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2004年09月11日() 旧暦 [n年日記]

[必殺] 私にも父親をどうぞ

 必殺からくり人 第十一話。
 楽しそうな父娘連れを池の傍で見、自分の父親について母・仇吉に尋ねるとんぼ。父を知らないとんぼにとっては、やはりどうしても知りたいことだったのだが、仇吉は言葉をはぐらかし決して話そうとしない。仇吉にとってはあまりに辛い思い出だったのだ。
 そんなとんぼに、声をかけてきた男がいた。男は絵師の歌川延重。なぜか花乃屋一家の島抜けのことまで知る彼に頼まれ、とんぼは仕方なく絵のモデルになることを承諾する。
 そのことを知った仇吉は、ようやく重い口を開く。
 二十年ほど前、仇吉は当時「お艶」と言う名の深川の辰巳芸者で、そしてまだ駆け出しで売れない絵師だった延重は延次郎と言い、将来を誓った仲だった。恋人の才能を信じ、やがて芽が出るのを楽しみにしていたお艶だが、延次郎はそれまでとても我慢が出来なかった。思い余った延次郎は出世の手蔓を掴むため、お艶を騙しオランダ人のカピタンに抱かせてしまう。恋人に裏切られた上、毛唐の慰み者として世間から石持て追われる身になったお艶は鳥追いにまで堕ちていく。心身ともにボロボロになった仇吉だが、その上自分が妊娠していることを知り、宿した子がオランダ人の子ではないかという恐怖におびえる。そして、自分を捨てた延次郎を見かけ、たまらず斬りつけた。しかし復讐はならず、その罪で仇吉は八丈に島流しとなった。
 島抜けしてからも延次郎を探し続けていたお艶こと仇吉だったが、つい先日、延重と名を変えた延次郎を見つけたのだ。
 自分がオランダ人の子ではないかとおびえるとんぼ。しかし、仇吉ははっきりとそれを否定する。つまり、とんぼの父親は延重なのだ。しかし、延重はとんぼが実の娘と知らず、仇吉と同じ方法で慰み者にしようしている。もはや仇吉には男を許すことができなかった──

 今回未放映だった一話。
 仇吉の口から辛い過去が切々と語られていく。当のとんぼに向かってオランダ人の子じゃないかと怯えた挙句に堕ろそうとしたことや(これがまた自分の腹に石を叩きつけるかなりえぐいシーン)、とんぼの父親が自分が殺そうとした男だということを粛々と語っていく様は残酷で怖気が出る。
 オランダ人への忌避感がこれでもかというほど描かれるが、当時の感覚としてはそういうものだっただろう。また、二十年近く前の仇吉=お艶も山田五十鈴が演じていて、ライティングやフィルタリングで肌などをごまかしてるが、さすがにどうしても近くにカメラが寄ると無理が出てしまう。後のとんぼが仇吉そっくりになった最終回の最後のシーンを考えると、ジュディ・オングが演じるのも一つの手じゃないかとも思うけど、しゃべり方とか所作は演技力で若々しく見せ、また堕ちた後の迫力はちょっと当時のジュディ・オングでは無理かとも思えるし、悩ましいところ。なにより、そんなことしたら視聴者が見てて一体誰かわからないんですけどね。多分。
 今回の悪役は実在の絵師歌川延重なのだけど、これが本当に外道としか言いようがない。オランダ人と日本人の間に出来た娘たちを平気で食い物にするし、とんぼを実の娘と知らず陵辱しようとするし。
 最後の仇吉と延重の絡みはそんな延重への情念と女の恨みが絡んで、アクション的な派手さはないが間違いなく見所。


2004年09月12日() 旧暦 [n年日記]

[その他][アニメ] 映画話

 先の金曜日、 深+ で「シネマ夜話」と題打って映画話の日とのことだったので、珍しく一人で行く。珍しく、って言うか一人で行くのは初めてだな。出入りするようになって結構長いのだけども。
 で、店に入って初っ端にマスターから一言。「鈴木ぃ? お前、日記に店のこと書いてるって?」
 あ〜、いや、なんというか、その、実際あったことしか書いてませんよ? ないことは書いてませんって。ホントですって、ホント。
 いえ、実際は単に「すずき」という名前でネットの日記にそういうこと書きそうなのが私くらいだってんで確認されたってだけの話なんですが。
 で、今回はホスト(ってのも、お客さんなんだからちと変な言い方か?)のうち二人が不在ということだったのだけども、映画のパンフレットが段ボール箱数個になるというMさんがすさまじいまでの博覧ぶりで、まあ私もどうにか端っこに食らいつくことができました。
 お客さんの中には「映画の日」と知らずに来た方もいたけども、結構上手く話題が回っていたような。
 次回は、というか、毎月第二金曜日の定例ということで決定だそうなのだけど、来月8日金曜日。げ、ひょっとすると別の用事が入るかも……ううん。
 翌日土曜日、ここんとこ一週間で一番楽しみなアニメになっている ウォーターシップダウンのうさぎたち を見る。今回は裏切り者としてエフラファーに幽閉されつづけているキャンピオンを救うべく、キャンピオンを陥れようとするバーベインを騙して失墜させる。この騙し方が馬鹿馬鹿しいことこの上ないのだけども、思わず笑ってしまう。要はバーベインの目の前にネズミのハンナを魔法使いに仕立てて登場させ、仕込み有りの軌跡を見せて、見事ウーンドウォート将軍にバーベインがおかしくなったと思わせてしまう。
 キャンピオンは隊長を解任されながら元の部下からの尊敬が厚かったり、また、ヘイズルたちウォーターシップダウンのうさぎたちに協力しながらも、それはあくまで「ウーンドウォート将軍にこれ以上道を誤らせないため」であり、危険はいまだに完全に去っていないにも関わらずウォーターシップダウンへの亡命を断る。以前にもヘイズルの妻となったプリムローズに想いを寄せながらも決して彼らに嫉妬することなく、プリムローズのため、そして自分の信念のため行動している。実に男っぷりのいいうさぎ。一応、今回キャンピオンがインレの黒ウサギ(うさぎたちの言い伝えの中の死神)に捕まるというファイバーの予言は一応はずれたわけだけども、まだ完全にはずれたとは言い切れないのだよなぁ……


2004年09月14日(火) 旧暦 [n年日記]

[その他][必殺] ちょいと出ました三角野郎がぁ

 近頃世間に流行るもの……じゃなかった。近頃ここんとこ、ちと映像をいじってて、その関係で積読?だった「新必殺からくり人」DVD一話を見る。いや、最終回だけは見たことあったのだけどね。
 真っ先に気になるのが、BGMがほぼ全部過去の作品(主に「必殺仕掛人」)の使いまわしということ。内容自体は結構いいのだけど、BGMの使いまわしのせいでやはり安っぽい印象を受けてしまう。せめてクライマックスのBGMくらいは主題歌のアレンジとかでやって欲しい。唯一見た最終回の印象も妙に薄かったのだけど、多分、そのせいもあるのだろうなぁ。テレビシリーズにおいてBGMの独自性ってのが意外と重要ということを認識しました。
 で、なんだかんだで印象に残ったのはジュディ・オングが演じる「小駒」の独楽での殺し(「必殺からくり人」では、ジュディ・オング演じる「とんぼ」は殺しはしないキャラだったので)と、噺家塩八の「催眠術殺し」。後者はどういうものかと言うと、相手を話術で催眠状態に陥れ、屋根の上からダイブさせるという……塩八はシリーズ途中で降板し、最終回ではいなかったので、話には聞いていたのだけどこれが初見。無茶にもほどがあるのだけど、演じるのが故・古今亭志ん朝師匠で、話術の語り口の上手さでなんとなく納得してしまう。
 火吹きのブラ平の技はかなりダイナミック。
 ちなみにこのシリーズでは牢抜けした高野長英が蘭兵衛という偽名で殺し屋として参加。レギュラーの殺し屋で実在の人物って、これの高野長英と、「仕事人 激突!」の山田朝右衛門くらいじゃないのかな。今回初めて気付いたが。

 ここんとこず〜っとgoogleのbotのアクセスが結構集中していて、なんだかなぁと思いつつ無視してたのだけど、先週末くらいからようやく止んでくれた。
 と思ったら今日からまた再開。一日千件近いとかいうmsnのbotみたいなことはないのだけど、それでも数百はアクセスして来やがる。頼むからルーチンをもちっとなんとかしてくれ。でないとアクセス制限するぞ。

  北朝鮮で、前回の竜川駅の三倍の規模の爆発が起こった事件産経 )だけども、核実験ってのは、まあいまだもって大真面目に主張してる人がいればお笑い沙汰で(だってそんなの、素人でも放射線値を測定すれば異常が起こったかどうかはわかるし)、北朝鮮当局の「水力発電ダム建設のもの」というのもまた馬鹿馬鹿しい言い訳。じゃ、なにか、っていうのがわからないので、軍事施設での事故とかいう話がなんとなくもっともらしく聞こえてしまうのだよなぁ。竜川での爆発も、かなり不可解なところが多くはあるのだけどね。
 各国もこれをどう対処、または利用するのかな? 利用するなら上手いこと利用してほしいけど。

  M・I・Qをぶっとばせ!めぞん六星 さん)を 朝目新聞 さんからたどる。細かいところ言うと反論の余地はあるのだけど、「デイトレーディングをしない奴は馬鹿」みたいなところとか、そのリスクを示さずに「ギャンブルでなく投資」と言葉の上っ面のつくろいをしたりとか、世の中の仕組を教えてやる的な物言いの割に実は思考停止的な内容だとかが気になっていたので、この記述内容にはその趣旨に大いに賛同する。特に、マネーゲームをしない、地道に働く奴は馬鹿、的なところは非常に癇に触っていた。
 別に投資自体は反対しないけど、そういった投資自体がなんらかの生産的産業の上に成り立っているものであるのは、当たり前の大前提。もし皆がマネーゲームに走り生産的活動を一切しなくなれば、「デイトレードが今トレンド」なんてことは言ってられない。別にマネーゲームで一攫千金、という爽快さを描くという趣旨ならば、それ自体は娯楽作品としては否定しないが、その下敷きになる当たり前の大前提が欠如してる時点で、この漫画は何かおかしい。
 倫理云々をいうつもりはないが、まともに考えれば思い当たることを、前提からすっぽ抜けさせてるのだもの。なにかが狂ってる。


2004年09月15日(水) 旧暦 [n年日記]

[その他] また韓国の貨物船か

  漁船と貨物船が衝突船長死亡OBS )。こう事故が頻発するのでは、いい加減きちんと対応すべきでは? マスコミもどうでもいいことは報道するのに、韓国がらみの事故だと腰が引けすぎ。
 これでむしゃくしゃしたから、ということではないけども、 韓国人と仕事で困ったことスレ で久々に大物発見。
  親族会社で管理してる貸し店舗に店子で入った韓国人のトラブル なのだけど( 続報その1 その2 その3 その4 その5 )、家賃滞納をきっかけとして契約違反の使用、店内の無断改装など、出てくる出てくる。で、当然のように滞納した分の家賃と店内内装の修繕費を請求し、支払い拒否されたので、差し押さえを前提として店子の財産状況を調べていたら、店子の嫁さんが乗ってるニュービートルが偽造ナンバーの盗難車だったことが判明、店子の嫁さん逮捕という予想外の展開に……これは久々にキター。
  地震で乳白色復活──雲取温泉Y!hl )。乳白色が薄まって、客にはナイショで入浴剤を入れていた温泉もあったけど、まあこちらは良い話と言って良いかと。


2004年09月16日(木) 旧暦 [n年日記]

[その他] 二日連続で半島ネタってのもなんですが

  北朝鮮帰還事業で新資料 政府や日赤の積極関与明らかに朝日 )。資料は新しくても、所詮内容はこれまでに良く知られていることで。おまけに当時は帰国者のたどる運命はほとんど誰も知る由もなく、後知恵もいいところの朝日新聞のみっともなさだけが目立つ記事ですな。
 ついでにもひとつみっともないところは 朝日新聞朝刊 1959年12月25日 「ばく進する馬」北朝鮮朝日新聞朝刊 1960年2月26日 北朝鮮帰還三ヵ月の表情 =きょう第十船が出る= (共に 日本財団 内コンテンツ)などと書いていたことはすっかり忘れたかのようにふるまっていること。健忘症? これらの記事を併せて読むと、新資料からわかる日本政府の行動はまったく正しいことをしてるようにしか見えない。
 朝日新聞って、本当にこの手のことに関してはバカ丸出しだなぁ。


2004年09月17日(金) 旧暦 [n年日記]

[その他] 何故かいらつく

 まあ、大体においてこういうときは人様のせいというより、自分に優しい言い方をすれば「虫の居所が悪い」、そうでない言い方をすれば八つ当たりに近い(ほとんど八つ当たりなんだが、根拠もまるっきりないわけではないので)だけなのだけど。
 そもそもあたしゃみんなで飯食いに行って、特に理由(お店が忙しくってまとめて同じ注文した方が親切とか)も無しに全員が日替わり定食を頼むなんての状況が腹に据えかねる人種なんである。なんでいろいろ並べて目で楽しもうとしないっちゅーねん! まったく芸のない。
 腹の立つことは別にそれだけじゃなくって、三週間経つと言うのに修理に出したノートPCが返ってこなくって、窓口になった購入店に文句をねじ込みに行く。元来が妙なところで抑制の効いた性格なので、切れて文句をぶちまけることも出来ず、修理が終わって返ってくる日がいつかを問い合わせてもらう、ということで店を後にする。ところが、店を出て二、三分、電話が鳴ったかと思うと、「もう修理が終わって、こちらに発送したそうです」。はあ、そうですか。届いたら連絡お願いします、と切る。そしてまた二分ばかりして「あの〜、今日届いた分の荷物を調べたらあったので、良ければ取りに来ていただけますか──?」いや、たまたまそういうタイミングだったってのはわかってるんですよ。わかってるんですけどね。逆に考えれば後日出向かなくって済んだわけでもあるし。
 で、受け取るのだけど、HDD交換という結果が知らされただけ。「故障の原因は?」と聞いても、まあ別にメーカーの修理担当じゃないのだからわかるわけはない。ま、それはいいんですけどね。「詳しいことは、メーカーのサポートセンターに聞かないとわかりませんので……」と言ったので、「じゃ、サポートセンターの連絡先教えてください」と聞いたら、それが判明するまでまた待たされる。まあ、そこまで聞く人間も普通は滅多にいないのだろうけどね。わかっちゃいるのだけどねえ……でも、当人が「サポートセンターに聞かないと云々」って言ったんだぜ?
 まあ、それでもなんだかんだで手間を取らせたり取ったりで連絡先を聞き、サポートセンターに電話。掛けたときには担当者が用事中だったということで手が空いてから掛けなおしてもらうのだけど(これがこちらのPHSがつながりにくくって何度か掛けなおしてもらって大変申し訳ない)、やっぱ購入店を介して話をするより話が早くって助かる助かる。こちらとしてはこっちが悪いにしろ欠陥にしろ原因が知りたいだけなわけで、それを聞いていたのだけど、どうも最初はクレーマーかも、と身構えられたらしく、かなり予防線を張った言われ方を。どうも1.8ich HDDの回転軸が結構衝撃に弱いらしく、持ち運びが頻繁だとその衝撃でガタが来るよう。ノートで、しかも軽さを売りにしたノートで持ち運びが出来んってどういうことじゃー! と一言言いたくなるが、軽さとのバーター取引だし、こちらもその軽さに惹かれて買ったわけだし、仕方ないって言えば仕方ない。それに、持ち運びの頻度にもよるわけだし。
 今回の故障で、立ち上げ時にHDD自体を認識しないことがあることを伝えたら、「もし、今度また故障したら、詳細な解析に回しますので、その旨ご連絡ください」と。いや、そんなにしょっちゅう故障されたら困るんですが、と思いつつ、こちらが単純に故障への対策を知りたいことがわかってからは割と親切な対応でした。
 しかしこれから環境の再構築か。まったく頭が痛い。今度は一旦構築しなおしたら外付けHDDでまるごとバックアップを一度取っておくか。


2004年09月18日() 旧暦 [n年日記]

[その他] みるみる痩せる! ぐんぐん痩せる!

 一通りノートPCの環境復元が済んだので、とりあえずバックアップ中。これで(故障が)多い日も安心。(ってオイ)
 ようやく以前買ったリムーバブルHDDケース利用の外付けHDDキットが役に立つというもの。安く済むし。
 それはさておき、一昨日は職場の送迎コンパで、昨日も八事に新しくできた チェーンの定食屋 で結構きっちりメシを食ったにも関わらず、あまり体重は増えていない。これって機嫌が悪かったので代謝量が一時的に増えたのかしらん? まあ、ここのところ意図的に運動量を増やしていて、おかげで顎の下やお腹まわりの贅肉が大分減ってきてはいる。ただ、不思議なことにある時点でほとんど体重が減らなくなった。運動量が増えたので筋肉がついてきてるというのもあるのだろうけど、それだけなんかな? 内臓脂肪がその分増えた、だったら目も当てられない。皮下脂肪より内臓脂肪の方が怖い。筋肉量が増えたのなら基礎代謝量も増えるのでいいのだが……
 一昨日というと、そういえば街中で ブタ を見たんですが。いや、ブタのような人という比喩ではなく、文字通りのブタ。珍しかったんで思わず写真まで撮ってしまったんですが、清潔だし、大きさもそんなに大きくないことから、多分 ペット用の品種 でしょうな。そういうのがあるのは知っていたのだけど、実際に見るのは初めてでびっくり。それにしてもリード(紐)もなにもつけられていなかったのだけど、大丈夫かしらん? (多分)噛み付いたりしないだろうし、結構利口だとは言うけどねえ。

 雑誌で 和月伸宏氏キャラデザの新選組ゲーム の記事を見て、「おや?」と思ったことがある。先日、たまたまNHK大河ドラマの「新選組」を見て気になったことでもあったのだけど、顔が四角い人がいないんである。それが流行りなんだから、という意味ではべつにとやかく言うつもりはないのだけど、幕末期って言ったら出鱈目にダイナミックで、それこそ魚なんか頭から骨ごとバリバリ食いそうな生命力の人間が数多活躍した時期で、なのに生命力が弱そうな線の細い美青年ばっかりってのも……せめて、近藤勇くらいは四角い顔にしようよ。

 ここ数日の買い物。
パイド・パイパー 自由への越境/ネビル・シュート
武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新/磯田 道史
神様家族/桑島 由一

 今、 アンニョンハセヨの国で を読んでる最中。四年前のバルセロナオリンピックの年に日本のビジネスマンが韓国で体験したこと。中国での工場立ち上げを経験したビジネスマンですら音を上げたがる韓国人の労働意識、ろくでもない上司(日本人)。それでも信じて自分の為に働いてくれる人。試合はあらゆる意味で負けなのだけど、でも得たものは確実にある。

 明日は実家に帰ってPCのメンテをするのでお休み。


2004年09月20日(月) 旧暦 [n年日記]

[読書] 武士の家計簿「加賀藩御算用者」の幕末/篠田道史

 天保年間から維新後の明治の時代にかけて付けられた、加賀藩の御算用者(秘書と会計を兼ねたような役職)の家の、詳細な家計簿を解説した本。
 武士の付けた日常の記録というと朝日文左衛門の「鸚鵡篭中記」( 元禄御畳奉行の日記 尾張藩士の見た浮世/神坂 次郎 参考)が有名だけども、この猪山家による家計簿の稀有な点は、日常の支出が事細かに記述されていること。「鸚鵡篭中記」はあくまで日記であり、大雑把な経済状態はわかるが、そこまで詳しくはない(もっとも別の意味で資料性は高い)。猪山家は一度借金地獄に陥り、それは清算したのだが、それをきっかけに家計簿を付け始めたこともあり、「武士の経済学」というものが如実にわかる稀有な資料である。
 ふたつめには、朝日家は百石とはいえ元々知行(所領)持ちだったのに対し、猪山家は最初は知行を持たない、朝日家より恐らく家の「格」は下である点が違う。したがって、日記と家計簿という違いはあるにせよ、朝日文左衛門が割と悠々自適という印象なのに対し、こちらは実は儀式儀礼での出費が意外とかさむ下級武士の汲々とした様が感じられる。
 もうひとつ、幕末という激動の時代が反映されているということがある。実は二代に渡って付けられたこの家計簿、息子の成之は大村益次郎に兵站事務の腕を見込まれヘッドハンティングされて、後には新政府の海軍省に勤めている。維新後の武士の困窮はかなり有名で、没落した挙句娘を売り払うまでするという例はざらにあったのだが( 松平三代の女 参考)、その意味では、経済的には猪山家は成之が海軍に出仕したということでかなり恵まれていた。そのため猪山家には親類や元同輩からの資金援助要請などがひっきりなしに来たのだが、その資料も部分的に掲載されており、投資などが上手く行った者と、武士の商いで失敗していった者とが如実に別れているのがわかる。明治維新以降はどちらかというと書簡や関係者の言葉などがむしろ多く記載されているが、武士の意識と言うのがどう変わったのか、あるいは変わらなかったのか、という点でも非常に良い参考になる。
 丁度実家に帰る新幹線の中で読み終わったのでこういうのが好きな父親に押し付けてきてしまった。
 江戸時代、おそらく最大の消費社階級だった武士の消費構造と、それが維新によってどう変化したのか。興味のある人は必読。