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2002年08月01日(木) 旧暦 [n年日記]

めった斬り

 共著として名前を連ねてた論文がdisacceptで返って来る。評を見ると滅多切り。笑い。いや、笑い事じゃないんだけど。でも THE JOURNAL OF GENERAL PHYSIOLOGY はこの分野の老舗だけあってレビュアーの質も高い。滅多切りながらもきちんと目を通して的を得た指摘をしてくる。他の雑誌だと門外漢の人がとんちんかんな指摘をしてくることが多い。っちゅーかそんなんが大半。
ワシ「いやぁ。滅多切りですねえ」
ボス「そうだねえ」
ワシ「いろいろつっこまれてますねえ」
ボス「やっぱ画像測定と電気生理の同時測定をやらなきゃいけないかねえ」
ワシ「そうかもしれないっすねえ」
ボス「……」
ワシ「……」
ボス「……」
ワシ「え? ボクっすか?」
 まあ、同時測定はいずれちゃんとやらなきゃいけないとは思ってはいたのだけど、なんと言うか、レビュアーのコメントを見た瞬間から嫌な予感はしてたんだけどね。まあ、実にはなることなので腹をくくりますか。
 しかしそれと同時に実験用の道具を幾つか作らないといけない。いや、工作好きだからいいんだけど。でも
「今日中に出来る?」(ボス)
勘弁してください。トホホ。

  Mozilla の1.1alpha以前がcookie関連のセキュリティバグがあるそうで、1.0から1.1betaに変更。は、いいのだけど、そのまま移行すると何故か妙な現象が。どうも、スタイルシートのエラーっぽいのだが……しかたないので設定ファイルを一旦削除してやり直し。今度はOK。いったいなんだったのだろう? うむむ。
  山梨県立科学館、ラットの解剖中止 。動物愛護を否定はしないけど、その動物愛護とバーターでなにを行なえなくなるのか、考えるべきだと思う。「解剖は時代遅れ」とか頓珍漢な事をぬかすような愛護団体だけではないとは思うけど。私としては、動物の命と引き換えに生命の巧妙さ、あるいはその探求により得られるものを直に子供達が触れて考えてもらう機会がうしなわれたのはただただ残念としか言いようがない。そういったものをすべて考慮に入れた上で動物実験反対であれば、それはそれでかまわないのだけど……
  講談社のオンライン上の著作物取り扱いのお願い 。そういえば、前にも見たなあということを思い出しつつ。 こちらのページ の方が講談社にその意図を質問したらしく(「著作権についての見解 2」から行けます)、その返答によれば、あくまで一般論としての著作権の適用の範囲を示したものらしく、個々の適用に関しては作家の意思を優先し、また悪質なものでなければ摘発などもおこなわないだろうというニュアンスなのだけど……しかし、ただこう書かれると「全くするな」と書いてあるように読める。ホームページ上の一切の転載や要約も禁止、ってのは流石に著作権の保護範囲を逸脱してる部分もあると思うし。ただのお知らせは著作物ではないし(思想や感情などを表現した表現物ではない)、ストーリーの概略も翻案でない可能性がある。そのつもりではないかもしれないけど、ちょっと嫌な感じはする。自分でもファンサイトをやっているだけに、しこりが残る。


2002年08月02日(金) 旧暦 [n年日記]

その人を知りたければ、権力を与えてみよ

  .hack//SIGN を見たら、「二十世紀のさる高名な空手家が申しております。正義無き力は無能なり。されど力なき正義もまた無能なり、と……」とか言っとりました。萩尾望都に続いて大山倍達かよ!
 話の内容としては銀漢暴走で昴逆ギレ、最終手段の紅衣の騎士団解散発動。「正義」の大義名分ってのは確かに人を酔わせやすいし、権力もまた同様。誰の言葉だか忘れたけど、「逆境ではその人の本当のところはわからない。もしその人のことを本当に知りたければ、権力を与えてみよ」とかなんとかいう言葉があったような。自分にも色んな意味で心当たりがあるので気をつけねば。
  王ドロボウJING の最終エピソードは「ザザの仮面舞踏会」。随分初期のエピソードを持ってきたものだなぁ。しかも前中後編の三部構成。この前までの二回のオリジナルエピソードはそんなに悪くはなかったのだけど、今回はちょっと間延びしてる気が。前後編の二回でもなんとかなったんじゃないだろうか? と、素人考えに。いや、悪くはないのだけど。
 「虹色ラーメン」読んでて、このところの展開はやはり王道だけど、しかし、今王道の話をこれだけきちんと読ませられるマンガ家さんってのはどのくらいいるのだろうとも思う。しかしマスター・ヨーダもオビ・ワン・ケノビもハン・ソロもレイア姫もいるのに、シスの暗黒卿は出てきたりはしないのだろうかと言ってみるテスト。
 チャンピオンで地味ながらちょっと目を引くのが「ショー☆バン」。スポーツ漫画で野球ものはやっぱり王道なのだけど、きちんとスポーツを漫画にしてるなぁという感じが。勝負の駆け引きだとか、読みだとか、チームワークの乱れだとか、才能の開花に伴う慢心だとか、ライバル校が出てきてどうこうとかいう派手さはないけど、ついつい読んでしまうあたり上手いのだろうなぁと思ってしまう。長期連載作が幾つかここ一年で終了してったけど、今の戦況も客観的に見ると悪くないのか。チャンピオン。
 仕事場でやっかいな仕事を押し付けられる。うーん、逃げたいなぁ。でもダメだろうなぁ。トホホ。


2002年08月03日() 旧暦 [n年日記]

ぼくのなつやすみのジュヴナイル

 今日は一日おうちで作業。丸善でやっていたらしい林譲二氏のサイン会に行きたかったんだけどなぁ。今日も最高気温36度越えらしい。
 テレビで「 ジュヴナイル 」をやっていた。初見。
 面白い映画で、とくに言うところはないのだけど、ラストのみに関しては馬場民雄氏によるコミック版の方が良かったと思う。最後の最後で大人の視点に移ってしまうよりは、最後まで子供の視点にしといた方が良かったんじゃないだろうか。この手の映画は、大人が昔を懐かしむものにするよりも子供のためにあって欲しいから、ちょっとそう思う。2点。
 近所の書店に行ったら、「 親日派のための弁明 」が山積みで置いてある。奥付を見ると……げげ、11刷ってなに? 発売が7月中旬だったから、半月で10刷以上は確実に出てることになる。いったい一刷何部なんだろう? 何時の時点かはわからないけど、25万部越えてるみたいだし。良い本、とは言い切れないけど、それだけインパクトが強かった、ってことだと思う。
 弱小出版社でベストセラーが出ると経営が傾くってことは実は結構あるらしい。理由は、調子に乗って増刷し続けるとある時点で需要がぱたりと止まってしまい、それまでと同じ調子でガンガン増刷していた分、不良在庫が出来てしまうかららしい。それを考えると、「親日派のための弁明」は一万部以下ずつ、小出しに増刷してるのかなぁ。
 明日 龍騎 登場(たぶん、出るだけ)の十三番目の仮面ライダー「オーディン」は、タイムベントっつー凶悪なアドベントカードを使うらしい。名前から効用は想像がつくと思います。ハイ。
  東京ミュウミュウ は先週祭だったのできついかと思ったけど、案外とそんなに悪くはない感じ。その代わり来週が血祭りの予感。これ見てると良く出来た絵コンテとそうでないのの違いってのが如実にわかるなぁ。
 親からお中元のおすそ分けが届く。こちらもお中元代わりにトルコアイスを送る。帰省するのかと聞かれる。言葉を濁す。うにゅう。親孝行したいものですなぅ。


2002年08月04日() 旧暦 [n年日記]


2002年08月05日(月) 旧暦 [n年日記]

今日も暑かった

 昨日はあまりの蒸し暑さに良く眠れず、おかげで夜の八時には耐え切れずにダウン。保冷材を氷枕代わりにしたりとかはしてるんだけどなぁ。
  ハリケンジャー は先週から歴代スーパー戦隊物の登場人物がゲスト出演してるらしい。来週は女性だけど誰だ?
  龍騎 は夏休みらしく、子供が関わる話。そう言えば去年の今ごろ、アギトでもギルスと子供の話(そして唯一の小林靖子脚本話)があったっけな。「戦いはかっこよくなんかない」「痛くて苦しくて、それでもゲームみたいにリセットできないんだ」。戦う以外に方法がないのかもしれないけど、戦いは嫌だし、子供にも戦って欲しくない。ある意味「失敗した大人たち」のどうしようもない戦いを、子供に見せる。多分、子供の評判は芳しくないだろうけど、ウルトラマンコスモスとかより素直に受け入れられる。ゴローちゃんがうつむき、拳を固く握りながら「先生が戦うところを、初めて見ました」と震える声で言うところが良かった。でも、「リセットできない」と言いながら来週のタイトルは「タイムベント」……総集編的な話になるそうだけど……しかしジェノサイダーのファイナルベント・ドゥームズデイはまだ出んのか?
 研究室にちょっと用事があり、そのついでに名駅前に出る。本当は「 パワーパフガールズ the Movie 」を見たかったのだけど、丁度時間的タイミングが合わず、「 MIBII 」を見る。
 なんか、前作より面白いんですけど……前作でニューロライザーによって主人公の一人のKの記憶が消されてしまったけども、その消されたKの記憶の中に地球の危機を救う手がかりがあるというので、Jがもう一度Kの記憶をよみがえらそうとする。前作のあのラストでどうするの? と思ってたけども、見事にちゃんと今回の話のキーになっている。「そんなバカな!」という宇宙人ネタも前回よりナンセンス度が上がっていて、前作はただCGの派手さに目を奪われたところがあったけど、今回はナンセンスコメディとしてレベルが上がった感じ。最初にベテランになって威張り散らしてるJがKにはやっぱり若造扱いされてるところの掛け合いも良かった。1.5点。
 本屋に行ったら「クリプトノミコン」の4巻が出てたけど、まだ3巻も読んでないので「 ヤクザの文化人類学 」を買う。イスラエル人の学者が日本の「ヤクザ」「テキヤ」のフィールドワークをしたという変な本。しかし、一概にヤクザっつっても博徒系とテキヤ系は違うと思ってたのだけど……あまり関係ないのかな?
 友人から録画ビデオを融通してもらい、 ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて を見る。OVAの先行放映を関東圏のTVKでのみ放映したらしい。これは一昨年だったかにデジタル有料放送で放送してた「ソウルテイカー」っつーアニメのキャラクターのスピンオフ作品らしい。らしいばかりで悪いが、見てなかったんだからしかたない。前例がないわけじゃないけど、なんつーか、この暑いさなかにこれまた脳みそがうだりそうなものを……ところが見てみて、絵コンテレベルでしっかりしていて、作画、動画もちゃんとしたレベルなので、実は案外と悪くはなかった……けど、アレはなんとかならんかったのか、アレは。八頭身だとかオマエモナーとかおにぎりワッショイだとかやりたい放題。 2ちゃん でも えらい反応で ……いや、まあいいんですけど。
 あ、それと一昨日の日記の「林譲二氏のサイン会」っつーのは「小林泰三氏のサイン会」の間違いでした。申し訳ありません。暑くて脳みそとろけとるんかいの。


2002年08月06日(火) 旧暦 [n年日記]

今日もやっぱり暑かった

 ってえか、 38.2度ってナニ ? 百葉箱のあるような条件の良い場所でも、空気が体温より熱いなんて……ここより暑いところなんて、静岡県佐久間町の39.1度くらいじゃないのか?
 ボスが夏期休暇なので、それに合わせてか研究室でも休暇の人が多い。静かなのはいいのだけど、古い空調設備のせいで、室温が日中30度を下回らない。それでも外よりかは随分ましなのだけど、なんで名古屋がこんなに暑いのか。全国主要都市の中では一番じゃないのか?
 前面に港湾を擁し、背後に山を背負う。古くから栄える都市にはこの条件のものが多い。風水とかでもこれは栄える都市の条件のひとつに上がってるらしく、このような条件の土地は海の民と山の民の交わりがおき、交易が活発になるものらしい。もっともこれは中世以前のことで、運送流通の形態ががらりと変わった現代でもその条件たるかは知らないけど、そのせいでかフェーン現象でも起きてるんだろうか? とにかく暑くてたまらない。同じような立地の大阪や東京はさほどでもないはずなのになぁ。
 今日は、ひとつ目の原爆が広島に落ちた日。戦争中の行動の何が本当で何が嘘だったか、何が正しく何が間違っていたか、簡単にいえることではないけども、原爆の使用による市街地の人間の大量殺戮は、明らかに国際法違反。もっとも、それは現代でもアメリカのお家芸で、国際法などというものは国家間の力関係によってたやすく無効化されるということでもある。アメリカのよくある言い分は、ソ連の参戦を防いだ、というもの。確かに、何故か日本はアメリカよりもソ連を頼りに和平を結ぼうとしていた(何故か心情的にソ連に好意を持つ人間がいたからでもあろうし、アメリカと拮抗しうる国力のソ連を頼ることで交渉を有利に運ぼうという腹だったのかもしれない。ソ連がそんな甘い国ではないことは、 ポツダム宣言 を受諾した八月十五日以降に( 降伏文書 を交わしたのは9月2日ではあるのだけど)ソ連が南下して占守島等で日本軍と交戦したことでも結果的としては明らか)。もしかすると、原爆のインパクトがなければ、ポツダム宣言受諾が遅れ、タイミング的にソ連の本格的な参戦が起こったかもしれない。そうでなかったかもしれない。歴史を「たられば」で悔いることには意味がない。しかし、長崎で45年で12万人、広島で14万人以上の人間が亡くなり、それをはるかに越える人数が後遺症で苦しんだ、それもそのほとんどは非戦闘員だったのは事実。
 それでどうなるというものでもないけども、しばし黙祷を。
 昼は大須のトルコ料理店の メルハバ でランチを食べる。メニューはチキンのシチューとラム肉と野菜の煮物。トルコの家庭料理なので、味付けもマイルドで栄養バランスもいいのが嬉しい。
 名古屋にいて良かったことのひとつは、トルコ料理店が近くにたくさんあることだなぁ。暑くて死にそうだけど。


2002年08月07日(水) 旧暦 [n年日記]

それでもやっぱり今日も暑い

 暑いしか言うことないんかと自己突っ込みの気力も湧かないほど暑い。昨日よりは涼しいけど、それでも最高気温は37度を超えてます。うだる。
 あっちこっちで話題になってる ジャンプの人気漫画家が児童買春の容疑で逮捕 。最初「ジャンプの漫画家が児ポ禁法違反で逮捕」と聞いて「言論弾圧!?」とびっくりしたのだけど、違いました。逮捕の段階では「容疑者」に過ぎないし(法的には裁判で確定するまで犯罪者ではない)、コスモスの太陽クンの件で少し懲りたので余計なことは言わないでおきます。でも、自分から小遣い欲しさに買春をもちかけて来た場合でも買った方が犯罪者ってのはアンバランスな気もする。相手が16歳とのことで、16歳はそのような形で保護されねばならないのかどうか、とか色々考えるけど、強制的な売春とかを考えた場合、自動的に犯罪となった方がいいのかもしれないとも。私にはそういう趣味はないので関係ないですが。
  2ちゃん ハングル板の なんだかなぁなスレ 。まあ、立ち消えかなあと思ったら、1が戻って結果報告。事前に不穏な動きに気付かれたのか学校側から妨害を食らい、ブチキレ1が嫌がらせをしたところ、教師や生徒の大多数から大反発、生徒会長を降任させられそうだという。……まあ、 やってること 厨房だものなぁ。でも、議論の余地なく無理やり当時のことをよく知らない生徒に謝らせるという茶番をやらせる教師とかもそれ以上になんだかなぁ。この教師たちはなにをしたかったのだろうか。まあ、学校教育なんてそんなものと言ってしまえばそれまでですが。
 それよりかはこのことで 彼女にふられた というのが妙に切ない。
 ちなみに研究室は今日も静か。


2002年08月09日(金) 旧暦 [n年日記]

ヤクザの文化人類学

  ヤクザの文化人類学 を読み終わる。期待の一部だったシノギの内訳などには触れていなかった。主観がヤクザに寄っているところもある。あと、主にフィールドワークを行ったのはテキヤ系のヤクザであるが、博徒系との境界がはっきりあるわけでもなく、その中間的な存在もいる。その上で、ヤクザに一般人が持つイメージ(フォークロア、と言ってもいい)、そのイメージも受けて形成していくヤクザの自己イメージ、そして実際の姿、そしてその変化が主眼になる。恐れ、軽蔑しながらも過去への郷愁や男らしさを持つアウトローなどといったイメージを一般人は期待し、ヤクザもその期待に応える振る舞いを行う。この本ではヤクザが全肯定されてるととられる恐れもあるが、そうではなく、ヤクザの行動原理をそこから導き出していくことになる。周辺の中の存在であるヤクザ……良くも悪くもアウトロー的な性質を帯びる……の一般から見たイメージと主体から見たイメージの差違、作用、その変化などを語るが、ヤクザの持つ幾つかの性質は、オタクと呼ばれる人種にもあてはまることに気付いた。周囲に蔑まれる外見的、服飾的性質を持ちながら、自己を一種、そのようなイメージの被害者であると考えるところがあり、また、自己を社会全般と対比して価値ある周辺者と見なしてかえって周囲との差別化をはかるところもある……人によっては、ヤクザ同様無意味に男らしさを自己規範に持ち込むことを好むものもいる。勿論、人によってそれは違うし、「ヤクザにあこがれてヤクザになる者」はいても(しかたなく、という者もいるだろうけど)、オタクにあこがれてオタクになる者はまずいないなど、「イコール」でくくれるようなものではない。「ヤクザとオタクは似てる」というのではなく、周辺者が取る行動のパターンというのは、ある程度特定できるのではないか、と思った。
 視点に全肯定はできないけども、なかなか思考に刺激を与えてくれる本でした。
 この本の感想自体とはそれほど関係ないけど、最初の方のところにヤクザと接触を行う話をいろいろするところで、
言い換えれば私はヤクザと対話したかったのであり、ある意味では「研究」は目的というよりはそのための手段であったのだ。
という部分は、研究者として思わず苦笑しつつ同感。

  .hack//SIGN は紅衣の騎士団を解散し、その指導者である立場を失った昴の話。詳しくは言わないけど、個人的になかなか痛いところのある話でした。現実の昴がどのような環境なのかは、最後にノートパソコンに向かう、車椅子の少女(眼鏡付き)が示唆しているのだと思う。一部ではむしろ「昴リョウジョクワショーイ」だったようですが。


2002年08月10日() 旧暦 [n年日記]

東京アンダーワールド

 えー、ある方面の話題を期待してる方がいるかしれませんが、ここではその話題には触れません。悪しからず。いや、誰が見てるかわかりませんもの。
  東京アンダーワールド を読み終える。「六本木のマフィアボス」とも呼ばれた元GI、ニコラ・ザペッティ(後に帰化しニコラ小泉) という人物の人生を中心に、戦後の「ヤクザ」「海外マフィア」の日本政界・経済・文化への関わりを描いていく。
 昨日触れた「 ヤクザの文化人類学 」がヤクザの行動原理、社会学的意味を求めているのに対し、これはあくまでルポとして、ザペッティという、アウトロー指向の強い(警官よりもギャングを成功者として見るNYのイーストエンド出身だった)人物が、戦後日本でマフィアボスになりあがろうとして(正確には、マフィアボスというよりフィクサーに近いのだけど)、その過程で日本独特の政経界の闇を担うヤクザの暗躍を描いていく。それは、「ヤクザの文化人類学」で「カタギ」が期待しているような「暗部」であるけども、主にザペッティのインタビューには寄っているけども、多くの報道、関係した人物などからの証言からによる筆致はなかなかあなどれない。関わった人物には、力道山や後に映画俳優に転校した安藤昇など、報道をにぎわせた人物も多い。
 あくまでヤクザを正当化するわけではない、と前置きしておいて述べる。現在までのヤクザの関わる(表立っている、立っていないに関わらずj)諸々のゴシップの大元は、急速に拡大した日本の社会及び系勢に、小さい社会のときに地域社会で或意味必要とされていた形態のまま、ヤクザ側とそうでない側がそのまま拡大し、根本的な構造が変換しなかったことが一因であるように思える。
 「ヤクザの文化人類学」とは視点が大分違うが、著者の立場の違い──学者とジャーナリスト──を考えると当然ではあるけども、異なる視点(まったく異なる視点、とは言わない)から立体的に戦後ヤクザの日本政経界に果たした役割というものをある程度立体的に浮かばせるには、なかなか良いテキストかもしれない……と少し思った。そうでなくとも、日本で紆余曲折を経て成功と挫折を味わうザペッティと日本社会の変遷を追うだけでも面白い。あと、日本は現在の韓国を迂闊に笑えないな、と思い知らされた。
 で、今読んでるのは「宇宙兵ブルース」だったりするんだけど。