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2004年05月01日() 旧暦 [n年日記]

[映画] 馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な女の、怨み節

 朝早く起きたら飛び入りでSFセミナーに行こうかとかちらと思ったけど、微妙な時間に起床とかいろいろあって、諦めて結局二度寝。で、昼飯食いに外出たらあまりに良い天気だったので、遠出しようと思って名駅前まで自転車で行って、ついでに映画を見てくる。何かって言ったら Kill Bill vol.2 なんですが。
 一本に収まりきらなかったので二本に分けての上映の後編。ボス兼愛人を裏切ってその元を去り、その制裁で受けた暴行により四年間の眠りに陥っていた女殺し屋「ブライド」。目覚めた彼女は復讐の殺人行脚に旅立つ。いや、筋で言えばそれだけなんだけど。vol.1はリューシー・ルー演じるオーレン・イシイとのチャンバラがクライマックスだったが、vol.2は打って変わってマカロニウェスタン風の雰囲気から入る。しかも途中でカンフーアクションも入るという豪華なんだか悪趣味なんだかよくわからない世界。要は、この映画はスタイルとしてはタランティーノの見てきた映画のクロニクルなのだと思う。つまり、なんでもありでなんでも詰め込み。そう割り切ってしまえば、後はチャンバラになったりカンフーになったりマカロニウェスタンになったりを思いっきり楽しんでしまえばいい。アクションの最大の山場は、やはり「サンダ対ガイラ」の対エル・ドライバー戦。金髪女優同士ということもあるし、アクションのスタイル自体似ているしで、サンダ対ガイラに例えた理由が見ればなんとなくわかる。そんなわけのわからない演技指導をされたユマ・サーマンとダリル・ハンナはお気の毒だが。
 ストーリーとしては、「ブライド」が母親になるための物語なのだと思う。クライマックス付近で 実は生きていた娘と二人で「子連れ狼」を見るシーンも象徴的で、単調な復讐劇のようでいて実は画面になかなか出なかった娘を中心にすべてが回っていた ことがわかる。いろんなジャンルを詰め込みすぎたゆえのまとまりの悪さは否めないが、その悪趣味を含めて楽しめる度量があればお勧め。
 今回は前回で客層もどういう映画かわきまえたのか、起こる笑いのタイミングが「らしい」タイミングで起こったので、まあ安心。勘違いしたカップルが来ても、さぞ困るだろう。
 なお、パンフレットの中のダリル・ハンナのインタビューの中に vol.3の驚くべき構想が! 全盲のエル・ドライバーとvol.1冒頭で殺された黒人女の娘はともかくとして、夕張の双子の姉妹 ってのは何よ?

[その他] リアル志向ロボコップ

  読冊日記 さんより、 tetra vaals 。南アとかそっち系っぽい途上国で、ロボット警官が風景の中に当たり前に存在しているというムービー。特殊効果の会社のデモムービーらしいのだけど、ロボットぽさとロボットぽくなさの微妙な同居が、不思議な感じ。技術だけで言っても、かなり高いレベル。あまり期待出来なさそうな“I'Robot”はお蔵入りにして、むしろこっちをふくらませた映画を作って欲しい気も。


2004年05月02日() 旧暦 [n年日記]

[その他] 糸屋の娘は目で殺す

  御指摘 により、 怨み節 の「怨み」の字を修正。しかしほんとにタランティーノは古今東西、見てない映画はないんではないかと思えるよなぁ。
 目の演技、というところで先日見返した「必殺仕置屋稼業」の第一話においても、大層目の演技を重視した演出が多かったのを思い出す。必殺シリーズで目の演出というと特に印象的なものがある。第五弾「必殺必中仕事屋稼業」第十一話「表を裏で勝負」のラストである。元締の草笛光子が、汚い手段で自分や同業者を追い落とそうとしたライバルの飛脚屋(草笛光子の表稼業は飛脚屋。表稼業と裏稼業が入り混じるから「表を裏で」というわけ)を糾弾し、始末しようとする場面。相手の仕組んだからくりを口にするシーンで、草笛光子の瞳が赤く(というか、正確には茶色に)、虹彩まではっきりと輝いている。それが猫の目のようというか、とても綺麗ながら不気味だったのだけど、そのシーンをどうやって撮ったのか、近年、草笛光子のインタビューでようやく明らかになった。なんのことはない、間近から撮影用のライトを照らしつづけたのだ。種を明かされればなんだ、ということになるが、よく考えれば恐ろしい撮影法である。知ってる人は知ってるだろうが、撮影用ライトの光量・熱量というのは並大抵ではない。昔のことだから、白色LEDなどの熱量が低い光源があるわけでもなく、事実草笛光子も「目が焼けるかと思った」と述懐している。無茶苦茶やってるのだが、それが面白さにつながっている。
 今日、新聞に「視聴率30%以上の番組が近年激減している」という記事が載っていた。記事では生活時間帯と嗜好の多様化が原因、と分析していたが、番組自体の魅力がなくなっている、ということはあるまいか。 推移のグラフ を見ると、80年代直前から激減、85年から90年代初頭まで小康状態を迎え、その後、95語年まで再び激減し、その後微減が続いている。それでいて、平均視聴時間はほとんど変化していない。理由を「これ」と断言することは出来ないが、番組の魅力とやはり関連性はある気はする。あと、もうひとつ気になるのはこの前触れた、水戸黄門の印籠の定番化、必殺シリーズのファミリードラマ化が起こった時期と、激減期、小康期が奇妙に重なっていることだ。もしかすると、視聴者は自分で見ている番組をつまらなくしたのかもしれない。あるいは、番組の評価系を視聴率一本ではなく、他のものも導入すべく、見直す時期なのかもしれない。
 いずれにしても、ときどき思うのだが、今の方がテクノロジーは確実に上がっているのに、映像のスキルはひょっとしたら昔の方が高かった、という部分もあるのかもしれない。
#すべてにおいてそうとは言わないが。
(5/28追加:居酒屋嘉文(嘉紋は間違い)のネタは5/4の日記にあります)

[その他] もういいかげんいいかげんなネタなんですが

 イラクで拉致された三邦人(のうち、郡山、今井両氏)の記者会見映像を見る。拉致時、および拘束時の状況の説明以外、得るところのまったくない記者会見だった。別に、自己責任論で彼らを責めようとは思わない。が、同時にマスコミが彼らを追いかけ、報道しつづける価値はないとも確信した。「自己責任論についてどう思うか」の質問も、まるで一昔前の政治家の切れない答弁を聞いているよう(それもひとつの方法かもしれないので、その方法自体はとやかく言わない)。敢えて言えば、海外マスコミ向けの応答で「イラク渡航をしようとする人に必要なことをアドバイスを」との質問に「信念を持って」と答えたのは呆れる他ない。そういうことを聞いているのではなかろうに。また、その無責任な一言が不注意で危険な渡航を煽る危険性については認識してないのだろうか? 彼らをマスコミが追い回し論じることにも、まったく意味はない。


2004年05月04日(火) 旧暦 [n年日記]

[その他] 今はすでに昨日のこと

 昨日、H氏とO氏の、名古屋のいつもの面子で飲みに行く。金山で軽く?飲み食いしてから、というパターンだけども、そろそろあたくしも金山周辺の店についての手持ちの情報が尽きてきましたですだよ。どうせメインはその後の 深+ なので、場所探しで時間を食うのも癪。というわけで、ネットで軽く検索してわりとお値打との情報があった、北口から出てすぐの長谷川ビル地下一階「嘉文」に行ってみる。海鮮メインで、値段もお手頃。居酒屋だけどちょっと小料理屋風の雰囲気で、少人数で行くにはなかなか良い店かもしれない。つーか、候補がないとあてどなくうろうろするのが目に見えているのに、この面子は……
 いろいろ話したはずなのだけど、早々に日本酒にうつったのでなにを話したのかはわりと朦朧。で、9時半くらいに河岸を変えて 深+ へ。
 看板の灯りがついてなく、マスターがまたつけ忘れたのか知らん? とか思っていたら、中にはさほど広くない店内の席いっぱいの酔っ払い客が……一番酔っ払っていたのがマスターというオチ付。そのまま回れ右して帰ろうかとか思ったけども、ときすでに遅し。なぜか首根っこ引っつかまれてヘッドロックくらいながら「いや、こういうのはダメダメに潰れたときのO先輩とかで慣れてますけどね」とか妙に覚めた目で自己観察しながら、空けていただいた席に座る。へべれけのマスターが「鈴木はこいつと話が合いそうだからここな」と席まで指定。なんでも常連さんの結婚式の二次会にそのまま深+になだれ込んだらしく、おられた先客は常連かつその結婚式の参加者。カウンターにはマスターの代わりに何人か入っていたのだけど、もちろんそれもお客。もーなにがなんだか。
ワシ「マスターがここまで酔っ払ってるのははじめて見ましたよ」
隣の席のKさん「(お客の一人を指差し)彼女がまだ抑えていてくれてるからね」
ワシ「え! まだこれよりひどくなるんですか!」
 ってな会話を交えつつ、かつてない雰囲気で萎縮しながらちびちびと。いや、こっちもそれなりに出来上がっていたはずなんですけどね。かなわねえ。
 おられたのはSF方面と冒険小説方面の方がメインらしく、テッド・チャンの話だとか、イアン・ランキンはお薦め、とか、景山琢磨氏の仮想戦記ものは星雲賞の対象にならないのか、とかいう話をされた気がする。最大のトリックスターであるマスターは離れた席にすわったO氏とかH氏の方に主にいたのだけど、ときどきこちらに来ては説教をかましていく。その説教が身に覚えがありすぎで痛いのなんの。不快というわけではもちろんないのだけど。マスター曰く「こいつなー、生意気なんだよ」。いや、それでも最近は生意気成分抑えているつもりなんですが。おかげで、深+に行ったら「(日本冒険小説協会会長の)内藤陳氏がワイルダネス三巻に推薦文書いてましたけど、読みましたか?」と聞きたかったのだけど、こんな状態で聞いた日には本当に何が出てくるか怖くって聞けませんでした、ええ。マスターの説教は主に「お前が面白いと思ってるものが、どうして他の人にとっても面白いって言えるんだよ」「どうせ書いてるものは馬鹿なものなんだから、頭で考えるな。胸や腹で感じろ」とか、そんな感じ。至極最も。最もすぎる。わかってはいるつもりなんですけど、どうすればいいかってのは、ねえ。
 しばらくして主賓(新婚さん)のお二人を、総出で万歳三唱(嘘)しながら見送り、ようやく人心地。席もやや空いたので、H氏O氏の方へ移る。そこでまたいろいろ話をしたはずなのだけど、全部は思い出せなかったり。けど、他の人の視点と自分の視点の差異、を思い知る。「その視点はおかしい」とか言われても、当たり前に使ってる視点なので、なにがまずいのかとか、じゃあどうすればいいのかとか、結構困るのだよなぁ。
 楽しかったのだけど、宿題も山積み。ううむ。


2004年05月05日(水) 旧暦 [n年日記]

[その他] 消えたもの、残ったもの

 おととい名古屋の面子で飲んでいて、O氏が「読者が小説を読むときに待ち望んでいるもの」の喩として、「水戸黄門の印籠」を出してきた。で、ワタクシは当然「でも、水戸黄門の印籠は最初に出てなかった」と反論。O氏は「でも、印籠が出てこないとダメだから淘汰されたんでしょ」と述べる。私は「でも、最初の十年以上、印籠が定番じゃなくても受けていた時期があった」と説明する。O氏がそれをどう捕らえたのかはわからない。私の方は、反論はしたけども、ある意味O氏の言葉に考え込んでしまった。「つまらなかったから」というのは必ずしも正しくはない。しかし、残らなかったのは事実なのだ。なぜ残らなかったのか。それが頭でも感覚的にもわからない。ただ、そういう事実があるのみである。事実は事実だからそれは受け入れざるを得ない。しかし、そこで「勝ち組」「負け組」的な分け方をしてしまうのは、なにか違う気がする。
 定番化も必ずしも悪いとは言わない。ひとつには息切れしにくく、安定して製作ができる。視聴者のほうも、決まった部分で決まった情報を読み取ればいいので、楽ではある。決して楽して作っている、という意味ではなくて。そういう見方を批難しようとも思ってない。ただ、自分の見方とは違う。そこが個人的な問題が絡んでる、というだけなのだが……消えたから間違いなのか、残ったから正しいのか、消えたものは面白いと思われないのか、残ったものは面白いと思われているのか。頭で悩んでもしかたないのかもしれないが、それ以外の悩み方を知らないからこれもまた困る。今のところは、だけど。
 傍からはどうでもいい、ばかばかしい話だろうが、こっちとしては身もだえするくらいのことなんである。いや、ほんと。
 とか言っていたら、日記のアクセスログから面白いページにたどれたので リンク 。ふむん。これはこれで面白い分析だ。

 なぜか昨日から急にまったく身に覚えのないNot Deriveredの通知メールがわんさと届いて、非常に迷惑。しかも、なぜかukドメインのものが多い。おそらくウィルスが原因だと思うが、うちのPCは感染してないし、メールアドレスをさらしてもいるので、そういうものだとあきらめ、しばらく様子見をするしかない。あまりにひどければ、サーバー管理者に話をしなければならないかもしれないが、マンドクセ。なんでも Sassserとかいうワームが流行っているらしいReuter )が、メール感染はしないようなので、これではないだろうなぁ。
 あ、あと私信。 三邦人の記者会見の状況説明が信用できないとのこと ですが、質疑応答を見る限り、彼らにあれだけの話をでっちあげる想像力はない、と推測できるので、質疑応答でわざと相当アレげにふるまったか、第三者が入れ知恵ででっち上げを言わせたかでなければ、事実を話している可能性が高いと思います(それとても必ずしも正確とは限らないのですが)。第三者が入れ知恵した可能性は、それならばあそこまで事前に質問を提出、制限された質疑応答がボロボロなわけはないと思うので、その可能性も低いと思います。まあ、どっちにしても主観のフィルターがかかっているだろうこと、場合によっては意図的に特定の情報を言っていないかもしれないことは気をつけねばならないのですが。


2004年05月06日(木) 旧暦 [n年日記]

[その他] CD輸入制限法

 先の連休中、東京は新宿ロフトプラスワンでレコード輸入権はおかしいんじゃないの? というシンポジウムがあったらしい。で、 絵文禄ことのは さんの 5/4分 にそのレポートがあった。前にDJや音楽誌のライターをやってるかたと、この法案とそれをゴリ押ししてる音楽業界のクソさ加減にひとしきり文句を言い合ったことがあるのだけども、やはりその時出た不安は、洋楽ファンはじめ広く音楽ファンが感じているらしい。どんなことを懸念しているかと言うと、 こちらにあるフラッシュ がとてもわかりやすい。
 私はそんなに洋楽に入れ込んでるファンとかいうわけじゃないけど、好きなジャンルがかなりマイナーで、国内版がいつ出るのか、そもそも出るか自体が不明で、出てたとしてもいつの間にか在庫切れ重版未定という名の事実上の絶版になっている可能性が非常に高い、大手音楽レーベルから見ると大してありがたくないシェアの客である。
 まあ、そんなジャンルのファンだから「お前ら相手に商売しても金にならないから、切り捨てる」と言われれば、臍をかむほど悔しいが、まあそれはそれでそういう理論だとは思える。が、文化保護とかなんとか言いながら、目先の利益のために(しかも本当に目先の利益にすらなるのか? 正直、業界の正気を疑っている)文化やニーズの多様性を殺す行為を行う厚顔無恥さには、さすがに我慢がならない。
 チャンピオン連載の「アクメツ」で(実はあまり好きではないのだが)、非常に頷いた表現の一つに「国会と言うのは、国会議員という闘犬を利権団体が利権をめぐって争わせる闘犬場だ」というのがあって、だから、音楽業界という明確な利権団体に対し、そういったものがあるわけではない音楽ファンの主張がどれだけ対抗できるかというのは、それなりに悲観的であるのだが、会場に入りきれないほどの集客があったということで、まだ希望はあるのかな、とも思える。
 こんなことやってる大手レーベルは遅かれ早かれいずれ沈んでいくと思うけど、音楽自体を道ずれにするな、とは言いたい。

[アニメ] ウォータシップダウンとか

 ウォーターシップダウンのうさぎたち。NHK BS−2のアニメ。新作ではなく、海外で昔製作されたものらしい。昔のアニメ映画と異なり、あまりどろどろした暗さが画面にはないが、逆にかわいらしいキャラが残酷な世界で生きているのはシュール。シンプルだけど、面白いなぁ。
  絢爛舞踏祭ザ・マーズ・デイブレイク 。前回に続いて馬鹿話。キャラがどんどん馬鹿になっていく。ゲバルト一号ってなんだよ! ポイポイダーは渋いイルカかと思ったらただの変な奴だし。大笑い。あの学園都市船のうらぶれた様子はなんか 東大駒場寮 っぽい。60年代70年代に学生時代を送った人には学生闘争は青春の一ページかもしれないが、こちらとしてはただの ネタ 以上ではないっつーことなのかな。


2004年05月07日(金) 旧暦 [n年日記]

胸で感じろ、腹で感じろ

 ダメだ。まだ感じきれない。

日記っぽく

 今日、気分転換に職場のベランダに出たら、間違ってベランダのドアのノブのロックボタンを押してしまったらしく、ベランダに閉じ込められてしまった。(地上四階なのでさすがにそこから降りる真似はあまりしたくない)
 どうすべえかなあ、とか思ってぼーっとしていたら、公衆衛生学の秘書さん(だと思う。多分)が通りかかったので、呼んであけてもらう。あ〜、はずかしかった。


2004年05月08日() 旧暦 [n年日記]

[アニメ][マンガ][その他] Engrishなタイトル

 海外オタクの意見を紹介しているサイト Moonlight Fantasia で、 Engrishで悪いかってばよ が掲載(Engrishってのは日本人がつけた変な英語風のタイトルなどを揶揄してそう呼んでいるらしい)。
 日本人はcoolなつもりでも、Native Speakerからすると「なんじゃそりゃ?」ってタイトルが結構あるわけで……「おねがい*ティーチャー」や「おねがい*ツインズ」はポルノ的に響く(OnegaiがOne Gay(一人のゲイ)に見えてしまったりとかはともかく)ってのは、多分製作者は意図的なのだろうけども、あちらだともっと直截なポルノ的イメージになってしまうようで。「らぶひな(Love Hina)」なども、「Hentai」(ポルノアニメ。もしくはアニメ風のポルノ絵)と思われたそう。当たらずとも遠からずな気もするが。「ブギーポップは笑わない(Boogiepop Phantom)」も意味不明だそうで。「Boogiepop the Phantom」とかだったらまだイメージが湧くんじゃないのかしらん? 「R.O.D(Read or Die)」は教育的に響く、というのもちょっと意外。っつーかポルノを連想する単語、ポルノ関係の隠語が多すぎ。かわいそうなのは「フルーツ・バスケット(Fruits Bascket)」で、やはりまるっきり意味不明、もしくはゲイの話を連想させるのだそうな。「そういう遊戯がある」ってことを知ってないと、わかんないよなぁ。この辺はEngrishってより、英語が元の日本語、と言った方がいいかもしれない。逆に「ふもっふ」とか「ぷにぷにぽえみぃ」とか「あぃまぃみぃ! ストロベリーエッグ」とかは、日本人でも意味がわかりません。ええ。
 個人的には、これらの意見の中で一番受けたのは
Gunslinger Girl (ガンスリンガー・ガール)』紛争地帯で人を撃ちまくる、強持ての女性軍隊と思っていたけど…
見てえ! 無茶苦茶見てえ!
 その下の「忍者対侍」もなかなか面白い。いろんなところから忍者や侍の情報を得ているらしいが、「そんなこと良く知ってるな」ってこともあれば、「おいおい、どこで見たんだよ、そんな話」ってなものも……少なくともナルトよりかは白土三平の方が影響力がありそうで、安心した。(いや、少年漫画としてはあれも良く出来てるのだけど、忍者マンガとしては小一時間問い詰めたい)

[マンガ] コミックフラッパー

 徐々に取り扱い書店が減ってるなぁ。大丈夫かしらん?
 まあ、世間様的には(オタクのメインストリームにも)あまり受けそうもない雑誌なのだけど、一昔前のアフタヌーンの位置にいるような気もして、買い支えてはいる。「アガペ−犯罪交渉人 一条はるか−」は、女子高生でネゴシエイターというありえない設定だけども、武器が話術とかコネクションとかそういうんでなく 無償の愛(アガペ) ってあたりがさらにありえない。当然無償の愛なんて持ってるからには主人公の人格もぶっ壊れていて、目の前で父親を殺されたのにその犯人に愛を与えるなんてありえない話の連続だからねじ伏せられざるを得ない。他にはアメコミヒーロー風の読み切り「ザ・コンダクティ」とか、スク水フェチっぽくも正統派のラブコメの「すいむ。」とか。裾野は広くあって欲しいものではある。
 などということを、「ふたりのぜのぴったん」を聞きながら。ぴたたん♪


2004年05月09日() 旧暦 [n年日記]

[その他] 死

 死ってのは、死体っては、人間に限らず元来気持ち悪いものなんである。それが生前親しかった人、大事だった人、いや、人に限らないけど、そういう存在だった場合、つらい。哀しいとかもろもろ含めて、つらい。フィクションの場合は、まあ、誰かが悲しんでるわけじゃないからいいけど、実際の死ってのは、そんなもんじゃないだろうと思う。亡くなったのが知ってる人、知らない人を問わず。
 だめだ、「ふたりのぜのぴったん」ですら気休めにならない。


2004年05月11日(火) 旧暦 [n年日記]

Winnyの開発者、逮捕

 ( 朝日 )。
 この件で大変気になっているのだけども、Winnyの作者の47氏は、具体的に著作権法のどの条項を違反した容疑で逮捕されたことになっているのだろう? 刑法によると
(幇助)
第62条 正犯を幇助した者は、従犯とする。
2 従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。
(従犯減軽)
第63条 従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。
(教唆及び幇助の処罰の制限)
第64条 拘留又は科料のみに処すべき罪の教唆者及び従犯は、特別の規定がなければ、罰しない。
となっている。これじゃどこまでが幇助に当たるのか、全然わからん。そうなると判例が重要なのだろうが、素人では全然わからないので触れられないなぁ……
 「Winny自体はすばらしいソフト」との発言が載っているが、これも拳銃にたとえての別の発言と比べると、なんだか違和感がある。密造拳銃を摘発した場合、「この拳銃自体はすばらしい出来だが」なんて言うだろうか? つまり、Winnyを使った違法行為以外での意義を認めながら、その意義をわざわざつぶしたという自覚 *1 があるということではあるまいか? まあ、推測だけどもね。でもこの推測が正しいとするなら、新しいソフトの意義と著作権保護を天秤にかけ、後者をとったということになる。その過程とどのような要素がその結論に導いたのか、大変興味がある。
 それにしてもこれが犯罪幇助に当たるならば、当然Winnyを紹介して広めた雑誌も犯罪幇助および教唆だろう。警察側 *2 としては一罰百戒(スケープゴート、でもいい)としての47氏逮捕だろうが、そういった犯罪幇助の雑誌は「自分たちは開発したわけでないから安心」と、たかをくくっているだろう。そこで、どうですかね。そういう雑誌も一冊くらい、逮捕しては。そう、まず手始めにネッ○ランナーあたりとか……
*1:  つぶされたのはソフトの意義だけではない。奇しくも(とは正直あまり思わないが)同じ京都府警が摘発したポケモン同人誌事件では、摘発された女性は長期間拘束され、仕事を首になり、完全に生活破壊されている。そこから47氏も同様のことがおこるだろうことは推測に難くない。「本当に犯罪行為に当たるのか?」という疑問もそこのところが重要で、もし裁判で違法でないとされても、この行為で結局47氏の生活は破壊されることに変わりはないからである。そしておそらく京都府警は、そのことに意識的である。
*2:  本音をこっちに書いておく。 京都府警のウィルスによる書類流出朝日 ) とかあって、さらに 某巨大掲示板管理者(仮)氏とのやりとり とか見ていると、なんだか裏読みの一つだってしたくなるってものである。あの京都府警職員は著作権法違反で逮捕されたんだろうか? まず、身内から取り締まってくれないと。収賄の前科があるのだし、誰のために働いているのか、非常に興味があるところではある。

岡崎律子、死去

 ( 朝日 )。正直「はぁ?」としか声が出なかった。今もまったく実感がわかない。だから形ばかりにはなってしまうけども、お悔やみ申し上げます。
P.S.友人たちとIRCで馬鹿話をしながら、BGMで岡崎律子の曲を流してるわけなんですが、これまで、そんなに好きと思ってなかったのに、ボロボロ泣けてくるわけで。 amazonのランキング でどんどん岡崎律子やメロキュアのCDが上がってくるのを見ると、ファンたちの弔問の気がしてしまう。
P.S.2 現在 amazonランキング で「冬のソナタ」サントラを抜いて上位四位を独占(夕べ見たときは2位、4位とばらばらだった)。七位以下にもいくつも。一過的な現象ではあるけど、これだけ慕われていたのになぁ……


2004年05月12日(水) 旧暦 [n年日記]

[その他] あんた、この世をどう思う?

 Winny作者逮捕で非常に不気味なのは、法解釈の濫用でグレーゾーンが司法でない、警察組織によって白黒つけられてしまう可能性で、しかもその標的が法人などではなく個人の場合非常に抗いがたいという事実だったりする。不気味だから怖いし、怖いから腹が立つ。 やっぱり木の葉はビラビラ流れて、石ころはジョボンと沈んでくれない と安心できないのである。まあ、 神や仏がいなさって、悪を罰してくださるなんてやさしい慰め なんてのは百も承知なのだが。
 これに関しては色々世の中は動いているけども、現時点で緊急に出来ることはあまり多くなさそうなのでしばらく静観する。一応、 こういう動き があることだけを、メモ的に。
 緊急を要するのはむしろ 輸入CD禁止法案 の方で、なんだかうっすら絶望感すら感じる。 教授の日記 とかでも取り上げられている。感覚的にどんな問題か知りたいというかたは、 こちら、 問題の骨子を簡潔に知りたいというかたは こちら を見るのがいいだろう。
 それにしても著作権商売中間業者の迷走ぶりはなんとも言えない。それでも購買者たちがそっぽを向くようになったら、今度は法律で文化振興のためとか言いながら、「テレビの電源をオフにしてはいけない」とか「収入に応じてDVDやCDの購入義務割り当て」とかやりかねない。 マックス・ヘッドルーム世界 にむかってまっしぐら。ディストピア万歳。

[その他] 買ってくる

 昼に職場を抜け出し、大須の ディスクステーション で岡崎律子のCDを買ってくる。さすがにありったけ、というわけにはいかなかったけど。買った中にはCCCDはなくってひとまず安心。変なことで気分にあやをつけられたくないものなぁ。
 こんど一緒に仕事をする人に、「トラブルが起こったら、『しなければならないこと』を探すより、『する必要がないこと』を探して排除していった方がいい」とアドバイスをもらう。なるほど、と思う。まあ、目標や計画がしっかり立った上での話なのだけども。

[その他] 上であんなこと書いておいて

 47氏逮捕関連で、ふと気になるものを目にした。なにかというと、新聞の社説なのだけど。意外と注目度が高く、朝日新聞、毎日新聞、日本経済新聞では11日に、読売新聞、産経新聞では12日に社説で触れている。
Winny――使い方にご注意朝日
ウィニー摘発 逮捕だけでは解決しない毎日
ウィニーが問う著作権管理日経
[ウィニー摘発]「ネット社会に警鐘を鳴らした」 読売
Winny 対応問われる著作権管理産経
 さすがに47氏を擁護はしていないが、現行の著作権管理支持(朝日、読売)と、著作権管理の現実への刷り合わせを示唆するもの(毎日、日経、産経)がある。ちょっとこのカラーの差は面白いかもしれない。


2004年05月15日() 旧暦 [n年日記]

[その他] イタチの最後っ屁みたいなものだが

 下品なタイトルですまぬ。だが、心情的にはそんな感じなのだ。
 (あー、ちきしょう! タイトルを打つだけでもいまいましいのだが、)このあいだ、「クラナド」というPCゲームが発売された。私は買ってない(誰が買うものか!)。したがって内容も知らない。だから、ゲームとしてどうかはとんとわからない。だが、ただひとつだけわかってることがある。このタイトルが、二十年以上前から活動してるアイルランドの音楽グループの名前であるということが。一般名詞ではない。固有名詞である。
 あちこちのサイトを見ると「クラナドとは家族を意味するゲール語」と書いてあるが、私の調べた限りは 嘘っぱち である。つい先日も示したが、 clannadとは"family from Dore”(ドーアから来た家族)を意味するゲール語“clann as Dobhar”の略語 である。
 これは件のPCゲームタイトル発表後、ゲール語の辞書ではどう記述されてるか調べた。そのうえ、 BBCのサイトでもそう記述されていた し、 今でもされている
  エンヤのファンサイトにだってそう書いてある
 一部英語圏のメディアでは“clannad”自体が“family”を意味すると紹介されているので、メーカーが単純にそれを見て勘違いしている可能性もないではない。
 が、実は、私はタイトル発表後の2001年秋に、開発メーカーにclannadの意味を、メールで連絡している。無視されたのか、それとも雑音メールとしてそもそも読まれなかったのかはわからない。が、それに対するレスポンスはなかった。
 念のためと思い、別経路でも連絡をした。それにもレスポンスはなかった。
 そしてそれ以降も「クラナドとはゲール語で家族を意味する」と、雑誌やネットで喧伝しつづけられていた。
 いいか? 一言言っていいか?   ふざけるな。
 そして、  嘘つくな。
 まず、ゲール語という言語文化に対して失礼だろう、それは。
 そして、『クラナド』というグループに対して失礼だろう。
 盗人猛々しいって言葉を知らないのか?
 まあ、そんなものかもしれないな。自分の知らない文化圏に対する文化の蹂躙に対する認識なんてのは。ある意味、イラクで捕虜を虐待してる米兵と大して違わないかもしれない。( 05/16 イラクの米兵との比較はあらゆる意味で適切な喩ではない。イラクの米兵とKeyスタッフには謝意を示す。自分のバカさ加減をさらすためにもこの部分はあえて残しておく )
 そしてそれと同レベルってことである。
 ちくしょう。腹立たしい。
 ただ、腹立たしい。
 まあ、こんなこと言っても やったもの勝ち なのはイラクの米兵と同じなのはわかっているのだが、過去を含め、こんな駄文に幾分なりとも反応してくれた spanglemakerさん や内藤店長さんに感謝を示すのみである。

(5/22追加: クラナドとはゲール語で家族の意味……ではありません をまとめたので、宣伝)


2004年05月16日() 旧暦 [n年日記]

[読書] チョコレート戦争/大石真

 同名の海外小説があるらしいのだが、そちらは読んだことはない(調べたら チョコレート・ウォー のタイトルで扶桑社から出ているようだ)。
 なんだか急に読みたくなったので、探し出して読む。小学校の時分に読んだときは、二・三時間かかったような気がしたけど、小一時間で読めてしまった。一気に読んでしまった。
 いや、面白い。記憶による美化とかされてるかと思ったけど、記憶より簡潔な文章だったという以外、記憶どおりの面白さ。
 小学生の光一は病気で寝込んだ妹のために、町で一番の評判の洋菓子屋『金泉堂』のシュークリームを買ってやろうとしたが、手持ちのお金では買うことが出来ない。それでもあきらめきれずにショーウィンドウに飾られた巨大デコレーションケーキを眺めていると、なにもしていないのに突然そのガラスが割れてしまう。光一たちは悪戯犯としてつかまり、身の潔白を訴えるが金泉堂の店長やオーナーにはまるで信用してもらえない。唯一、金泉堂に呼び出された学校の桜井先生が光一たちの身の潔白を信じてくれたが、濡れ衣を着せられた光一たちの腹はおさまらない。仲間を集め、金泉堂のトレードマークである巨大デコレーションケーキを盗み出す計画を立てるが……
 小学校のときに読んで、エンターテイメントという意味で面白い、ということを、恥ずかしがることも否定する必要もないんだ、と目から鱗を落とされた作品。テーマもキャラクターも構成も伏線も描写も小道具も、すべてが等しく重要で渾然一体とひとつのエンターテイメントを作り出している。
 あと、驚くべきことにこの本は昭和40年、つまり1965年に発表されたものである。私が読んだ時点ですでに二十年近く経っていたのだ。しかし、四十年近く経つ今でも物価などを除いて古臭さはまったく感じさせない。ひょっとしたら、昔の人の方が面白いものを生み出す、今では失われた能力を持っていたのではないかと思えるくらい。
 長々といろいろ書いたが、もしかするともっとも重要なのは、学校帰り、いつもハラペコだった小学校時代を思い出す、ということかもしれない。

[その他] 沖縄料理で腹いっぱい

 M瀬君が暖めていた論文ネタが他の研究室に先に出されてしまい、傷心の彼の傷をつつきながら酒を飲もう、ということで昨日、名駅前の沖縄料理店『守礼門』でM瀬君とWさんと一緒に飲み。泡盛やらなんやらが大変美味しかったです。注文が結構いろいろ待たされたけど。
 そんときにいろいろ話をしたけど、ある意味研究職という浮世離れした界隈から見ても、時分は立派にロクデナシをやってるなぁと……まあ、一番困ったことには、自分が結構ロクデナシであることを楽しんでしまっていることなんですが。
 まあ、いろいろ思うところはあったけどそりゃいいや。
 帰り、店を出ると雨が結構降っている。天気予報では日付が変わるまで降らないとのことだから自転車で来たのに。Yahoo!め。
 心配されるので「まあ、途中で適当に地下鉄に乗り換えるから」とか言って別れる。実はそんな気はまるっきりなかったんですが。雨にぬれるのは好きじゃないけど、自転車で雨の中をつっきるのは実は嫌いじゃなかったりする。つか、むしろ妙に好きかも。そんかわり、さすがに家に帰ってすぐに着替えましたが。

[その他] ほんとロクデナシだなぁ

 昨日、起きてから「そういやなんか日記用に書いてたっけなぁ」と見返すと、いつのまにかアップロードされていたのに気付く。あれ? 腹が立ったので飲んで、飲んだらまた腹が立って、という悪循環で最後はズブズブに酔っ払っていたのだけども、アップロードしたところはあまり覚えていなかった。なにを書いたかはちゃんと覚えていたのだけど。まあ、基本的に嘘は書いてないし、せいぜい私の知能程度が疑われるだけで済むからいいか、と放置。事実と異なることを書いて風評被害で他人に迷惑をかける、とかだったらその旨記して削除とかもするが、そうでない限りは自分のおろかさもなにもかも含めて抹消することはあまりしたくない。
 しかしびっくりしたのは、これがいくつかの日記からリンクされてることだったりして……週末なのに、平日よりもアクセスあるんですが……まあ、世間に思い切り恥さらしするのも自業自得(あるいは自己責任?)なので、いたしかたなし。
 ただ、ひとつだけ。「俺が教えてやったのに」云々ととられた方もいるようですが、無論そんなつもりはなく、「万が一知らないということもあるかも」という可能性を潰しただけです。多分、元々知らないはずはないので、「多分知っててわざとそんなものが存在しないかのように振舞った」という意味とそのことに対する怒り以上のものはありません。(ジョジョはそうじゃないんだがなぁ)
 まあ、興味がない人にはどうでもいい話なのでしょう。
 私も作り手は思いっきり軽蔑するが、そのユーザーまでどうこうは別に思わないし、そんな話が、そんなものがあること自体を忘れてしまいたいです。出来るならば。
 で、起きてNHK歌壇とウォーターシップダウンのうさぎたちを見る。癒されるなぁ。ウォーターシップダウンは、ウサギというともすればファンシーなものとして捉えられがちな生き物が、大自然の残酷な法則の中で、ただ生存のために懸命に生き抜く様が、逆に癒される。NHK歌壇は、最近は添削コーナーで自分なりに添削をしてみる、というのが結構楽しい。ゲストと同じ添削をすることもあるし、微妙に、あるいはまったく違う添削をすることもある。「そうか」と腑に落ちることもあれば、「こっちの方がいいじゃん」と思えることも。こういう言葉遊びも楽しい。

[その他] さすがに少し心配になってきた

 アクセスログを見ると、 昨日分 しか見ない人がほとんどなのだよなぁ。実生活に支障がなければ自分がこんなアホだと思われるのもいたしかたないとは思ってるのだけど(事実、そう思われるだけの文章を書いたのだ。特にイラクの米兵との比較部分とか)、身内への愚痴的な意味合いが強いものが、なんだか妙な方向に行かないかは心配である。
 しかし、これまでもっと抑えた調子で同じ事実は何度か書いてきたのだが、こんな阿呆な文章での反応がこれまでで一番大きいというのは、なんだかいろんな意味で嫌になってくる。


2004年05月17日(月) 旧暦 [n年日記]

[その他] せつねー

  47歳男、知人の10歳女児を連れ回す 千葉→沖縄と8日間、無事保護毎日 )。ワイドショーとかでも結構報道されているらしいが、当然それは見ていない。が、ネット上のマスコミ報道を見てるだけでも、結構切なくなってくるんですが。え〜っと、とりあえず報道されていることで、そんなにあやしげじゃない部分を取り上げていくと
  • 被害者の少女は祖父母と叔父の四人暮らし
  • 容疑者は以前から顔見知りで、頻繁に少女と会っていたことから祖父から警察に訴えが出ていたことがある
  • 容疑者の仕事先に少女から頻繁に「家に帰りたくない」と電話がかかっていた
  • 事件以前、容疑者と少女は警察や相談所に行ったが、とりあってもらえなかったらしい
  • 誘拐?後、東京に行こうか、という容疑者?に、沖縄に行きたい、と少女が言ったらしい
  • その後、容疑者は逃亡先?の沖縄の町で、消費者金融で千円(!)借り出していたらしい(どうも本名で借りていたらしい……)
  • 沖縄の宿泊先で知り合った人から少女が容疑者?の仕事先を斡旋してもらったらしい
  • 沖縄では、少女と容疑者?は打ち解けた様子だったらしい
「らしい」ばっかですし、映画みたいな綺麗な状況ではないだろうし、まあ、そもそも少女の家庭環境がどうだったのかわかりませんが、なんだか読んでて切なくなってくるんですが、この記事……友人は「事情はどうあれ、保護者の了解なしにつれまわしたのだから」と言ってて、それはそれで正論なのですが……

[その他] 擬人化

 そういえば最近「擬人化ってのはせいぜい哺乳類までが対象」と書いてあった ネット上の記事 を見て、「そうか?」と思ったのだよなぁ。
 この記事でかわいくならないとされた とりの擬人化 。う〜ん、う〜ん。
  OSの擬人化 とかは最近有名だけども、最近ではもっと恐ろしいことに 分子の擬人化 なんでのもある。まあ、世の中底が知れないってこった。

[その他] 一時は心配したけども

 一昨日の日記へのリンクだけども、飛んでくる人が落ち着いてきたようで一安心。一時はマジでビビった。それも、酔っ払って怒りに任せての文章だものなぁ(ただし、昨日書いた不適切な比喩の部分以外は、あまり後悔していないのだけども)。
 まあ、落ち着いてきたのでどこからリンクされていたかを書いてもまあ良かろう、と思い、書いてみる。
偽作∽奸策さん ( 5/16 )
ひらしょーさん( ( 5/16 )
もりげレビューさん ( 5/16 )
Wertfreiheitさん ( 5/16 )
 「酔っ払ってぶちまけた鬱憤にそんな誉め殺しをされてもor真面目に批評されても」とか「あ、それちょっと誤解っす」とか思わないではないけども、基本的にそんな文章で人様の感情をかき乱して結果的に反応を引き出す形になったので、いや、申し訳ないとしか。
 ちなみに、 言語板のゲール語総合スレふたばちゃんねるのKANONってどんな意味?スレ でもこちらが調べたのと同じ結果+αが提示されていた。
 だからどうかって? いや、多分どうも。単に偏執狂じみた人間が他の人がどうでもいいと思うような単語の意味を調べ上げているというだけで、もうどうでもいいという気になってきた。


2004年05月18日(火) 旧暦 [n年日記]

[その他] しまった

 そういやネット上の反応は波があるってことを忘れてた。 あやしいわーるど で「この人キレすぎ」とか書いてあるのをなかばやけ気味に苦笑しながら「いや、まったくその通り」とか思ったり、 ことのはインフォーマルさん5/18 )に「100%正しい」と書いてあるのを、「これは本気なんだろうか? 迂遠な嫌味なんだろうか? どっちにしてもズキズキくるんですが」と思ったり、 藤林姉妹と(略。失礼)日記さん ( 5/18 )で、エンヤのファンサイトが情報源って、とか書いてあるのを見て「それだけが情報源ってわけではないんだけどなぁ」とか思ったり(でもその他の文も見たの上での批判であり、真摯に受け止めたい) 電網山賊さん5/18 )に「すげー勢い(汗)」と書かれてるのを見て「すいません、タイトル発表以降、2年半分のアレなんです」とか思ったりするわけで。あげく、 はてなダイアリーのキーワード にまでリンクされてる。頭痛くなってきた。
 これまで、全然話題にもされなかったのに。なんというか、ファイナルファンタジー(一作目)が当たってしまったスクウェアというか、八十四話まで続いてしまった必殺仕事人というか *1
 説得力がないのは承知の上だが、ネガティブアピールのつもりはまったくない。そんなものやるならとっくの昔にやっている。正直、過去にネガティブアピールサイトを作ろうとちらと考えたことはある。が、やめた。理由はいろいろあるが、そんな運動してもやってる自分が楽しくないからだ。「 GPMに日本ゲーム大賞を 」とか「星雲賞非公式ノミネート」とかの方が、非生産的だがよっぽどポジティブで楽しい。
 まあ、是が非でもタイトルを変えなきゃならん、とか思ってたわけじゃないし、そんな一般名詞はない、とメールで送ったときに「仁義くらい切った方がいいんじゃない?」くらいのことは書き添えたし、そのくらいは当然一企業としてやるだろうと思ってたんですよ *2
 まさかそのまんま押し切るとは……しかも「家族の意味です」と断言まで……気がつけばいつのまにか発売直前で、もう嫌ンなって、できるだけ無視を決め込んではいたんですけどね。
 結果的に「やらないでおこう」と思ったネガティブアピールをやってしまったことに激しく自己嫌悪。製作者はいまでも軽蔑してるが、それとこれとは別の問題。
*1: どっちもこれが最後、という予定で作られた(本当)。でもそれらと違ってあまりうれしくはない
*2: TBSが「トゥ・ハート」というドラマを制作したとき、アクアプラスにきちんと仁義を切ったという前例がある。一般的な単語の組み合わせだから、それこそ特に問題はなかったろうに

[その他] まあ、上の件はさておいて

 「教室二〇五号」は読んだことがないのですが、大石真は「チョコレート戦争」以来、見つけたら読んでました。でも、やっぱ「チョコレート戦争」が一番面白かったのだよなぁ。いや、読んでないものも多いのですが。
 他には「ラングの童話集」とかをむさぼるように読んでたのですが、四年前に再販されてたのですね……よりによって金のない時期に……

[アニメ] 美鳥の日々

 作画も動画も質が高いし、チャカチャカした感じの演出も悪くないのだけど、二つか三つくらいの別の話を無理矢理一本につなげた印象が強く、個人的評価はそんなに高くなかったのだけど、綾瀬のアタックの回はそんなこともなく好評価。とくに、積極的に見えて実は根本的な部分で腰がひけてるので、戦略自体が間違っているのに末端の戦術にばかり注力する綾瀬の姿に、ちょっと同情。つか、感情移入。まあ、こういうやり方はめったに上手くいかないんだよなぁ……
  光と水のダフネ は、当初と比べるとここ数話は大化けしました。大笑い。#17では「感じた?」とか、なんだかんだ言っていい話で終わりそうだと思ったら、最後に容赦のないオチ。作画はアレになってきたけど、いやいや、シナリオと演出の妙で魅せてくれます。


2004年05月19日(水) 旧暦 [n年日記]

[その他] 著作権でタイーホ

  無断でゲーム画面をHPに掲載していた男性逮捕Games )の記事を見て、不当逮捕ではないだろうが、なにか引っ掛かっていた。で、 裏日本工業新聞 さんの「誰が損をしたのか?」という文を見て、はたと気付く。誰が損をしてるのだろう?
 違法だから逮捕した、というのは逮捕の正当性を説明しているだけで、親告罪である著作権法においては、親告する動機が存在している。直接的な意味では、ゲーム会社には損はないだろう。ゲームそのものを配布していたわけではないのだから。ゲームニュースサイトやゲーム雑誌は損をしてるだろう。とくにニュースサイトは勝手に画像を使われたりもしている。まあ、その関係でそういったメディアがゲーム会社に動いてもらった、という可能性はある。だが、原告に名を連ねているのはゲーム会社ばかりで、しかもそれほどシェアが食われている気もせず、なんだかしっくりこない。で、いろいろ考えて先の 著作権法改正 だとか Winny作者逮捕朝日 )だとかと繋がるような気がした矢先、 切込隊長blog を見てしまう。うわ、曖昧で言葉にならなかった部分がはっきり言葉にされてるばかりかそれを下敷きにさらに突っ込んだ考察がされてる! こりゃ今更書いても全然かなわないんで、こちらを見てください。ゲーム画面の無断掲載については触れられてませんが、同じ文脈上で語れると思います。

[その他] こんなたとえ話

 clannadの名称の件について、なにに私はこんなに怒っているのかを考えてみる。 *1
 たとえば、ここにAさんという人がいたとする。Aさんは特注品のボールペンを持っている。特徴的で、市販品でないことは調べればわかる。Aさんの近くにBさんという人がいる。BさんはAさんの持っているボールペンを気に入ったのか、Aさんに断りなく持ち出して使った(1)。通りかかった人がBさんの持ってるボールペンを見て、「それ、どうしたの?」と尋ねる。Bさんは「このボールペンはどこにでもあるもので誰でも使っていいことになってるんだ」と答えた(2)。Bさんはこっそりボールペンを返したが、その後も断りなく持ち出して使っている。そしてボールペンについて尋ねられると、同じ答を返しつづけている。
 法的云々はさておき、倫理的に問題があると思えるのは、(1)と(2)の行為である。(1)は訴えれば窃盗(名誉毀損)になる。Aさんがそうしないのはただ単にBさんが持ち出していることを知らないからかもしれない。いい人なので、ちょっと使うぐらい構わないと黙認してるのかもしれない。いずれにしても、勝手に使って持ち出しているという行為が良いことでないのは明らかである。(2)については、Bさんは明らかに嘘をついている。ひょっとしたら勘違いしている可能性もないではないが、調べてみればそれがAさんのもので特注品であることはすぐわかるのだ。しかし自由に使っていいボールペンも置いてあるので、Bさんに嘘をつかれた人は大部分は調べないでその言葉を信じてしまう。
 私はどの立場なのか。Aさんではもちろんない。Bさんでもない。多分、私はAさんを好きな人なのだ *2 。だから、Bさんの行為に怒る。「ちょっと、それAさんのだよ」と注意しても、Bさんは無視してるのか本当に聞こえないのか、聞こえたふうもない。私は切れて「それはAさんのボールペンで、嘘ついて勝手に使ってるんだろ! 嘘つき! 泥棒!」と叫ぶ。
 Bさんは根っから悪い人ではないかもしれない。Bさんを好きな人もいる。その人は「まあまあ。悪気があってのことじゃないだろうし」とか「ボールペンをちょっと使ったくらいでそんなに怒らなくても」と言うだろう *3
 なぜBさんが黙ってAさんのボールペンを使いつづけるかはいろんな可能性が考えうる。断りを入れて断られるのが怖いのかもしれない。その場合、ばれてしまいその後も使いつづけるのは難しいだろう。どうしてそこまでして使いつづけるか。そのボールペンが気に入ってしまったのかもしれない。ひょっとしたらBさんもAさんを好きなのかもしれない。
 今日の話はここまで。
*1: まずこれは最初に言っておくが、clannadあるいはクラナドは日本では商標登録・申請はされてない(されていても他業種には拘束力がないのだが)。また、名前に著作権は生じない。名誉毀損等は成立するかもしれないが、親告罪であり当事者が訴えなければ罪ではない。ゲームソフトの内容についても、知らないので云々はしない(できない)
*2: ストーカー的に、かもしれんが
*3: 確かに切れすぎである。もちつけ、漏れ

[ニュース] ええかげんにせえよ? なニュース

修学旅行中学生、着席せず飛行機の着陸妨害神戸新聞 )。墜落して死ぬ気か? (その前にさすがに着陸するだろうが)
日本軍と米軍の「虐待写真」 米紙が並べて掲載産経 )。さすが反日で有名なNYタイムス! こんなときでも反日を煽ることを忘れません。しかし先生、そんな写真よりもっとふさわしいものがありますぜ? 白人によるアメリカインディアンの虐殺の絵なんかどうでしょう? 関連: 専門家が疑問視「100年前と今 時代背景が全く違う」産経
中国の偏狭な文化宗主国意識朝鮮日報 )。「 ヨーロッパ文化もヘレニズムとヘブライズムの結合にその起源を置いている。ヨーロッパの大部分の民俗文化と伝統祝日も、遡ってみればギリシャやローマに到達する。しかし、フランスのある地域の祝祭に対し、ギリシャやローマがその縁故権を主張し、宗主国的な振る舞いをするといった話は聞いたことがない。もし、そんなことがあれば笑いの種となっただろう。 」本人のお墨付きが出ましたよ! 笑いの種にしていいそうです! 参考: 剣道の起源は韓国にあり!? あ、もうとっくにしてたか。


2004年05月20日(木) 旧暦 [n年日記]

[その他] スティールボールラン買って来た

 一巻二巻同時発売。今から楽しみ。

[その他] ちょっとだけclannad

 なんか騒ぎが大きくなって、大元の当の本人が慌てている反面、「 ムズムズする 」と、違和感のようなものは表される方も出てるのを見て、こんなことで激昂までする自分がおかしいのかと思うと同時に、やっぱみな、何も感じてないわけではなかったのだなぁ、と。つか、こんなところにもアイリッシュのファンがいたのか、とびっくりしてるんですが。
  spanglemaker さんの5/19付けの日記の、昔のアルバムのライナーノートや海外サイトに「Clannadとは家族の意味だろう」とか書いてあるので、勘違いしたのだろう、って意見は、まあ、一見もっともと思うのです。私もそれ(ライナーノートやサイト)は確認してます。
 でもね、実は私、タイトルの発表直後に調べてるんですよ、ネットで。 01/10/1501/10/16 の日記参照。それも、別にそんな特別なことをして探したとかじゃないんです。普通に、googleとかで。
 で、私が「Clannadがゲール語での家族という意味ではなく、造語だ」と確信するに至ったのが、ClannadやエンヤやAltanの出身地である ドニゴール地方のサイト 。ここにはドニゴール出身のアーティストの紹介ページもあるのですが、当然 Clannadの もあり、そこには“Donegal band Clannad took their name from 'an Clann as Dobhar'”しか紹介されてないのですよね。その上、見ればわかりますが、ここ、ゲール語と英語の併記なんです。ゲール語に他の意味があるのに、それしか紹介してないってのはちょっとありえないと思えませんか? さらに駄目押しですが、このサイト、 少なくとも2000年1月から存在してる んです。(自分が知ったのは、2001年10月ですが www.archive.org に残っている一番近いログは、 2001年6月 のもの)。少なくともタイトル発表時、この情報はネットで掲載されてたし、検索で比較的簡単に調べられたのですよ。
 ちなみに、メーカーに連絡したとき、もちろんそのURLも送りました。
 P.S. こういうお話 を聞くと、まことに申し訳なく思う。人様が創作を楽しむのを阻害したいわけではないのだ。でも、過ちを流布させたくもないのだ。創作者は嘘をつくのが商売とも言えるが、それは創作の中のことで、創作の外での嘘は許容の範囲外、と私は自分を納得させるほかない。


2004年05月21日(金) 旧暦 [n年日記]

[その他] はじめてのメモリぞうせつ

 うちのLet's note light W2がここのところ調子が悪い。一度HDD交換したものの、その後もたまにHDDが暴走する。どうも熱暴走くさい。それもそのはずで、メモリが256MBしかないのにXPを積んでいる。仮想メモリでHDDにアクセスしっぱなし。イメージ的には こんな感じOSたん保管庫 )。だったらW2Kにしろよという話もあるが(できる女ですから)、唯一のXP環境だからなぁ。しかしこのままでは二度目のHDDクラッシュも近い。こりゃあもう、きちんと対策しないといかんなと腹をくくってメモリ増設。やっぱノートのメモリは高いのうと嘆きつつ、とにかく増設。うわ、立ち上がりが早くなってるよ。これまで放置していても断続的にHDDのアクセスランプがともってたのが、それもなくなった。普通に使っても時間がたつとキーボードがかなりあったかくなっていたのが、今では人肌程度の良いぬる燗。やってみるものだなぁ。高くついたけど。

[その他] まじめにClannadを語ってみる

 なんだか文句ばかりで、Clannad自身のことになにも触れてなかったのはイカン、と思ったので心を入れ替えて。
 Clannadというグループについては Wikipediaのクラナドの項 参照、出ている曲については 米国amazon 参照( CD輸入規制法案 なんて糞っくらえ!)。手抜きちゃいますねん。
 私はある時期から急にアイリッシュ音楽を集めだして、 The Chieftainsヴァン・モリソンアイオナアルタン 、ナイトノイズ、エルヴィス・コステロ *1 などなど、わりと手当たり次第(さすがに経済的理由や合う合わないもあるので全部買ってるわけじゃないけど)にあさったわけで。そこからさらにスコティッシュ・ケルトの Capercaillie など、他のケルト音楽にも手を伸ばしたわけですが。
 Clannadは、よくあるパターンでエンヤ *2 の兄弟たちがやってる、という流れで聞いてみたのですが、エンヤの「つかみどころのないような綺麗な音楽」に対し、Clannadのは綺麗なんだけどもどこか凛としていて土着的な強さがあるのが結構衝撃的でして *3 。「エンヤの兄弟だから」ではなく、Clannad自身がすっかり気に入ってしまったわけで。
 Clannadですごいと思うのは、まあ、多少の当たり外れ・出来不出来はあるけど、私が知ってからは新しいアルバムでも失望することがほとんどなく、前からの期待に応えながらも、どっか新しい部分があるということ。アルタンのようなトラッド寄りならともかく、Capercaillie(これも大好きなグループ) *4 でも“to the moon”以降、ちょっと「あれ?」と思うようなところがあり、大ベテランのThe Chieftainsでさえ、ここ数年は「なんか違うなぁ」という感じがするのです。常に新しい方向性を模索してるアーティストが多いので新譜を追いかけていると合う合わないが出るのはやむをえない、と思うのだけど、今のところClannadにはこれがない。まあ、Fuaimやdulamanみたいな思いっきり古いのは大分感じが違いますけども。あ〜、なんか抽象的ですいません。音楽ライターみたいには書けませんや。
 Clannadのアルバムでどれが一番好きかと言われれば、一番最初に聞いた AnamBanba あたりかなぁ。
*1: 「ストーン・オーシャン」のエルメェス・コステロの名前の元ネタ
*2: 「ジョジョの奇妙な冒険」part3、エンヤ婆の……あ、そんなことはわかってる? 左様で
*3: 確か、はじめて聞いたのはAnamだったと思う。ゲール語で「魂」という意味(これは本当)
*4: このグループが歌った“Alasdair Mhic Colla Ghasda”(元はスコットランドのworking song)をClannadがカバーしてたりもする


2004年05月22日() 旧暦 [n年日記]

[その他] 落ち着いてきたので(アクセス数も私も)

 しかし、今回の件で思ったのは、「調べないオタク」ってのが増えてきたのかなぁ、ということ。オタクってのはどうでもいいようなことにこだわるからオタクであって、言ってみれば一種異常なのだけど、“Clannadの本当の意味”については、ちょっとネットで調べればそうではないのではないか、と十分疑問を呈するに足るだけの情報は出てくる。まあ、ゲームのファンはゲームが好きなのだからそちらに興味があるわけでもなく、あまり気にしないのはとても納得できるしそれを悪いと思わないのだけど。
 が、「ゲール語で家族の意味」というのはあからさまな間違い(あるいは嘘)で、まあせめて「家族の意味」とだけなら、ごまかしようがあったのに。「辞書で調べもしなかったのか *1 」あるいは「なんでそんな嘘をつくの?」とは思わずにはいられない。もし、Clannadとその音楽を好きなのだとしたら、なおさらだ。彼らをはぐくんだ地域の文化に敬意を払ってしかるべきだろう。「ゲール語」ってのは現在も使われている生きた言葉で、どこかのファンタジーの世界の言葉ではないのだから。
 結局、少なくともその「誤解」に至るにはClannadは経由しているはずで(CLANNADとClannad関連以外でmeaning 'family'という記述はついぞ見つからなかった)、きちんと調べなかったにしろ、嘘をついたにしろ、誤謬を広めた責任はあると思う。少なくとも、 この検索結果 を見ると。
 だから、私はこの一言を持ってひとまず今回の件を終わりにしたいと思う。
クラナドとはゲール語で「家族」の意味『ではありません』
 あとでこの辺のことをまとめたテキストを上げるかもしれません。自分や誰かが、誤解を指摘する必要があった際のポインタにするためです(追加:で、 作ってみました 。こちらが調べたことを述べるにとどめ、攻撃的にならないようにしたつもりです。間違いの指摘等があれば、ご連絡ください)。が、基本的に以降は普通の対応に戻ります。普通にKEYの「誤解」やそれが広まってしまったことにムズムズしてる、当たり前の対応に。

 それにしても、SF大会で「ケルト音楽の部屋」とかやったらそれなりに人が集まりそうな気がしてきた。いや、SFとケルトがどう結びつくねん、とか、集まってなにをするねん、という問題がありますが。
*1: 大き目の図書館にはアイルランド語(アイルランド・ゲール)の入門書や辞書が置いてあるところもあるし、 ネット上にもGaelicの辞書がたくさんある

[その他] ポイントげっと〜

 ネット書店の書評を書いたら、ポイントをもらえた。しめしめ、これで書籍代がちょっと浮くぞ。
 そういや、上のところのテキストを書くのに、いろいろ資料を検索したり引っ張り出したりしたのだけど、よくよく考えると朝鮮半島は日本にいろいろひどいことをされた、と言ってますが *2 、正直アイルランドと比べると でもありませんな。
 英国統治下で言葉を奪われ、文化を破壊され、 じゃがいも飢饉 という未曾有の危機にもなんら救済措置はなくそれどころかそれまでと同じ税金の取立てが行われ、その結果大量のアイルランド人が新天地を目指しアメリカに移民した。ケネディ大統領はこの移民の末裔で、つまり世界の歴史を変えるほどの 虐待ぶり だったわけですな *3 。それでもアイルランド人はへこたれず、一部地域とは言え言葉を残したし、文化も可能な限り残している。彼らが冷遇される最大の理由だった信仰 *4 は死守した。まあ、朝鮮半島がずっと日本の統治下におかれていたらどうなったかというのはわからないが、日本と朝鮮半島の関係を英国とアイルランドの関係にたとえるのは相当無理がある。近いのはむしろ、英−愛と中国と李氏朝鮮の関係だろうと思う。
 まあ、なんで無理矢理アイルランドから朝鮮半島の話題に乗り換えてるかと言えば、 小泉首相の再訪朝産経 )の流れ。期待されていた拉致邦人家族8人の帰国については事前に予想されたとおり。死亡とされた拉致邦人の再調査にも触れているようだが、あまりあてにならないだろう。成果は成果だが、これは「当たり前」のことであり、首相も手土産をもらったと思わず、これからも正当な権利を求めて行動してもらいたい。おそらくは北朝鮮は拉致邦人の件や核ミサイル開発などでのらりくらりとごねるだろうが、日本はしたたかに対応していかねばならない。これもまだまだはじまりのうちにすぎない。
 過去を云々と言ったらアイルランドと比べてみるといい。本当にへでもないから。
 あと、これの報道のおかげでウォーターシップダウンの時間がずれ込み、後半が切れちゃったじゃないか! 用心棒がいたら北朝鮮にきっと乗り込んでたでしょう。
*2: 嘘も多いが、他民族による統治状態は基本的に幸福な状態ではないと思う
*3: 「ボイコット」という単語も、アイルランドの土地差配人であったBoycott大佐に反発し、アイルランド住人が不買運動を行ったことから妨害や不買運動のことをボイコット、と言うようになった。The Beatlesの出身地のリヴァプールもダヴリン経由でのアイルランドからの出稼ぎ労働者などが多く、極論すればアイルランドからの流れがなければ我々の知ってるThe Beatlesは誕生しなかった、とも言える
*4: 英国は英国国教会(プロテスタント)であり、アイルランドはカソリックである

[アニメ] 絢爛舞踏祭ザ・マーズ・デイブレイク

 すばらしい! 熟女どうしのとっつかみ合いになんだかふにゃふにゃしてつかみどころがない狸親父の政治屋、世間様では死神と恐れられてるらしいのに全然そうは見えないヤガミ、徹底的にダメ軍人なのにそれ相応にポイントは抑えるドリトル大尉、あふれる生活感、おまけに巨大人型兵器の機動性を海中の浮力・推進力で説明する設定、いやいや、ワタクシ今期の新番組でコレイチオシ。
  光と水のダフネ も、作画こそふるわないが実に良い。傷ついた訳アリの美形を拾ったシズカが、その男と恋に落ちていくけど……深夜帯だからと乳掘りだしたり裸出せばとにかくいいや、なやっつけ仕事ではなく、きちんとそれ相応な視聴者層向けなネタをやり、そういう視聴者に読み取らせる演出、ちゃんとしたゲストキャラの立て方など、これは案外とあなどれませんわ。


2004年05月23日() 旧暦 [n年日記]

[必殺] ビデオ撮っておくんだった!!

 なにげにテレビをつけっぱなしにしていて、他ごとしながら「 チューボーですよ! 」を流していたのだけど、いきなり「山崎さんや沖くんが……」という声が耳に入り、はっとしてテレビを見る。ゲストが野川由美子だよ!
 話してたのは当然「必殺仕置人」の話で、フィルムが出来るのがいっつもぎりぎりで、レギュラーが揃うのが一週間に一日くらい、それも徹夜の撮影で、それでも他のレギュラーに「またやりたい?」と聞いたらみんな「やりたい!」と答えたという話をしていた。
 内容自体は、「 時代劇マガジンvol.1 」のインタビューにあったのと基本的に同じ話。でも、実際に動いてる野川由美子が「またやりたい?」と聞いたという話とか、山崎努はまだしも、若い人には誰だかわからないであろう沖雅也(沖くん)を普通に会話に出したりして、やっぱ野川由美子にとって「必殺仕置人」の現場って、三十年経っても鮮烈で、大変でなおかつ特別にとても楽しい現場だったのだなぁ、ととてもうれしくなる。
 そのうえ、堺正章が「一週間に一日しかレギュラーが揃わなかった」って話で、「それであんないいものができたんですか」とコメントしてくれた日には、もう……正直、すげ〜泣き出したい気分。

[その他] 世の中便利になりました

 うん、便利にはなったよ。便利にはね。
 私が尊敬する知人が、「技術の進歩で便利にはなるけど、技術で人が幸せになるわけじゃない *1 」って言っていたけど、それともちょっと違う意味で。
 昨日の アレ を見て、知人(上の言葉の知人とは別)が「『Qケルト語族』って、『旧ケルト語族』の間違い?」と聞いてきて、ちょっとびっくりしてしまった。ケルト語族にQケルト語族とPケルト語族がある *2 というのはケルト関係の書籍をちょっと当たったことのあるものには常識で、そんな疑問が出ること自体が脇から竹やりで突かれたみたいだったのだ。が、確かに言われてみれば「Qケルト語族」という字面はちょっと面妖で、誤字かなにかと思うかもしれない。で、いちおうその辺の解説ページもリンクに加えた。
 技術とケルト語となんの関係があるねん、と思う人がいるだろうが、実はネットで ちょっと検索 すれば、このくらいの情報はすぐ見つかる。私がこの辺のことを知った頃は世の中まだこんな便利ではなく、図書館や本屋に行って調べざるを得なかったのだが、今では同じことが簡単にできる。情報の確度とかはまたいろいろあるが、知りたい情報を楽に知ることができる、英語が読めればさらにいろんな情報がわかる、大変便利な世の中なんである。
 が、調べない。件の知人は、決して怠け者とかそういうことはない。頭の回転も速いし、仕事に関連することには常日頃興味を持って積極的に調べ、私は敬意を抱いてすらいる。が、今回の件に関しては調べなかった。 *3
 結局、それが出来る技術があるからそれをするのではない。無論、まったくそれが出来る環境ではない、とかだったら話は違うが、多少の便利・不便は問題でなく、「やる」人間か「やらない」人間か、それこそが最大の決定要因、ということだ。無論、これまで不可能とされていたことが技術で可能になることだってある。しかしそれは「多少の便利・不便」ではないということである。
 きわめて当たり前な結論なのだけど、この結論をもうちょっと適用範囲を広げて見てみたい。
 たとえば、以前話題にした「必殺必中仕事屋稼業」#11の超絶撮影テクニック(笑い) *4 だが、今ならそんな無茶をしなくても、CGで目を光らせるとか合成するとか、安全で簡単に似たようなことはできる。まったく同じにはならないだろうが。それどころか、もっとすごいことが出来る世の中になった。それでは、それだけ作られるドラマは面白くなったのか? そうは思わない。それどころか、全体的には衰退している気すらする *5 。直接それを示唆するわけではないが、 視聴率30%超えの番組が激減朝日 )というデータもある。ちょっと言い方を変えると、テクノロジーは進歩しているがスキルやテクニックは必ずしもそうではない、とも言える。昔は良かったという話ではない。技術がどうであれ、作り手側の意識がそこになければならないし、多分、それには視聴者側も「もっと面白いものを見たい」という「欲」を出さなければならないのだろう。けど、深+のマスターの日記にもあったけど、高額納税トップが「みのもんた」じゃなぁ……仕置人の時代は良かったなぁ(昔は良かったじゃない、じゃなかったの?)
 ちょっと別な見方をすると、21世紀になったとき、「子供の頃想像してた21世紀の社会はこんなんじゃなかったのになぁ」と言う人が結構いた。まあ、技術的なものもあるが、結局それは「みんながそういう社会にしようとしなかった」ということではないか。個人的には、別にそんな社会じゃなくても一向に構わん、というか、今の21世紀の方がいろいろ面白いんだけど。
*1: もし技術の進歩の恩恵を受る人がいても、それは技術が幸せにしたのではなく、その技術を使って誰かを幸せにしようとした人がそうしたのだ、というようなニュアンス
*2: qhをそのままqで発音するかpと発音するかが名前の由来
*3: まあ、興味のない分野のことだからそれは健全な反応なのだが。
*4: 焼けるような撮影ライトを主演女優(草笛光子)の顔面に照らして逆光の中目だけ光っているという力技かつすばらしい画を撮った
*5: 無論面白いものはきちんと面白いし、ニーズの多様化などの要因もあるのだが

[特撮] デカッとかレン(ゲル)とか

 それにしても相変わらず デカレン は面白い。
  ブレイド もちゃんと面白くなってきてる。前回から井上俊樹脚本によるレンゲル−睦月編。カードの取り合いの要素も出てきたし、封印カードの解放という手段で復活怪人もOK。いかにも井上的なキャラの桐生もいい味出してる。なにより事件がちゃんと転がってる。実は井上中毒だったんか、ワシ? *6
*6: 555劇場版パラダイス・ロスト DC版買ったし、そうかもしれない。通常版持ってるのに……

[その他] 業界とか流通とかに関連して

  切込隊長BLOGのP2P考察 に関連して、 視聴率がデジタル編成を縛っている なんてテキストを見つける。つまり、多様化してもそれに即したリサーチの手段がないから多様化を縛ろう、という流れになったという話。技術的に無理、とかはわからないではないが、本当に本末転倒な話である。しかしまだこれはかわいい方で、企業活動ではなく司法や立法を動かしてこれを規制しよう、という動きが昨今のあれやこれだろう。無理を通せば道理が引っ込む。
 このサイト 視聴率の嘘800ホント200 は他のエッセイも面白く興味深いので読んでみるといいと思う。


2004年05月24日(月) 旧暦 [n年日記]

[その他] おちつかない(アクセスが)

 アクセスが落ち着いたかと思ったら、 人工事実 さんや 絵文録ことのは さんからリンクされて、またもや結構あれなことに……自業自得で仕方ないとはいえ、むずがゆいものである。
 しかし、絵文録ことのはさんはコメント欄やトラックバックがあるので、なるほど、多分私のところもこういうふうに見られていたのだなぁ、と。絵文録ことのはさんのところの文には扇動的なところがあり *1 反応を引き出してる部分もあるのだろうけど。
 人工事実さんのところには トラックバックに関する記事 もあり、ふむん、という感じで読む。
 私のところは HyperNikkiSystem を使っていて、コメント欄もトラックバック機能もない。トラックバック機能についてはコミュニケーションツールとして面白そうだとは思うものの、それでどれだけコミュニケーションの形が変わるのか、イマイチぴんと来ない。コメント欄については、私は多分、自由に匿名で発言できる大勢と、日記で直接に向かい合うだけの度胸がないのだと思う。議論を行うにはコメント欄はちょっと狭すぎるし。一応、ネットでどっかからリンクされてももちろんOKだし、メールアドレスをさらして連絡は出来るようにしてあるので、それで勘弁してください。
 しかし、記事中の「一行くらいしか反応せず、能力や価値がない」という記述は少し違うのではないかと思う。まあ、よほどセンスや能力がなければ「無能に見えてしまう」というのは賛成だけど。でも、閲覧数稼ぎにそういうのをする人ってのもいるのかな? う〜ん。あ、私はこの記事にトラックバック張りません(笑)。
 まあ、そんなこんなでウェブ日記ツールにどういうものがあるのか、いっぺん調べてみたいとは思ってる。どういう思想で作られているのかとか、結構面白そうなのだけどなぁ。
 あと、 こちら でドンキホーテとたとえられてしまった。いや、そんな立派なものじゃないです。ただのヘタレです。
*1: お前が言うな、である

[その他] Wild, Wild, America

 イラクの捕虜虐待については、諦観とも掻痒ともとれる感情を抱いているのだけど、それはなぜかというと60年前に日本も同じことをされたからで、 愛・蔵太さんの日記(05/22) がその辺のことを書いている。
 日記の中に触れてるリンドバーグ *2 の手記は 私も読んでいて 、書かれてるのはリンドバーグの伝聞という形ではあるので実際のところはわからないが、イラクで行われた程度のことはあったのだろうなぁ、とは思う。 *3
 手記の最後の方には終戦直後訪独したリンドバーグがそこでも米国やフランスなどの連合国側によるドイツへの蹂躙 *4 を見聞きし記述している。 クライン孝子さんの日記 がたまにその辺のことに触れているし、 バンド・オブ・ブラザーズ でも連合国兵士による略奪の描写がある。
 が、これらの行為が裁かれることは、おそらくない。時間が経ちすぎているということもあるし、日本とドイツはそこまで徹底的に負けてしまったのだ。
 この手の行為はアメリカだから、という部分はないではないだろうが、それよりかは本質的には戦争だから起こった、という部分が大きいと思う。そこらへんが諦観の元なのだ。
 いずれにしても日本やドイツのように歴史に埋もれてしまわず、はっきりと真相が提示されることを祈る。
*2: リンドバーグは長男誘拐の調査に関連して親ドイツ寄りの態度を取り批難を受けたことが有名だが、手記を読む限り当時の米国内の主戦派と反戦派の対立など、もう少し当時の情勢は複雑そうである
*3: 正直、手記には虐待どころか虐殺のレベルの話もあるのだが
*4: 兵士に対してだけではなく、民間人に対しても

[アニメ][その他] 富野監督の講演

  一心不乱日記 さんの 5/195/20 のレポート。講演中、眠っていた生徒にどなりつけ、「出て行け!」のハプニング。ひと悶着してその生徒を出て行かせたあと、「私は、年甲斐もないことをしたとは思っていない。当然の事だと思っている」
 ううむ、かっこいいかもしれない。見習うべきかどうかは微妙だが。

[その他] メモ:今年度星雲賞参考候補作一覧

  ストーン・オーシャン+星雲賞 で調べてきた人がいたので気づいた。後で 非公式ノミネートページ に反映させねば。
 しかし、ストーン・オーシャンはSFなのだろうか? と思ったが、ラストは「 タウ・ゼロ/ポール・アンダースン 」のパク……もとい、オマージュなので十分SFだろう。なんて。


2004年05月25日(火) 旧暦 [n年日記]

[その他] 連絡+メモ

 まあ、祭りが終わってアクセスはすっかりおちついたんですが、念のためしばらく知人友人のところにはリンク貼らないでおこうと思います。おのおの文を読んで「あ、自分宛の公開私信だな」と判断してください。(身内向けに日記やってる人が多いから、迷惑がかかるかもしれん)
  友人から教えてもらったネタその1 。これであなたの電脳もハックされる!?
  その2 。東京では覗きに行くことはできないけど、名古屋でもパンフを売るのだったら一部買うくらいはしておこう。
  輸入音楽CDに関するAmazon.co.jpからの重要なお知らせ 。まあ、Amazonとても一企業なので法案が通過し圧力をかけられれば輸入CD販売から撤退せざるをえないだろうが、それでも個人ではなく企業が正式に法案に反対を表明したことは評価できると思う。
 輸入CD規制法案に関しては、 facethemusic さんに日々新しい情報が掲載されています。

 それにしても『た』なかたから励まされると、本当にへこむ(笑)。

[読書] 貧者の晩餐会/イアン・ランキン

 いまどき、大き目の書店に行かないとお目にかかれないハヤカワポケットミステリー。こないだ深+に行ったときに先客に薦められたのは同じ作者の「 甦る男 」だったのだけど、あいにくと店頭にはなく、薦められたときに「イアン・ランキンのならはずれはない」と言われたこともあって、これを購入。ランキンの持ちキャラであるらしい「リーバス警部」シリーズの短編と、その他の、ローリング・ストーンズの曲にちなんだ21本が収録されている。結論。いや、面白かった。あとがきを読むと普段は重厚さが持ち味らしいが、ちょっと皮肉が利いた軽妙さがむしろこの本では目立ち、でもそのひねくれさ加減も後味の悪さは感じさせない。最後の方に行くほどそうだ。最後の四本「吊るされた男」「機会の窓辺」「大蛇の背中」「サンタクロースなんていない」は、意外なストーリー展開と登場人物のキャラクター性や人生性(変な言葉だが)がそれに絡んで、なんとも言えない。文章も洒落ていながら読みやすく、楽に読み進められた。
 これは別の作品も探してみるか。

[その他] 輸入CD規制法案に関連して

 クラシックとオペラ好きなM瀬君には、下手すると死活問題になりかねない話だからもうちょっと気にした方がいいと思うけどなぁ、と、書いてみる。
#国内盤が音質最悪のCCCDになってしまっても、輸入盤が買えない、という事態も起りかねない。
 注文してた海外CDが届いて、パッケージを開いたのだけど、よく考えると輸入版をわざわざ買うなんてのは好き者なのだよな。なぜなら、パッケージがあけにくい。いや、これ、多分輸入版を買ったことがない人にはわからないだろうけど、本当なんである。ケースについてる封印のシールはボロボロくずれてはがしにくく、机の角にこすりつけてはがれやすくするなんて、これ以外では絶対に役に立たないテクニックまで覚えてしまった。
 ケース自体も、最近はそうでもないのだが数年前はプラスチックの質が悪く、CDをホールドしてる爪がポロポロ折れてしまったりしたものだ。
 国内盤はきちんと相応のサービスをすれば、普通の人は絶対そっちを買う。業界はマニアの弾圧みたいなことまでして、いったいなにを恐れてるというのだろう?
 ちなみに買ったのは DUSK TILL DAWN/CAPERCAILLIE 。ベスト盤だから買わなくてもいいかな、とか思ってたんだけど、ついでなんで。

[その他] 一応

  clannadとは家族の意味ではない を修正。clannの意味に関する部分。もうひとつ、気になる記述を見つけたが(「clannad≠家族」を崩すものではない)、できるならば調査をしたいが……


2004年05月26日(水) 旧暦 [n年日記]

[その他] なくときはわがなよぶ

 現存する中国最古の地理書で「山海経」というのがある。中国の各地や周辺地域の風物や自然を記述した書物だ。この本、伝説や風聞を元にしているのか、中国の周辺部に行けばいくほど記述が怪しくなっていき、なかなか楽しい。 *1
 で、この中で動物の紹介をする際に、「鳴くときはわが名呼ぶ」とあるものが多くある。つまり、人間にそう聞こえる鳴き声をそのまま名前にしたということだろう。鳴き声=名前、というわけだ。
 今回の騒ぎで調べなおしているときにちょっとした余禄があり、そのうちの一つが English-Irish Dictionary of Bird Names 。アイルランド語で鳥の名前をどう呼んでいるかの辞書である *2
 私がまっさきに調べたのはcapercaillieだった。
Capall Coille [Wood Horse {voice}]; Coileach Fea, Caileach Coille [Wood Cock]
とある。
 聞き覚えのない名前だと思うが、ハイランド地方に住む雷鳥の一種、とのことであるらしい。日本名はキバシオオライチョウ。雷鳥類で最大のものだそうだ。昨日も名前を出したが、スコティッシュ・ケルト・ミュージックグループの名前でもある。
 面白いのは一番最初のCapall Coilleという呼び方。Wood Horseとある。辞書で調べると、Coilleは木、Capallは、現在ではCapullとなっているらしいが、アイルランド古語で馬の意である。どうも綴りの一致から見て、この語がCapercaillie自体の語源と思える *3 。もうひとつ面白いのは、注釈でvoiceとついていることである。おそらく、鳴き声が馬みたいだということだろう。実際の鳴き声は聞いたことがないので、本当に似てるかはわからないのだが。
 音楽グループの方のCapercaillie *4 だが、彼らはスコットランド・ゲール語のネイティブスピーカーで、この語源を知っていた可能性が高い。あるいはこの鳥を実際に知っていたのかもしれない。自分たちのグループ名をつける際に「木の馬」を意味する、ひょっとするとそんなような鳴き声の鳥の名前を選んだ。あまり偶然とは思えない。アイルランドのグループ「ナイトノイズ」が「自分たちの音楽なんて、夜の騒音みたいなものだ」と謙遜し名前をつけたという話もある *5
 こういう名前の意味がわかり、その経緯にあれやこれやと想いを馳せるのはとても楽しい。
P.S. こちら に実際に動物園で鳴き声を聞いた方がいた(ヨーロッパオオライチョウ=キバシオオライチョウ)。やはりあまり美声ではないようで、この名前をつけたのは諧謔だろう。
*1: 「鸚鵡」や「狒々」など、今日知られている動物の名も見られるが、これらが我々の知るのと同一なのか、後から知った動物に山海経に出てくる似た動物の名をつけたのかは不勉強にして良く知らない。
*2: 余談だが、アイルランドでは言葉の復興運動の一環として、それまで英語など外来語で使っていた単語もアイルランド語で言い換えよう、というものがある。コンピューター用語なども英語の直輸入でなく、アイルランド語の言い回しにしている。
*3: ケルト系の言葉が元の英単語は案外と多い
*4: 日本では「カパーケリー」とか「カパケリ」とか呼ばれてるが、あまり正しい発音ではない。が、まあ日本の方言・訛りみたいなものと解釈するほかないだろう。呼びやすいように呼ぶのは悪いことじゃない
*5: だが、実際には騒音どころかとても静かで綺麗で透明感のある曲を作るグループである

[必殺] 次のDVD化の予定

 噂では「江戸プロフェッショナル 必殺商売人」らしい。うむむ、どうしようか。微妙だ0。

[その他] 手違い間違い勘違い

 マガジンの某マンガで「新撰組」を「新選組」と書いて「間違い」と指摘されるシーンがあったが、別に間違いではない。これはどっちでも構わない。いまさら「トリビアネタ」などといわれたくもないネタだが。
  チワワは犬にあらずx51 )。どんなDNA鑑定やねん! と思ったが、元ニュースサイトの The Watley Review はジョークサイト、というか 風刺(satire)サイトらしい 。ちょっとだけびっくりした。最近、その手のことを明記しないで勘違いする報道機関もあったからなぁ。どういう風刺かわからないが、一部の犬を珍重し、高値で売り買いすることに対してなのかしらん?


2004年05月27日(木) 旧暦 [n年日記]

[その他] 本格的に落ち着いてきた

 いやはや良かった。ほとんど通常営業でも問題あるまい。
 「Clann as Dobhar+Dobharとは」で検索してきた人がいるので、追加で記載。Dobharというのはアイルランド古語で「水」を意味する言葉だったらしい。また、Dobhar川という川もあったらしい。どんな川かと言えば、 between Gaoth Dobhar and the Rosses とある。じゃ、そもそもGoath Dobhar and the Rossesってどこ? と探してみたのだが、地図が見つからない。Gweedore(Gaoth Dobharの英名)で検索すると見つかるのが ここ*1 アラン島 *2 がこんなにでかいなんて、ぶっちゃけありえない。で、アーティストグループのClannadのdはこのGaoth Dobharである。Gaothは風の意味。風の強い海辺の町(村?)、というところだろうか。しかし小さな村だが、ClannadとEnyaとAltanの出身地である。
 ちなみに、ClannadのアルバムAnam収録最後の曲のタイトルは、Dobharである。
*1: 最初に見つけたのは ここ で、黄色の部分がGaoth Dobharと勘違いしたのだが、調べなおして違うことがわかったので差し替え。 Gweedoreの観光サイト はこちら
*2: ここにはアランセーターの発祥地、と書いてあったけど、それはゴールウェイにあるアラン諸島との突っ込みがあり、削除。突っ込み多謝

[その他] 手をあらおー

 なんだか最近、とても気になることがあって、それはなにかと言うと、職場でトイレに行って(汚い話でスマン)、先に入ってた学生なんかが入れ違いに出て行くとき、それが学生ならばほぼ100%、出て行く前に手を洗うところを見たことがないのである。コレの話のもっと最悪な事は、小の方ではなく、大の方でもほとんど手を洗ってないということだ。
 いったいこれはどういうことだ?世の中知らない間にそういうことになってたんだろうかと心配になり、東京の知人友人に聞いてみたのだが、「なにそれ?」とか「さすが名古屋」という返事が……じゃ、いったいあれはなんなんだろう? 学生くらいの年代ではそれが当たり前なんだろうか? それともここローカル? いや、でも、そういえば前にコンビニトイレで同じような年代の奴とすれちがったとき、そいつも手を洗ってなかったからなぁ……これっていったいどういうことなんだ???
 とりあえず言いたいのは、おまえら手を洗え! もしくは、外出たらどこにも触るな! 当然握手などせん!

[その他] 変な生き物とかなんとか

  古世界の住人・川崎悟司イラスト集 恐竜をはじめ、さまざまな絶滅動物のイラストが食いきれないほどある、贅沢なページ。冗談抜きですごい。
  HMVタワーレコード も輸入CD規制法案反対へ。確かにこの辺の店は死活問題だろうなぁ。「なんとなく通っちゃった」ってことにならないよう、世の中が盛り上がって欲しいのだが。
#まあ、それ以前に怪しい法案が多すぎるんだけどね。
  ウェイン町山氏の5/26の日記 。表現はやや極端で過激だが、主張の趣旨は的を射ている(多分。最後の方のあれこれは、あれはネタというかスタイル……だと思う)。著作者を保護する、とは言っているが、結局それは会社が最大限の利益を得るためのお題目であり、会社は営利団体だから利益の追求自体は悪くはないが、利用者や著作者の利を削って、その中間に立つものの有利な方向に動こうとしてるのが昨今のあれこれ。「著作者の権利を守るため……」と言ったら「あんたたちが儲けたいだけなんでしょ?」と突っ込むくらいの世の中にはなって欲しい。ただ、日本を責めるばかりではなくアメリカのミッキーマウス法にも触れてほしかったなぁ……
 それと今週のカオルンは「必殺からくり人 富嶽百景殺し旅」。あとは仕掛人・(新旧)仕置人・助け人・仕留人・仕事屋稼業・新からくり人・商売人、か?


2004年05月28日(金) 旧暦 [n年日記]

[マンガ][必殺] なんで???

 なんだかコンビニの棚にひっそりと置いてある劇画漫画誌の中で、なにげに時代劇専門誌が増えてきてる気がするんですが……「乱」で「風雲児たち 幕末編」が掲載される以前は気にとめてなかったので、本当に増えてるのかはよくわからないのですが……って、いや、やっぱ増えてるよ。おかしいよ。世は時代劇冬の時代だってのにさ。
 その中で必殺シリーズをフューチャーしたマンガが二つほど見つかって、一つは コミック時代活劇 の「必殺仕置長屋」で、もう一つは マンガ時代劇ファン の「必殺!!闇千家死末帖」。どっちも集英社からの出版だけども、なにかあるんだろうか?
 それはともかく、必殺と言うと殺しのケレンが一つの売りなのだけど、マンガではこれがやりにくい。元々マンガ的なケレンだからかもしれない。それをどう上手くカバーするかなのだけども、「仕置長屋」は殺す前の「台詞」でそれをフォローする形で、「闇千家」は作画が森田信吾氏というだけで「明楽と孫蔵」あたりを読んでいた人には「ああ、なるほど」と腑に落ちるだろう。おそらく、日本で随一のバイオレンス系時代劇マンガ(変な表現だな)の書き手である。
 ただ、どちらも中村主水を意識してか同心を主人公に据えてるのは同じなのだが、「長屋」はいかにもなチームである一方、「闇千家」は元締めを頭に据えたコンビであるので *1 (仕事屋稼業的?)、「長屋」の方が必殺と言われ納得する人が多いかもしれない。でも私的にはマンガとしても必殺としても「闇千家」に軍配を上げざるをえないのだが。
 皮肉なのは、松竹の協力を受けてる(半公認)のは「長屋」の方なことなのだよなぁ……
*1: 人数を絞ったのは正解。人数が少ない分じっくりと殺陣を描くことが出来、それがケレンにつながっている

[その他] 文章修正とか

 ちっと昨日のDobharについての記述を修正。あれだと読みにくいことこの上ないので。自分の間違いについての記述は、脚注に移します。まあ、「間違いを消してないよ」という、一種の逃げなんですが。
 アクセス数の方は大分落ち着いてきましたが、なんだかまだ普段より参照数が多いような……え〜、「またいつ面白い切れ方するかな」とワクワクして見ている方、さすがにあんな切れ方は二年に一回くらいです。次回は2006年の予定ですので、ドイツのW杯でまたお会いしましょう。


2004年05月30日() 旧暦 [n年日記]

[アニメ][その他] 擬音精舎の鐘の音

 今週のNHK歌壇は擬音擬態語の特集。小学校の時には「擬音擬態語の多用は下品」などと言われたものだが、俳句や短歌の短い表現で効果的に使われると、下品云々はただの思い込みではないかと思える。ゲストの「擬音擬態語は言葉の根源」と言っていたのが目から鱗。確かにそのとおりだ。「カラス」「ホトトギス」も元はその鳴き声から名前が来ている。また、独創的な擬音擬態語の自由度が高いのも日本語の特徴だと思う。ゲストが独創的な擬音擬態語の例として出したのが、夢枕獏たぁ……たしかに今日本で独創的な擬音擬態語作らせたらあの人が一番かもしれねえ。あとは荒木飛呂彦か?
 その後、ウォーターシップダウンを見る。ふと思ったが、ウォーターシップダウンって、うさぎの村作りシミュレーションゲームにしたら面白くないか? 敵対するコミュニティや家うさぎから仲間をスカウトして、環境を整えて、内政を行って……結構いける気がするんだけどなぁ。

[ケルト音楽] 購入

  The Kinnitty Sessions/LunasaLuna Park/KILA 。しかし、日本のCDは高いなぁ。やっぱ輸入CD規制法案はまちがっている。
 どちらもトラッド色が強いが、なかなか良い。
 店頭で他に トンタ・ロー というアルバムが「ケルト原人」「人力テクノ」と非常に興味がひかれる(ぶっちゃけ、面白すぎる)コピーで購入を迷ったが、今回はひとまず未購入。サンプルを聞いて購入を考えよう。

[特撮] デカレンとかブレイドとか

  デカレンジャー は、前もって情報は知っていたけど二号ロボの登場。っつーか、やっぱあれはインパクトでかすぎですわ。アイアンギア? 変形前に中の一般職員たち(あんなにいたのね)が避難するシーンが燃え。デカレンジャーロボとのサイズの違いも、CGを上手く使ってて良かった。
  ブレイド もやはり癖の強いキャラを描かせたら井上敏樹は上手い、ということを再確認。それ以外はまったく保証の限りではないですが。レンゲルのベルトの危険性を知りながらもベルトへの依存度合いが深まっていく睦月が面白い。ギャレンのベルトを代わりに差し出す睦月に「ギャレンになれるのは、橘だけだ」と言い切る桐生も橘に嫉妬しながらも橘を認める複雑さが見えていい。あと、再生怪人はやはり弱かった、ということで。
 プリキュアは、オタクに媚びてると思って忌避してる人もいるみたいだけど、見てみると悪の側も生存の為にプリキュアストーンを求めているし、些細な日常において人間を認めつつある敵もいたりして、王道でありなおかつ手を抜いてない。また、主人公たちはたかだか中学生で、まだ人間関係とか社会との関係とかで悩み多く、正解など確信を持てないというのも描かれていて好感。昔見た原体験の作品そのままではないからと言って見ないとかってのは、自分の楽しみの幅をわざわざ減じてるのだなぁ、と思う。

[必殺] 必殺からくり人血風編

 6月25日からテレビ東京系で再放送との噂アリ。おそらく現在「切り捨て御免!」を放映している枠だと思う(月〜金11:35〜12:35)。全11話という、「必殺剣劇人」(全8話)に次ぐ短いシリーズで、「新必殺仕置人」の製作遅延に伴い急遽製作されたシリーズだが、幕末維新という、スペシャルを除いてもっとも現代に近い時代設定と、激動の時代の中で主人公たちが翻弄されていく物語は見ごたえがある。殺しは足で相手ののど仏をくだいたりとかウィンチェスターライフルで射殺とか、地味という印象は否めないが、一度は友情を交わした男たちが時代の流れに再び立場を違えつつも、根底では決して友情は消えていなかったことを表現した最終回は、必殺シリーズ中でも随一だと私は思う。短いシリーズなので、良ければ録画とかして見てください。


2004年05月31日(月) 旧暦 [n年日記]

[その他] 言い訳

 え〜っと、いや、特に話題を振ろうとか思ったわけでなく、いや、まったく考えてなかったかと言えばそんなこともないんですが、どちらかと言えばひとりごちていたわけで。しかし、おかげさまで昨今の時代漫画(劇画)誌 *1 の流れはわかりました。
 というわけで下に続く。
*1: 厳密には時代漫画と時代劇漫画は分けられるべきものかもしれないが、その中間層の存在があまりに多すぎるので、あえてこの辺はいい加減な表現としておく(いいのか?)

[ドラマ] 時代劇考

 時代劇の潜在的需要がなくなったわけではないにも関わらず供給が行われなくなった(テレビで)、というのは私も前々から感じていて、それがかなり面倒な程度に膨れ上がった「お約束」が一因というのはありえそうなことだと思っている。
 けど、それですべてが説明できるかといえばそれも微妙な気がしている。
 まあ、時代劇をまじめに研究してるってわけではないので、ざっと過去を眺めた概観なんですが、覚書程度に。60年代以前の時代劇はさすがにちょっと守備範囲外。
 多分今の時代劇の直接的な先祖というのは60年代終わりごろから放映されている「水戸黄門」をはじめとする諸作品で、70年代半ばくらいまでの時代の作品は「お約束」というか「定形」や権威主義をかならずしも良しとしない、社会のはずれ者的・アウトロー的な主人公のものが目立っているように思える。 *2 「木枯らし紋次郎」(1972)や「子連れ狼」(1973)、「必殺仕掛人」(1972)などもこの時代。 *3 背景としては60・70年代安保など、反権威・反体制な活動が目立つ時代だったのも関係しているのかもしれない。
 しかしそれだけではなく、「大岡越前」(1970〜1999)や「大江戸捜査網」(1970〜1984)など従来どおり娯楽性の高い作品も製作され、きちんと統計は取っていないが70〜80年代前半が時代劇の一つの黄金期だったと思える。
 これが80年代に入ると様相が変わってくる。水戸黄門ではそれまで「権威主義だ」と多用されなかった「印籠」が定番化する。必殺もそれまでのどぎつい表現は次第に受け入れられなくなり、華麗な殺しをする二枚目や、ドラマ自体もコミカルでライトな方向に流れていく。これが80年前半から中盤にかけて起こった。時代背景としてはファミコンの流行、バブル景気など。
 軽佻浮薄への流れ、と言うと少し違うだろうが、体制への反発、社会のはずれものの代弁者としての役割は終了し、娯楽が増えた中で気軽に簡単に楽しんで見るものへと、求められるものが変わってきたように思える。「お約束の固定化」もおそらく、どこから見ても今どのあたりなのかがわかり、すぐに話を理解できるようにという流れで発生したものだろう。
 この辺の流れは、歴代遠山の金さんを見ると結構あてはまっているような気がする。 *4
 しかし同時に、この時代から高視聴率番組が極端に減っていく傾向が見られていく。急落後90年代まで小康を保つが、90年代半ばから再び30%越えの番組が再び激減する。
 「その原因は番組の魅力」と言ってしまうと曖昧にすぎるので、もう少し統計的なものの見方をすると、これは「連続してその番組を見ている人間が減った」ということになるだろう。連続して見てれば見てるほど、視聴の重なりが発生しやすい。逆に細切れだと重なりにくい。つまり、「どこから見ても構わない」というつくりが逆に作用しているのが一因と思える。
 もう一つの時代劇のマイナス要因は「お約束」そのものである。「お約束」を共通事項として認識している者には問題ないが、それを知らない部外者には入り込めない状態を作ってしまった。お約束が固定化しすぎ、その啓蒙も行われない。1970年前後においては、これをお約束の破壊などによって破っていった。が、同じことは現在ではやりにくい。集中してテレビが見られなくなったため、じっくり番組中で語るということは、なかなか勇気のいる決断になってしまっているのだろう。
 90年代以降になると渡辺謙主演の「仕掛人・藤枝梅安」(1990〜1994) *5 をはじめとする池波正太郎原作の時代劇シリーズなど、傑作は生まれてはいるが全体として没落傾向の感は否めない。
 ひとまずここまで。
*2: 「おしどり右京捕物車」(1974)は、下半身不随となった元同心が、元同僚から仕事を請け負いつつ妻の押す手押し車に乗って活躍するという、現在ではまず放映できない番組。「唖侍鬼一法眼」(1973)なんて、今ではタイトルそのものが放映できないものもある。
*3: それまでのテレビ時代劇では描かれなかったリアルな殺陣にニヒルな主人公の「木枯らし紋次郎」は好評をはくし、その対抗馬として「アンチ時代劇」を標榜した「必殺仕掛人」が製作、その後、更に「アンチ仕掛人」として「仕置人」が作られたという、なんとも挑戦的な時代だった
*4: 中村梅之助(1970〜1973)、市川段四郎(1973〜1974)、橋幸夫(1974〜1975)、杉良太郎(1975〜1979)、高橋英樹(1982〜1986)、松方弘樹(1988〜)。その他、1975年からTBS系「江戸を斬るII」で西郷輝彦も遠山金四郎を演じている(「江戸を斬る」の1は時代設定も主人公もまったく異なっている)
*5: 必殺仕掛人と同じ原作と紹介されることが多いが、必殺当時はまだ短編が数本しかなかった藤枝梅安シリーズと、その他の池波正太郎の殺し屋ものをミックスしたのが必殺仕掛人のベースとなっている。その後梅安シリーズが続き、1982年に一度小林桂樹主演で映像化されている