方が非常に印象的だ。
 偉人を扱いながら偉人伝とは程遠く、主人公二人の邂逅は極めて短く、理解もしあわず、そのくせ人間同士の腹と腹とのぶつかり合いを全力で描いた傑作。
*1: 小伝馬町の牢に出火した場合、牢内の罪人は一端お解き放ちになり、三日以内に戻ってこさせる。戻った者は罪一等を減じられ、戻ってこなければ死罪。

[その他] ウルトラリラックス

 周囲が騒々しいのでインターネットラジオでなにか適当なBGM(イヤホンで聞きます)を、と探し、なんか1/fゆらぎでリラクライゼーションがどうとかというのを見つける。まあこれでもいいか、と聞いてみると、波の音が延々と……いらいらするばっかりで全然癒されないっす。多分、そのサイトのせいではなくこちらがそれだけ病んでるのでしょうけど。(なので、そのサイトにリンクはしない)
  ロシアホテル、取り壊し・再開発へ朝日 )。まえに 速水螺旋人さんの日記ロシアホテルの写真 を見て「ムダにデカっ!」と驚いたのだけど、やはり一等地を占有している、というのは資本主義的には間違っていた模様。朝日の写真だけ見ても大きさがさっぱりつかめませんが。写ってるの、これほんの一部ですから。こういう無駄な建築物を後世に残して欲しいとも思うのだけど。200年くらいしたら万里の長城とかと並んで世界遺産になったりして。
 領土問題を取り上げたという今週のTVタックルの録画を見る。うわ、これ本当にテレビ朝日か? という内容。海底ガス資源、尖閣諸島、竹島の三本立て。やたらと民主党議員を表に立てる内容だったのは気になるけど(所属議員は必ずしも悪くないんだけど)、たしかにテレビでここまで取り上げるってのは前代未聞。唯一、明確に領土問題を荒立てることに否定的な経済アナリストの森永氏は吊るし上げ状態だけども、処刑ショーではなく、最低限の情報は含まれていたように思われます。だって森永氏、本当になんにも知らない無責任な発言が多いのだもの(合法的な売買・契約による土地の占有と武力による領土審判をごっちゃにしてる時点で経済アナリストって肩書きはおろした方がいい。これが演技でなければだけど)。大竹まことが「なんで政府に言わずこっちに言うのか」と領土侵犯を問題視する議員に言っていたけども(それだとそもそもディスカッション形式にしてる番組企画の意味がないと思うのだけど)、「マスコミが活動しても流さない」という舛添氏の反論に言い返せない。ここまで中国擁護派がぐうの音も出ない番組は本当に珍しい(参加メンバーを見ても番組制作側の意図だったのでしょうけど)。また、高射砲や通信施設、ヘリポートが設置された竹島の姿は、世間的にはかなりのインパクトだった模様。本当にみんな知らなかったんだなぁ。後は各々の出演者のパフォーマンス、もとい、言動を楽しめば良いかと。あまり発言数は多くなかったが絶妙のタイミングで入る女性レギュラーのまぜっかえしが最高に笑えてナイス。


2004年08月12日(木) 旧暦 [n年日記]

すいません

 本日9:00頃から15:00までのメールを、誤って読まずに消去してしまいました。お急ぎの連絡のある方はお手数ですが再度メールをよろしくお願いします。

[その他] これ、誰?

 職場に出入りの業者のHさんと中国人のDさんがカンフー映画の話をしていたので首を突っ込む。Dさんが「この人、日本でも有名ですよね」と二人ほど名前を挙げてくれたのだがわからない。なぜかというと、Dさんは中国語名しか知らなかったから中国語名で書いたのだ。さらに困ったことに中華人民共和国の方は簡体字の漢字になる。中国共産党が、煩雑な漢字は識字率向上の妨げになるということで、旧来の漢字を省略させたもの。ちなみに国民党が支配していた台湾では旧来の繁体字が使われている。閑話休題。で、ホワイトボードに書いたその名前を見ると、「成○」「李小○」と書いてあり、○の部分は同じ字なのだが省略体でよくわからない。しばらくHさんと二人して首をひねっていたが、「龍」という字の「つくり」に似てると気づき、「これって、『龍』ですか?」と聞いたら、そうだと答える。だったら話は早い。「ああ、ジャッキー・チェンとブルース・リーのことですね」
 実はびっくりしたのはむしろこの後で、Hさん「え! ジャッキー・チェンとブルース・リーって中国語でそう言うの!?」え〜っと、字がわからない以前に知らなかったんですね。「詳しいねえ」などとおだてられたのだが、そうか、このくらいでもわりとマニア扱いなのだな。気をつけないと。
 で、Dさんの方は二人の英名、というか愛称の方を全然知らなかったらしい。ジャッキーとかブルースとか言っても「それ、誰?」という顔でぽかんとしている。というか、日本に来てジャッキーの映画を初めて見たらしいですが。まあ、中国映画って言っても香港だからねえ。
 この後「ジェット・リーは知ってるか」という話になるが、やはりわからない。「リー・リンチェイ」と中国語風の名前で言っても、発音が悪いのかやっぱりわからない。漢字で「李連杰」と漢字で示してようやくわかったらしい。漢字文化圏というのは便利なような、不便のような。
 しかし、ついでだから「男たちの挽歌」とかチョウ・ユンファとかはどうかとか聞けば良かったかも。でも、真面目なDさんにヤクザ映画は、ちょっとなぁ……


2004年08月13日(金) 旧暦 [n年日記]

[読書] 韓国は変わったか? ソウル便り10年の記録/黒田勝弘

 日本随一の韓国ウォッチャーにしてしばしば韓国から「妄言!」呼ばわりされる著者が、産経新聞紙上に毎週連載していた連載コラムの十年分。すべてではないが、7割は収録されているそうだ。
 コラムなのでひとつひとつの話題は長くないが、この十年、韓国をめぐる環境がどう変わったか、その雰囲気を駆け足で味わえる。
 著者の韓国への感情は基本的に好意的で、しかしだからと言って韓国にいらつかないということではない。が、子供っぽいヒステリックな反日も、見栄っ張りな民族性も、ときとしてオーバーな行動も、苦笑しつつも基本的には温かい目で韓国の社会を見ている。 日本より良いと思える部分は素直に褒めている。語られる韓国の時事風物も面白いのだが、面白いのは、政権を取り巻く世論の変化だ。なぜこれが面白いかと言うと、持続して変化してる話題がこれくらいしかない、というのもあるが(どうも韓国はすぐ過激な行動に走るが、持続せず、やがて醒めて、そんなことあったの? という感じになってしまう)、最初期待されながら期待と反対の政策、スキャンダル、そして失墜というパターンをなぞっている。書かれている10年では政権の全期間をフォローしているのは金大中氏だけだが、どうもこのパターンは基本的に昔から変わっていないらしい。しかも意外に、韓国人も「なにか臭いんじゃないの?」という臭いを、熱中しながらも感じ取っているふしもある。が、それが建設的な方向には向かわず感情の爆発にしかならないので、多分このパターンの繰り返しなのだろうなあ。金大中氏は在任中北への送金により南北親睦ムードを生み出し、ノーベル平和賞まで受賞したが後にこの事実がばれて糾弾された。
 韓国というと中国とセットで反日国家というイメージが強いが、中国はかなり意図的に「そうすることで有利になる」という計算があるのだが、韓国はむしろ、何も考えていない感情の爆発という側面が強そうだ。これは反日に限らず、すべてにおいてだが。だから、日本側は重要なことだけはきちんとした態度、理論で対応し、あからさまにどうでもいいようなこと(教科書の記述問題とか)などはしばらくほっておいて、韓国側が冷めて別のことにまた熱中するのを待ってればいいんじゃないかと思えるのだが。
 ちなみに、 高句麗の帰属問題で韓国が中国に抗議産経 )というニュースだが、たしか、中国って去年から「朝鮮半島は中国の属国だった」ってキャンペーンを地味にやっていたような。中国は「辺僵政策」と言う領土拡大政策を持ってるそうで、元とか清の時代まで含めての領土の最大範図で、それが本来の領土だと言ってるみたいだけど、元とか清って、漢民族にとっては征服王朝だったはずなんだけどなぁ……


2004年08月15日() 旧暦 [n年日記]

[読書] 涼宮ハルヒの憂鬱/谷川流

 第八回スニーカー小説大賞対象受賞作。
 まず、最初に書いておく。好みではない。
 のっけから物知り顔でなに言ってやがる、と思われるだろうが、当然この後、「しかしながら」と続く。  過去二人しか受賞していないスニーカー小説大賞で、三人目の大賞受賞者というのが非常に納得できる作品である。むろん、スニーカー小説大賞のレベルが低い、などということでは微塵もない。むしろ逆。傑作、とは大げさだし、佳作ではちょっとダイナミズムが表現しきれないので、こういう中途半端な表現になってしまうのだが。
 やはりちょっと感想は表現しづらいのだが、無理矢理表現しようとすれば、才能にまかせたパワーファイターだと思って対戦し、実は地道な練習を積み重ねたテクニックと戦略を立てられる相手だと驚いていたら、最後はやっぱり強烈なボディブローで極められたという感じか。敢えてたとえるなら、勉強不足のまま幕ノ内一歩と対戦したようなもの。
 ただ、最初に好みでない、と書いたのは、文句なしに強いのは否応にも認めざるを得ないのだが、スタイルが単に私好みではない、ということである。いや、幕ノ内一歩が嫌いってことじゃなくってさ。
 ただ、その強さについてはいろいろ、悪い意味でなく、こちらも考えざるをえない。
 なんというか、私の知人はわりと「話の論理構成がどうこう」とか、人間原理がどうこう、と語る人がいるが、それはこの話の芯じゃないと思うのだけどなぁ。

[その他] ありがちだけども

 「なにを書いてもいい」と言われると、却って困るものなんである。


2004年08月16日(月) 旧暦 [n年日記]

[必殺] 一筆啓上欺瞞が見えた

 必殺仕置屋稼業第十五話。
 清元(浄瑠璃節の一派)の名人の二代目、佐一郎は実力も人気もあるのだが、自分のわがままで共演者を罵倒し舞台に穴をあけ、博打と女に浸る日々。そんな佐一郎を先代から託された女清元の名人たかは、佐一郎の不始末を頭を下げて後始末に奔走する。しかし、佐一郎はそんなたかの姿にもまったく反省せず、旗本の息子の小栗格之進と組んでおぼこ娘を騙し、博打で借金をこしらえ続けた。そんな佐一郎に騙され、さんざん金を貢がされ妊娠した挙句捨てられた娘から「佐一郎を仕置して欲しい」という依頼が仕置屋に届く。色恋沙汰のもつれでの依頼に主水はしぶるが、実は佐一郎とつるんでいる小栗の父は目付(旗本の監視役)で、下手に関わって厄介なことになるのが怖いのだ。
 ひとまずそんなにひどい奴なのか調べようということになった間にも、佐一郎は行いを改めるどころかますますエスカレート。たかの元に稽古に出入りしていた大店の妾 *1 にまで手を出し旦那に怒鳴り込まれ、ついにたかも佐一郎に愛想を尽かすのだが、なんと佐一郎はたかをとりなすために「前から好きだったんだ」と口説き、抱いてしまう。のみならず、借金の返済のため、博打の胴元にたかを売り飛ばしてしまい……

 清元の女名人たかを演じるのは、後に必殺シリーズの顔になる山田五十鈴。超然とした風格のある殺し屋の印象が強いが、必殺初出演となる今作では、名人の風格はありながらも師匠に託された遺児佐一郎にふりまわされる被害者役を演じている。佐一郎を託した先代への義理立てと佐一郎への母親のような感情、そして女としての自分の間で揺れ動くさまを、存在感たっぷりに演じているのはさすが。
 自分の母親代わりの師匠までコマしてしまう清元佐一郎を演じるのは、時代劇悪役ではおなじみの綿引洪。あのいかつい顔でアイドルばりの人気の若手清元名人を演じるのはちょっと、と思わないではないけど、山田五十鈴をコマすだなんて真似はこれっくらい濃い悪役でないと出来ないのかもしれない。しかも救いようのない、自分の人気と才能に過信したあまったれた若造と、怜悧なまでに計算ずくの色事師の両立した不思議なキャラクターを演じている。この話、本当に山田五十鈴とその脇を固める綿引洪がキャラが立ちすぎてて、レギュラーを含めたほかのキャラが食われてしまってるなぁ。
*1: 昔は「妾奉公」というのがあって、一種認知されたシステムだった。

[その他] 大変お世話になりました

 各方面、ありがとうございます。
 しかし、必殺の話で(約一名と)盛り上がれたのはうれしかった。

[必殺] 一筆啓上無法が見えた

 必殺仕置屋稼業第十六話。
 亀田藩勘定方の久坂は、横領の事実に気付いた同僚の佐野を殺害し罪をかぶせようとするが、佐野の娘お糸と息子伊織に現場を見られ、藩を逐電、江戸に逃れる。
 一年後、亀田藩の追っ手に追われる久坂は旗本の稲村と滝沢に取り入り、彼らの悪行に知恵を貸していた。久坂らの悪行はとどまることを知らず、奉行所にも訴えが殺到していたが相手が旗本では管轄外。そこに目をつけた主水は、訴え主のリストをおこうに渡し、旗本たちの仕置の依頼主を探させる。
 一方、久坂を追って江戸に入った糸と伊織だが、路銀も乏しく食事もままならない中、小輩の佐野の敵討に江戸の藩邸も冷たい。思いつめた糸は、幼い弟の伊織を蕎麦屋に置いて、わずかな食事代を稼ぐために身を売ろうとする。なんどか声をかけ損ねた後、意を決して声をかけた相手はなんと市松。しかし、その現場を久坂に見られてしまい、市松ともども久坂たちに拉致されてしまう……

 あれ? この話は見た覚えがない気がする。そういえば、ビデオ録画の予約失敗で仕置屋は一話くらい見てない話があったのだけど、これがそうだったのかも。
 旗本たちがあれだけの悪さを白昼堂々派手に行うのはちょっと無理があるかとも思えるのだけども、敵討に悪辣な旗本をからませ、市松、主水らとも意外な形で関わらせる脚本は、囚われの市松というシチュエーションとあいまってダイナミズムがある。
 その他にもいつもとは逆に主水が仕事の依頼をおこうに持ってくるパターンや、おはつのラストの天然ボケぶり、印玄の殺しがいつもの屋根から突き落としではなく、放り上げて墜落死させるなど、スタッフの気負いが良い方向に回っている。被害者姉弟もやや類型的と思えるが、登場キャラの多い中で存在感をアピールしてる。全体的に登場人物の多い仕置屋稼業は、群像劇のキャラ立てにおいて見るべき部分が多い。
 小ネタも効いており、バラエティの取り込みを目指した仕置屋稼業としては、ある意味集大成とも言える作品。


2004年08月18日(水) 旧暦 [n年日記]

[その他] モウブチ切れですよ?

 急に日記に数百回のアクセスがまたあったので、調べてみるとやはりmsnのbot。新規更新分ではなく、半月に一度くらいまとめて既に取得してるはずの過去の分まcrawlしていくのでうっとうしくてかなわない。もういい加減ブチ切れたのでmsn botのアクセスは拒否することにする。情報の共有化はすべきだろうが、まあ、他にサーチエンジンがないわけでなし、どちらかといえばウチのはノイズだし、かまわんでしょう。

[読書] 仮面ライダーファイズ正伝 異形の花々/井上敏樹

 シナリオライター自身による、仮面ライダーファイズのノベライズ。タイトルが発表されてからこっち、一年のシリーズでも描ききれなかった部分が多いのに、これをたった一冊の小説でどうやって話を収束させるんだ! と思っていた。
 いや、やられました。本当に諸手を挙げて降参するしかない。そこまで真正面から完璧に仮面ライダーファイズで、しかも完膚なきまでに一冊で完結している。
 作者あとがきに
 しかし、考えてみればテレビの内容を小説で踏襲することはない。(中略)ファイズの真髄のような物語、自分が書きたかったことを自由に表現すればいいのだ。銃に弾丸を込めて標的を一発で打ち抜くような物語である。(pp252ll11-pp253ll1)
 とある。
 あとがきのとおり、まさしく「標的を一発で打ち抜くような物語」。さすがに一冊に尺を収めるために、テレビであったものがいろいろ削られている。 オートバジン、デルタ、オルフェノクの王、スマートブレイン、ラッキークローバー、社長、スマートレディなどは出てこない。登場人物の設定や絡み方も変わっている。そもそも仮面ライダーファイズにはテレビシリーズの他、劇場版があり、小説版も含めてすべて違う話なのだが、おそらくそれぞれが井上氏ら、製作者の中にある「本当のファイズ」の影のようなもの。しかし、はっきりと、この物語が「ファイズという物語の真髄に最も近い」と断言できる(テレビシリーズや劇場版が小説より劣ってるってことではないですぜ)。
 「ファイズが好きだった」という方は、「あの最終回で好きではなくなった」という人も含めて是非読んで欲しい。すべてがつながって納得行くか、もしくはもっと怒るか、二つに一つでしょうから。
 それにしても海堂と草加って、特に井上敏樹に愛されてるなぁ。特に草加。草加の最後の姿は、井上氏の草加への愛の最終形態としか思えん。(笑)

[読書] 斬魔大聖デモンベイン 機神胎動/古橋秀之

 あるいはデウス・エクス・マキナとしての変身ヒーロー・巨大ロボット。
 これも原作付き。(すいません。原作ゲームは買ってはあるけど積んであります。)だけど外伝で、なぜか原作とは全く関係ないはずのライトノベルの気鋭、古橋氏の手になる。なぜ古橋氏が外伝を書いたのかは、多分少なくとも公的にはあとがきに書いてある以上の言葉は出てこないだろうのでどうでもよろし。
 これはファイズでも言えるけども、どっちにしても小説として見てしまうとキャラクターヒーローもの(特撮変身ヒーローもガンダムも含めた巨大ロボットも「キャラクターもの」である)の一つの核になる「仮面ライダー」や「ロボット」が本当に必要なの? ということになる。
 誤解のないように言っておくが、別にキャラクターヒーローは無駄なもの、ということではない。むしろ限られた時間内に事件を解決しカタルシスを与える、しかも番組の前提となっているデウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)として、非常に合理的な存在である。しかもそれは「変身」をすることで(巨大ロボットに乗り込むのだって実は「変身」の一種)超常の存在となる。事件を力技で解決する特権を与えられる。さらにその上、番組を見るものはそれを前提に見ているので、(大体の場合は)変身は唐突とは受け取られない。
 話が大分ずれてきたので少しずつ元に戻していく。小説では(映像作品のようにビジュアルインパクトはないにしても)このフォーマットに上手くマッチするものもあるのだが、そうでないものもある。その場合、キャラクターヒーローもののノベライズはどうするのか。
 答えのひとつは「そのまま使う」である。いや、だって客の大半はそれも目当てとして買いに来てるんだからしかたないじゃん。(あえて出さない、という答えもあるけど)
 でも、本当に心底どうでもいいものだと困るので、それをどう組み込むか、である。「機神胎動」では、文字通りデウス・エクス・マキナとして使われる。よくよく読めば本質的には事件の柱はデモンベインではなく、最後に現れるまで実は必要な存在ではない。必要に感じるとすれば、おそらく原作のイメージが強いからだ。
 だからと言って使い方が下手ということではない。むしろ、さすが古橋氏である。(あれだけ盛り上げておいて登場シーンでアレかよ! 良い意味で期待を裏切られた)
 これでは作品感想というよりノベライズの構成分析だな。
 構成分析ついでに、ファイズの方も。でもネタバレになるのでちょっと文字を隠す。
 ファイズの方の「仮面ライダー」の使い方は、むしろ最初から違和感が存在する。ファイズギアを真理に送ってきたのは誰なのか、ライダーの力とは何なのか。カイザは「オルフェノクに対抗する組織の生み出したもの」ということで量産型(!)まで登場するが、ファイズは違う。
 最後、カイザ軍団に結花を殺され、人間への憎しみに囚われた木場が草加をズタズタに引き裂く。そして木場を止めようとした巧=ファイズにも襲い掛かる。ホースオルフェノクの姿の木場がファイズギアを壊した瞬間、ファイズの姿の中から現れたのは、人間としての巧ではなく、ウルフオルフェノクの姿だった。
 つまり、ファイズの姿はまさしく巧がオルフェノクだという事実を隠す仮面であり、最高のタイミングでそれを壊す。
 その使い方の妙についてはちょっと突っ込んだ話になるので省くとして、両者とも、それぞれ違った形で「キャラクターヒーロー」を取り込んでいる。なかなか唸る。
 いや、先日「最後に全部を都合よく解決していくヒーローってのはどうも」と言われたので、ちょっと常々考えていたことも併せて書いてみました。


2004年08月19日(木) 旧暦 [n年日記]

[その他][アニメ][ドラマ] リミックスって言ってもなぁ……

  ARTIFACT さんのところで リニューアルアニメDVD という記事を取り上げていた。こういう場合、つい一話当たりの価格を計算してしまうのが私の悪い癖である。
  • GR:5040円÷2話=2520円
  • トップをねらえ!:13440円÷6話=2240円
  • カウボーイ・ビバップ:42000円÷26話=1615円
  • ムーの白鯨:23205円÷26話=892円
 補正を加えると、GRは一話がほぼ一時間なので、30分あたりに直すと1260円になる。
 ちなみに必殺シリーズや「斬り抜ける!」「おしどり右京捕物車」などのDVDは三話収録の場合4179円=一話あたり1393円、四話収録の場合は5229円=1307円。当然一時間番組なので、30分当たりに換算すると650〜700円ほどになる。いえ、この事実に気付いたから、必殺のDVD買い始めたんですけどね。
 まあ、ムーの白鯨は別として、その他もそれぞれビジネスがあるとは思うし、音声リミックスなどで付加価値は高めてるわけですが、そう考えてもどうしてもボッタクリ感のぬぐえないものが、約一作品……

[その他] オリンピックの顔と顔

 アテネ五輪は、各競技中継はおろか開会式すら見てないのだけど、なんでも早、八個目の金メダルとか。 過去のオリンピックのメダル受賞数産経 )を見ると、まあ東京オリンピックは地元の有利さで特別としても、ロス五輪以来の好成績である。
 各国の内訳を見ると メダル総数はともかく、米国が金メダルの数で中国に譲っている共同 )。中国が次の北京五輪に向けて力を注いでいるのと、テロの風潮に、警戒・警護が十分でないとして五輪参加を見合わせた米国選手も多くいるせいだそうな。まあ、それにしても日本が金メダル数では三位につけてるのはすごい。
 と、いうことを今さらのようになぜ言っているかというと、大須の グッドウィル で、特定の商品が当日銅メダルが出たら10%、銀だと20%、金だと30%OFFというキャンペーンをやっていて、北島選手が100m平泳ぎに続いて200m平泳ぎでも金を取ったので、 Elecomの冷え冷えクーラー を三割引で買ってきた。1980円が三割引でおよそ1400円。これでウチの聞き分けの悪いLet's note light W2もゴキゲンに……なるといいなぁ。
 この手の据え置き型ノートPC用クーラーって高いので、手ごろなのが欲しかったのよ。
 いや、別にそれだから日本が金メダル取ると嬉しいってことではないですよ。うん。
 その上あろうことか、日本が取った{金メダルの個数}%分だけ割り引くというチケットまで配ってるんですけど……多分十個くらいは行くんじゃないかなぁ、って気がするんですが。
 その他、去年所属組織が変わった際、国民健康保険を抜け忘れて過剰に払った保険料がなぜか今頃返ってきたので、そのうちのいくばくか(さすがに全部使うわけじゃないですぜ)で、 MINOLTA DiMAGE X20 を買う。展示品処分なので、名古屋にしてはまあまあ安く買えた。とりあえず二万円以下ではあります。
 いえね、今持ってるデジカメがどうもくたびれが激しくって、動作も不確かだし、いっそのこと買い換えようかなぁとは思ってたのですよね。
 まあ、条件は「画素数は2Mで十分」「光学ズーム付き」「軽くて小さい」「操作が簡単で直感的」「できれば乾電池で動く」だったので、ほとんどすべての希望をかなえている。ファインダーがないのはちょっと残念だけど、そこまでは望むまい。


2004年08月20日(金) 旧暦 [n年日記]

[その他] 新陳代謝じゃ

 知人がダイエットに踏み台昇降をやっているというので、ちょいと試しに30分ほどやってみる。まあ、たかが踏み台昇降とは思っていなかったが、それでも存外きつい。自転車漕ぎ30分×2とセットだものなぁ。
 なんでも山歩きなどの場合には歩いた距離に関わらず上った高さと運動代謝量が比例するという説もあるらしい。よく考えたら普通に歩いて筋肉を動かしてもどれくらいエネルギーを消費したかはわからないが、自分の身体を高いところに持っていけば、その位置エネルギー分は少なくとも確実に消費はされてるわけなんである。踏み台昇降は身体を持ち上げる分、確実にある程度のエネルギーは消費されるわけだ。下がるときにも身体の利得になるわけではないし。なるほど。
 で、生き物には運動に代謝量の他に基礎代謝量というものがある。つまり、なにもしてなくても身体が消費するエネルギーのこと。これは人種や年齢や性別によって変わるが、さらに体表面積に比例する。つまり、表面積が大きい分、熱の発散が多くなるという理屈。
 大体アジア系人種ってのはことダイエットに関しては不利で、およそ三分の一から四分の一が「節約遺伝子」というものを持っていると言われている。まあ、簡単に言えば基礎代謝を下げ、エネルギーの消費量を少なくするよう働きかける遺伝子。じゃあ、欧系アメリカ人とかでよく見る、そろばん玉みたいなありえないデブってなによ? と思うかもしれないが、あれは単なる不摂生。同じ食生活をすれば、日本人の方が同じ体形に、より早くなる可能性が高い。
 アジア系は先祖が長らく飢餓状態に置かれたため、自然淘汰で節約遺伝子を持つ者が多く生き残ったという説もあるが、まあ、現代日本ではやはり食う物も気をつけないといけないんである。
 でも、酒はやめないけど。

[その他] メモ的

  魔女の妹朝目新聞 さんより。 もりのあるじ さん製作のflashアニメーションの予告編。ストーリーの良し悪しはまだわからないけど、雰囲気とか、動きとかいいですな。BGMの冒頭のケーナっぽい旋律が結構いい。
  カブト虫特区、認可へ( 毎日 )。 Hirayan's S.D. さんより。家畜排泄物処理法の改正で、牛糞堆肥の中で育てたカブトムシを無料で各地に送っていた「カブトムシおじさん」の活動が禁止になりそうになっていたけど、異例の特区申請でなんとか今後も活動できそう。良かった良かった。人気取りではあるだろうけど、お上もたまには粋なことをするねえ。
  ギャラクシー・エンジェルに仮面ライダーカイザ=草加雅人登場 。まあ、カイザの中の人の村上さんの日記で見てたから知ってはいたけど、本当に井上さんつながりでの登場だったんだなぁ。しかし、役名が「カイザ・ムラカミ」って……やっぱり表裏があったり嫌味を言ったりウェットティッシュで手を拭いたりミルフィーユに「俺の母さんになってくれるかもしれない女なんだ!」とか言ったりするのかしらん?
 明日は 第43回日本SF大会G−con なので、早めに寝とかないと。しかし、近場とはいえ事前の準備は全然出来てないぞ……