Episode 6:Silent Moon,Sinked Faith
第6章:凍れる月に、眠るもの

半年前、中米、パナマ地峡近く…

「失礼、タバコはよろしいかしら?」
彼の前のその女は椅子に座りながらスペイン語で言った。
「別に構わんさ」
彼は日本語でそう答える。女は手持ちのハンドバッグから緑のパッケージのメンソールを取り出すと、一本を、形のいい唇にくわえ火をつけた。
そして箱を彼に差し出す。「あなたも、どう?」
彼はそれに両手を挙げて手を振り、結構、と答えた。両手とも挙げたのはその手首が手錠でつながれていたからだ。
「うれしいが、今は禁煙中でね。それにメンソールは好きじゃない」
「そう」そう答えると、タバコとライターをバッグに戻した。「それにしても、東洋系とは聞いてたけど、日本人とは思わなかったわ」
「日本語を喋れば日本人ってわけじゃないぜ」
男が悪戯っぽく笑う。
「あら、違ったの、悪かったわ」
少しもすまなさそうには見えない。
「いや、別にいいさ。本当は日本人だからな」少し肩をすくめて見せる。「ところで、よく俺と面会なんか出来たな」
そう言って脇に立つ、ライフルを持ったネイティブアメリカンと白人の混血らしい男に目をやる。
「まあ、それ相応の代価はあったわね」
「金か?」男が聞き返す。
「政府軍はあとひと月は、ここのゲリラに悩まされるでしょうね」そう言って、監視の男を見る。「金よりも現物支給がいいそうよ」
「そいつは豪勢だ。俺一人の為にまた何人も兵士や、ゲリラたちが死ぬわけだ」
自虐的な笑いをする。
「それはたいした問題ではないわ」
女が冷たく答える。
「俺は何時からVIPになったんだ?もっとも…」不精鬚をさすり、汚い小屋の中を見回す。「VIPって待遇じゃないけどな」
女は煙を吐いてから言った。
「私がゲリラ軍におかしくなった東洋人の傭兵が捕虜になったと聞いた瞬間かしら?それとも、あなたが二週間前、立てこもった政府軍の傭兵部隊の中でただ一人生き残って、捕虜になった瞬間かしら」タバコを床に捨て、靴で踏み火を消す。「おかしな戯言をわめきながらね」
男は目をそらし、手を振った。
「あの時は俺も興奮しててね、ちょいとおかしくなってたのさ」
「白い子供…」女の言葉に男がぴくっと反応した。「見たんでしょう?あなた」
女は微笑しながら男を見る。
男は女を凝視した。「知ってるのか?」
「会ったことはないけどね」女が脚を組み、ずい、と男につめよる。「大人しく私達の調査に協力して下されば、身柄の解放を保証しますわ」
「あんた誰だ?」男が始めて聞く。
「詳しい身元はここでは言えません。ただ日本政府の意向で動いてる者、とだけ言っておきましょう」そして女は思い出したように付け加えた。「そう言えばまだあなたのお名前をうかがってませんでしたわね」
「自分から名乗るのが礼儀だろ?」
男が皮肉っぽく言い返す。
「名前くらいならいいでしょう」女は言った。「長瀬ヒロコと申します。あなたは?」
「本名は忘れた」男が冗談めかして言う。「他の奴は好き勝手に呼ぶしな」
「通り名でいいわ」
長瀬ヒロコが言った。
「一番最近のあだなは…」男は思い出そうとするように天井を見つめた。「…トードだ」

***

「奴が?真昼間から?!」
シンジを別室に送った後、内務省諜報部長室でトードが驚愕の声をあげた。
「そうよ」長瀬がいつになく緊迫した声で答えた。「今日の午前、第二東京市市内の銀行に二人組の強盗が押し入ったの。そして、2時間後、警官隊が強行突入した時には…」
「誰もいなかった、と?」
長瀬がうなずいた。
「犯人二人、及び銀行員、顧客、推定40名以上が行方不明よ。わずかに救出された人間の証言から、チェシャキャットの仕業であることは確かね」
「またもやニヤニヤ笑いだけを残して消えた、と言うわけか…」
半年前のことを思い出していた。奴は立てこもり、弾も尽きかけた俺達をみんな飲み込んでしまった…半狂乱になりながら逃げ出した俺を除いて。
それではさっきあの女の子と別れた後に見たのはやはり奴だったのだろうか、とトードは思ったが、今はそのことを口に出すのは控えた。長瀬に対して、切札は隠し持っておいた方がよさそうだ。
「で、俺に何の用なんだ?」
「外出よ、ついてきなさい」長瀬は命令口調でそれだけ答える。
「外出?どこへ?」
「取り敢えず大臣の執務室。その後屋久島よ」
長瀬は立ち上がった。
「屋久島?なんでそんなところに?」トードが不審な顔をする。
「事態が逼迫してきたの」かつかつと扉の方へ歩きながら答える。「全てを知るはずの人物がそこにいるのよ」

長瀬とシンジとトードとが、揃って「執務室」と書かれた札のある扉の前に立っていた。
長瀬がその扉をノックする。
「入りたまえ」中から声がし、扉が開く。扉のすぐ前で秘書と思しき人物が立っていた。
「どうぞ」入室を促す。「ただそちらの方は室外でお待ち下さい」トードをさして言った。
「彼も一緒に入室させなさい」長瀬が秘書に言う。
「駄目です」秘書が拒絶する。「部外者の入室は禁止させて頂きます」
「しかし…」長瀬が言いかけた時、
「長瀬君」奥から大臣が声をかけてきた。「悪いが私は得体の知れん人物と同席する気にはなれんのだよ」
長瀬の顔で一瞬不機嫌そうに眉が寄せられた。
「悪いわね、外で待ってて」トードに向かって言う。
「何、構わんさ」肩をすくめて見せた。
「トードさん、」シンジがトードに話しかける。「部外者って、内務省の人じゃなかったんですか?」
「ああ、違うよ」
「じゃ、自衛隊の人ですか?」
「それも違う」
じゃあ、あなたは誰なんです?そう聞こうとした時、秘書の声がした。「どうぞお入りください」
「来なさい。シンジ君」長瀬にも促され、シンジは部屋の中へと入っていった。
背後で扉の閉まる音がする。
「碇シンジ君だね?」デスクの前に立ったシンジを見て、大臣が言った。
シンジは大臣を見た。初老の、かた太りの男。あまり偉そうな人にも見えなかった。
「そうです」シンジが返事をしないのを見て、長瀬が答えた。
「で、肝心の”チェシャキャット”と”ガリバー”の方は?」
「”チェシャキャット”に関してはこちらの計画通りになりそうです。”ガリバー”に関しては残念ながら未だに一機も消息は掴めてません」
「そうか、では”ダンテ”を起こさざるをえんかもな」
暗号名で交わされる会話は、シンジにはさっぱりだった。ただ”ガリバー”を”一機”と言ったのが気になった。
「ところで今日”チェシャキャット”が起こした事件だが…」
「マスコミには箝口令がしいてあります、が、いずれ外部に洩れるのは…」
「時間の問題か」
長瀬がうなずく。
「急がねばならんな」
再度、誰かが扉をノックした。
「誰だね?」
山科です、と扉の向うから声がした。
「そうか、もうそんな時間か…」大臣が長瀬とシンジの両方を見ていった。「すまないが用事だ。長瀬君、後は定期報告で頼む」
「はい」そう答えたあと、再度秘書に促され長瀬はシンジと出口に向かった。
部屋から出てく際、入れ替わりにグレーのスーツの男が入って来る。男が長瀬を一瞥する。
バタン、と音を立てて扉が閉まった後、男がつぶやいた。
「あれがアイアンメイデン、ですか」
「そうだ」大臣が答える。「頼んでおいたものは?」
「これです」そう言って書類入れを手渡した。
大臣が受けとり、中から書類をとりだす。
デスクの引き出しから眼鏡を取り出し、かけると、その書類を読み上げだした。
「長瀬ヒロコ、内務省調査部部長兼戦略自衛隊情報部三佐。国籍、日本、年齢32才、性別女。22才で内務省に入り、27で調査部主任、29で同部長、か…」
さらに別の書類に目を通した後、机の上に資料を投げ出す。
「過去の経歴は14才以前は一切不明です、大臣」
グレーのスーツを着た男が、立ち上がってゴルフのスイングの練習を始めた大臣に言った。
「セカンドインパクト以前だな」そう言って練習の手を止める。「あのインパクトで、資料が紛失したのではないのかね?」
「いえ、人為的に経歴が消去された形跡があります」
それを聞き、またスイングを始める。
「あの女の仕業、か」スイングを繰り返しながらつぶやく。「何者だ?あの女」
3年前、NERVに関する失態の連続で調査部部長が解任されたあと、部長に就任した女のことを思い出していた。この異例の人事には、首相から大臣まで、顔ぶれが一新してしまった先の政変が絡んでるとも言われてた。実際にこの女の権限は調査部部長に留まらず、内務大臣を飛び越え、独自に総理大臣とのコネクションを持つに至っている。
こんな女を部下として押しつけられたのがいい迷惑だ、と思っていた。その手腕は確実で、評価されている。しかし同時に手段を選ばないやり口は、内外で反発を招いている。
それでついたあだなが
「鉄の処女(アイアンメイデン)か…」
確かにあの女が立案、実行してる計画が成功すると、とてつもない恩恵がもたらされることになる。しかし下手をすれば日本という国が消滅しかねない。
信用するにはあまりに相手が悪かった。
「やはり早めに手を打つべきか?」ぽつりとつぶやく。
「え?」
グレイのスーツの男が聞き返したが、大臣はただもくもくとスイングを繰り返すだけだった。
***

屋久島でただ一つの中学校の校庭に、爆音をあげながらヘリが降下する。日光が二つのローターで切り刻まれながら、緑の機体の腹部に描かれた赤い丸を照らす。
航空自衛隊の、兵員輸送用のヘリ。生徒達はものめずらしさに窓際へと群がる。
しかし、生徒の歓声も、彼らを窓辺から引きはがそうとする教師の怒声も、爆発音にも似たローターの音にかき消されてしまっていた。
そんな校舎の中から、ただ一人だけ他の人間と異なる視線でヘリを見つめる人物がいた。


「まったく、君達にはデリカシーというものがないのかね」
校庭から遠ざかるヘリの中、穏やかだが、しかし明らかに責めるような口調で老人は言った。
窓からのぞき込むと校庭がみるみる小さくなる。
「申し訳ありません。緊急事態ですので御容赦ください。冬月先生」
冬月、と呼ばれた老人の正面に座っている女性、長瀬が答える。形ばかりのおざなりの謝罪だった。
「田舎の学校とは言え、今はなかなか忙しいのだよ、特にテスト期間中でね」
いかにもそれがこの世の重大事というふうに言う。
「御冗談はお止め下さい。先生はそもそもあんなところでくすぶってるべき方ではないでしょう?」
「だれかさん方の目が光ってるおかげで、どこも恐がって私を雇ってくれようとしなくてね」冬月は相変わらず静かに、しかし皮肉を込めて答えた。「それになんとかならんのかね?君らの同僚の格好は。日がな一日学校の外から黒服姿で教室をのぞき込まれたんじゃ、見られてるこっちの方が暑苦しくてかなわんよ」
「減俸ものですね、そのエージェントは」それを聞いて長瀬はくすくすと笑い出した。「検討はしておきます」
蒸すような暑さの中でそう答えた。
「ところで…」冬月が長瀬の隣に座っているトードを視線で示した。「この男は何者だね?見た所、自衛隊でも内務省の人間でもないようだが」
トードがあからさまに不機嫌な顔をする。
「悪かったね、冬月せんせえ」せんせえ、の部分に妙に力を込める。「俺は無学な人間なものでね。場違いは謝るよ」
「場違いは私も同じだよ」トードの表情が、え?、という感じのものになる。「むしろ君のような人間がいてくれて、ほっとするよ」
長瀬の目に好奇心の光が走る。ただの厭味ではない。自嘲が籠っている。いままでこの手の会話は交わされたことがない。場合によってはトードも冬月の尋問に使えるかも、と考えていた。
「しかし…」そう言って長瀬に向き直った。「やはり君をどこかで見たような気がするのだが…」
「そうでしょうね」たいした興味も持たずに答える。「前回の尋問にも立ち会いましたから」
「いや、そういうことではなく、それ以前に君とは会っていないかね?」
冬月がじっと長瀬の整った顔をのぞき込む。
「あら、いやですわ。口説くおつもり?」長瀬が鈴のような笑いをあげる。「その調子で私どもの質問にも饒舌でいらっしゃってくださると嬉しいのですが」
「今更君らに話すようなことは何もないのだがね」手を組み、その上に顎を乗せて長瀬を眺める。「徒労ではないのかな?」
「それは私どもの方で判断致します。御心配は御無用です」
ふん、と冬月が鼻を鳴らす。「無駄だと思うがね」
そうかしら?長瀬は内心ほくそえんでいた。
***
彼女はまた夢を見ていた。世界でただ一人ぼっちの夢。
いや、他にも人はいる。目の前に、二人。
しかしその二人とも彼女だった。いくら自分がたくさんいても大勢ということにはならない。
だから一人ぼっち。
「どうしてあなた達がここにいるの?」
少女は言った。この二人を知っている。ただ名前を思い浮かべる気にはならなかった、何故か。
「あなたこそどうしてここにいるの?」
白いもう一人の彼女が言った。彼女は明らかに今の彼女より年下だ。
「ここは私の夢。生きている、私の夢だもの」
彼女は答える。
「いいえ、違うわ。あなたは生きてなんかこなかった。それは他の誰かの人生なのよ」
なおも白い彼女が言う。
「そうよ」もう一人の、白くない別の彼女が言った。「あなたのものなんか何一つないの。その姿も、声も、みんな私から奪ったものだもの」
黒い彼女は年上だった。その黒い髪、黒い瞳、まごうことなき本物だった。
「いいえ、私は私」彼女はつぶやく。「私という器は、これまでの時間、空間、そして他の人の心によって私になったの」
「それも違うわ」白い彼女が否定する。「それは私のものなの。あなたはただ、それを奪っただけ」
「でも私には心が、記憶があるわ」
二人の彼女があざ笑う。「でもあなたはその心も、記憶も、自分で閉ざしてしまった」
「違うわ」ぎゅっと眉をひそめる。
「違わないわ」
二人が声を合わせる。
「あなたは見たくなかった自分を知ってしまった。だから逃げたの」
言ったのは彼女の口。
「誰かのために生きるという大義名分をなくしてしまった。だから逃げたの」
言ったのは彼女の影。
「だから、あなたはいらないの」二人が声を合わせた。「誰にも必要とされてないの」
「違う…!」声にならない悲鳴のように否定の言葉を吐く。
「いらないのなら、私が貰うわ」黒い彼女が手を伸ばしてきた。「私は声と体を」
「いらないのなら、私も貰うわ」白い彼女も手を伸ばしてきた。「私は心と記憶を」
やめて、と言おうとしたが、その口はすでに奪われてしまった。
涙で心を埋めようとしたが、その目もなくなってしまった。
悲しみにくれようとしたが、もはや彼女の心臓はからっぽだった。
彼女は千々に引きさかれてしまった。
なら何故私はここにいるの?彼女は思った。涙を流すべき目も、悲しむべき心もない。
ただ名前だけの存在。名前…なまえ…ナ・マ・エ?
どこかで誰かが名前を呼んだ気がした。知らないはず。いや、知っていてはいけないはずの私の名前。
彼女はただひたすらそれにすがるしかなかった。
「?」
気がつくと彼女は天井を睨んでいた。カーテン越しに、街灯の光が模様を織りなす淡い光のキャンパス。
ふと目頭にふれると泣いていた。
「どうして?」
彼女は問いかけた。闇は何も答えてはくれなかった。
***
「では、あくまで黙秘するというのですね?3年前同様に」
まっすぐ尋問室につれてこられた冬月に長瀬が言った。
「話すべき事など何もないだけだよ。君らには」
冬月はうす笑いを浮かべて言った。
同室に情報部の人間と思しき黒服の男が二人、それとトードが椅子に座って新聞を読みながらあくびをしていた。
「ではこれを見て下さい」長瀬は資料を冬月の前に置いた。
「これは?」冬月はページをめくる。
「チェシャキャット、と私達は呼んでます。おそらくは…」やや間をあける。「使徒」
「ふむ…」ぱらぱらと読み終ると、冬月はパタン、と分厚いファイルを閉じた。「確定はできんが、このような能力を持っているからには使徒、もしくはそれに準じたものと考えるのが妥当だろうな」
「あら」長瀬は意外そうな声を挙げた。「驚きませんのね」
「今更の尋問だ。これくらいのことはあるだろうと思ったよ」
冬月は当然の様に言った。
「ちゃんと資料は御読みに?チェシャキャットが最初の使徒…」
冬月がみなまで待たず、口をはさむ。
「最初の使徒、アダムの可能性があるというのだろう?読んだよ」
「では来たるべきサードインパクトの可能性も…」
「だからなんだというのだね?」冬月は冷たく言ってのける。「もしただの使徒、もしくはそれに準じたものなら世界の行方不明者が幾らか増えてくだけだ。そうでないなら…」冬月は言葉を切った。「滅びるだけだ。止める手段など、ありはせんよ」
「ありますわ」長瀬が言う。
「あるのかね?」冬月が嘲笑する。「どこに?EVAはすでに存在しない。ロンギヌスの槍も月だ。そんな手段が、どこにあるのかね?」
長瀬が席を立ち、窓へと歩み寄る。ブラインドのすき間を指で開けると、東からのぼりかけた月の光の断片が飛び込んできた。
「月に」長瀬が振り向いて言った。
冬月の顔が曇る。「なに?」
「冬月先生が言ったばかりではありませんか。ロンギヌスの槍は月だと」
「え?あぁ、そうだったな」冬月が焦ったように答える。「しかしどうやってここまで引っ張ってくるつもりだね?」
長瀬は少し妙な顔で冬月を見たが後を続けた。
「引っ張る必要はありませんわ」そう言ってポケットからコインをとりだすと、机の上に置いた。「はじけばいいだけですわ」そう言ってコインを指ではじく。コインは勢い良く飛んでいき、机の縁からこぼれ落ちた。
部屋中の人間が長瀬の言う意味を理解できてなかった。
長瀬は妙な顔で自分を見てるトードの手から新聞を奪い取った。
「おい、そりゃ俺の新聞…」
トードの抗議を無視し、怪訝そうな顔をする冬月にその新聞を差し出した。
一面には再開される米国の宇宙空間での非核爆弾の実験の記事が大見出しで載っている。
はっとしたように冬月が長瀬を見る。
「まさか…!」
長瀬がにやりと笑った。
「そう、米国ははじくつもりなのよ、ロンギヌスの槍をね」

***
後編に続く
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